Order & Harmony

まぁ、言い得て妙。秩序と調和というより命令と同調か。実にぴったり、そのものじゃないか。みんな好きそうで何より。出典は「令月(佳き月)」なので悪い意味はない。

『帰田賦』張衡(AD78-139)「於是仲春令月、時和気清、…」⇒後に昭明太子の『文選』に収録(AD201-531)⇒『万葉集』編纂:大伴家持(AD759)「于時初春令月、気淑風和、…」山上憶良作の梅花の歌32首の序文。本歌取りだね。ちなみに考案者は山上憶良を百済の帰化人としている。

定点20190225

あらゆる手管を弄してコストの安い炭水化物で腹を満たせよプゲラ的外食産業には常日頃辟易しているので、“いきなりステーキ”が出来た頃はそのコンセプトに喝采したものだ。まだ、もの珍しかった頃、半年ほどで3回くらい通ったわけだが、SC内のペッパー・フード・サービス直営と思われる最寄り店は各簡便飲食店共用のダイニング・エリアに座れるし、ビールやワインも普通に飲めるのだが、誕生月500円引きも含めて足がすっかり向かなくなって随分が経つ。地方や外国へ、幸楽苑をFCにしたりと破竹の勢いに目を見張るより、危惧を抱いた方が多かろう。案の定、コケた(売却完了(笑))。ここに至っては(3月末)、とうとうカレーライスまで始めたようで、なりふり構わぬ迷走中ですな。

まぁ、元々柔らかい肉は食べないので、輸入赤身肉なら自分で買って自分でも焼けるわけで、それを超えて尚且つ滋味溢れる肉質と上手な焼き加減でもないというか、芯がヌルいのは愛嬌としても、一度、塩胡椒せずに肉焼きやがって呆れたわ。ココの(というか他店もほぼ全て)甘辛醤油味ステーキソースは舌が受け付けないので、出て来た肉にそのままナイフを入れて食い出すからすぐわかる。要するに調理人がプロフェッショナルと称するにはおこがましいバイト・レベルなわけだ。コンセプトが「いきなり」だから酒なりオル・ドゥーヴルで時間稼ぎもできず、注文と同時にチルドの肉をカットして、塩胡椒して、最低30分(できれば3時間)常温に置ければいいんだろうが、冷たいまま焼き始めなくちゃいけないあたりも肉の調理を難しくしてるね。メニューもカットした肉焼くだけで変化に乏しいし、350gでオーダーして、カットして370gになりましたって370gの請求されるんじゃ、下手糞バイトは向上心ゼロの下手糞のままだし、ランチは断らないと皿に盛った白飯や貧相なサラダ、スープが付いてきちゃうサラリーマンや学生相手の飯屋のようなグレードに堕ちてるし、g売りだから量を食うほど割高になる(原材料費以外のコストはほぼ一定のはず)ことに気付くと、当初感じた期待も萎んでいくものだ。

大昔、ソコココにあったVictoria Stationのように、プライム・リブの塊を低温でじっくり回転グリルさせ、オーダーが入ると塊から切り出す厚切りローストビーフにたっぷりのマッシュド・ポテトとクレソンを添えたような、素朴でありつつも手間暇を掛けた料理はできないのかね? まぁ、需要ないか。そんなものを求めている人はもうこの国にはいないという現実を粛々と受け入れつつ、斜陽化という雪崩が止まらないこの世の馨しいまでの黄昏の残り香を胸いっぱいに吸い込もう。

ヒジキと大豆の煮物

完成品が惣菜として売られていて、質はともかくとして手間暇除いた材料原価のみで比較しても完成品を買った方がおそらく安い。外食も業務用のレトルト・パウチが500~600/kgで売られてるから一品増やすのに便利。まぁ、ヒジキの煮物を目的に飯を食いに来る人はいないから、味はどーでもいいのは言わずもがな。

ひじき煮物

ヒジキは海藻で海中に生えていたり水面を漂っている。かつては海でアサリを採るついでにワカメやアサクサノリ、ホンダワラなどと一緒に収穫してきたものだが、今は乾物買ったほうがはるかに安い。品質がどうこういうものでもないから国内産はまず無い。長ヒジキは茎の部分で香り強め、芽ヒジキは葉の部分で柔らかめ。まず、大豆を軽く水洗いして、100gあたり0.5lの水に漬けて冷蔵庫で一晩置くと、3倍位に、容器の縁を乗り越えるまで膨れていて笑える。そのまま火に掛けて、大豆が指先で潰れるくらいまで、ときどき差水をしながら極弱火で煮る。IHのトロ火で、タイマー設定しないとやっとれんよ。

乾燥ヒジキは水で戻し、ニンジン、蒟蒻、油揚げと一緒に胡麻油で軽く炒め、戻した大豆と酒、醤油、出汁、甘いのが好みなら砂糖を加え、煮汁が無くなるまで煮て、一晩寝かす。薄味で気取っていると、食い切る前に腐敗する。

蕗の薹

2月中旬になって蕗が芽を出したので収穫。半量を天麩羅、残りは蕗味噌になるのは例年通り。天麩羅用は軽く水洗いして黒いガクや切り口を落とすだけ、蕗味噌用は沸騰水に塩適宜で簡単に茹でるだけ。市販品や今風のレシピでは執拗にアク抜きをしているが、わざわざ、まだか、まだかと毎朝発芽状況を観察して収穫の最適時期を計っているのは、春の香りと独特の苦味こそが蕗の滋味だと思うから。子供が食うもんじゃない。

蕗の薹

蕗味噌

洗った蕗を軽く湯掻いたら冷水に晒し、ペーパーで水分を拭き取る。包丁でミジン切り。小鍋に味醂と酒を70℃くらいに煮立て、ミジン切りの蕗を加え、泡立つくらいの火加減でアルコールを飛ばす。九州産の甘めの麦味噌を適量加えて溶く。弱火にしてひと煮立ち。器にとって一晩冷蔵庫で寝かす。

蕗天麩羅

蕗の天麩羅

天麩羅は薄力粉+卵+冷水をざっくり溶いた衣で揚げるだけ。揚げ油は平田の菜種油70%に九鬼の山七胡麻油30%。蕗だけじゃ、しょぼいので、アルゼンチン産赤海老3Lサイズと適当な野菜でかき揚げを同時に作る。残った天麩羅は蕎麦用。

最底辺の鮨

赤酢飯

酢はミツカン山吹に変えてみた。赤酢としては最もポピュラーな製品。海塩5gに酢を加え40mlにしたもので1合の酢飯とする。油揚げはいろいろ試した結果、薄くて5枚で100円しない最廉価グレードがいちばん上手く袋にできる。熱湯でよく煮て、袋を破かぬよう絞って水分をしっかり切る。味付けは味醂を煮切って、酒、醤油、鰹出汁で調整し、三温糖(黒砂糖)で味を決める。

稲荷a

酢飯に加え、味付けした山椒の実、煎り胡麻、柚子などを加えてもよい。一般的にはガリや紅生姜を添えるのだろうか。稲荷の口を綴じないで、彩豊に様々な具材をトッピング風に飾り付けたものを見る機会が増えたが、底辺かっぺ老は江戸時代の屋台で売っているような、手掴みでムシャムシャ食える鈍臭いのが好みである。ちなみに江戸時代においても“最下級の鮨”としての記録が残っている。

稲荷b

4 Hors-d'œuvre(オル・ドゥーヴル4題)

シウマイ=焼売=シャオマイ

中華圏のシウマイや餃子の最大の売りは甘いのから辛いのまで、ありとあらゆる具の多様性にあると思うのだが、我かっぺ圏の外食や中食で普通に食べれるものは肉(豚肉)、海鮮(海老)、野菜(キャベツ)の3種があればまだ良い方で、外形にはコダワリがあるようだが、中身は選べないのが普通でツマラナイ。あまつさえ、冷凍品やチルドを電子レンジで温めて食うのがフツーじゃ、期待する方が悪いのは自明。具もツナギと添加物ばかりで味わいに乏しいし、何よりも蒸したてでないのは、揚げたてでない揚げ物と同じくらい致命傷だろう。蒸し上がって竹の蒸籠の上蓋をとったとき、吹き上がる蒸気と共に香る具材と仄かな竹の香りは趣がある。

肉焼売

元は軽食(お茶請け)=点心=パスタ。中身に味付が施されそのまま手で摘んで食べることができるものだったが、昨今の既製惣菜品は餃子と同じような扱いになっている。皮は均一な厚さのものを作るには結構慣れとコツがいるので、最近は市販品を使っている。出来上がりの直径3~4cm位のものが整形できる大きめの皮が好みに合う。具は牛豚挽肉、貝柱、袋茸、西洋松露、黒慈姑、銀杏、葱、白菜、片栗粉をまぶした玉葱ミジン切り、生姜ミジン切り、老酒、胡麻油、醤油、塩、胡椒、五香粉、トッピングは定番のグリーンピース、クコの実、胡桃など適当に。蒸籠(蒸し器)にオーブンシートを敷いて、個体がくっつかないよう隙間を開けて、10分ほど蒸すだけ。必要に応じ、香醋、醤油、辛子などで摘む。

貝柱+茸焼売

アンチョビとキャベツのスパゲッティーニ

麺はいつものDivella、スパゲッティーニ。アンチョビ・フィレはペルー産既製瓶詰め。黒はオリーブと独特の香りをもたらす西洋松露。

op-b

ベーコンとほうれん草のスパゲッティ

麺はALCE NERO(アルチェ・ネーロ)の有機全粒粉スペルト小麦のスパゲッティを使ってみた。最近は面白そうな麺は片っ端から試している。具はベーコン、ホウレン草。マシュルームは水煮ホールの既製パック品。かっぺ村に出回る生のマシュルームは茶色も白も一社限定の超寡占状態で値段が全く下がらんからなかなか手が出ない。

op-a

Kyashに手を出す

ポンコツ老害なので利益構造や背景の資本構造がわかりにくい、得体の知れないシステムに依拠する支払い方法には、あまり手を出したくないのだが、久々にオモシロイと思ったのがこのKyash。基本形態はプリペイドだが、VISAかMasterの与信カードに被せると元のカードとは別に、Kyashの財布に2%上乗せ還元される。カードは5枚まで登録できて、端末で即時切り替えて使える、レシートがKyash端末に個別に集約して表示可能なあたりが売りかな。還元率が低いけど、色々なしがらみで持っているカードの有効活用になるのと、CtoCというか個人間の双方向送金が手数料無しで可能な模様。試せる相手がいないからどんなもんかはわからんが。ただし、1回あたりの決済額は5万上限でショボいので、知らずにディーラーで車検代15万+を決済しようとしたら撥ねられた~って整備の人が青い顔して、え? ナンスカそれ? って営業担当は面白がってケラケラ笑ってやんの。デザインは悪くないけど、カードの質感がnanacoみたいな紙基調で安っぽくてチャラいので、侮ってもらうには最適。オレもあまりのショボさにゲラゲラ笑いながら別カードで決済。

QR-code paymentを使ってみる

ポンコツかっぺの今をときめくロートルHuawei端末には高価なNFCチップとNHKが心の拠り所にするワンセグが組み込まれておらず、楽天payとd払いとPayPayが入っちょりますが、どれも操作が面倒でつい、カード払いにしてしまうので今まで使う機会がなかったのでありんすが、PayPayが19%(YJカードだと)+α還元を再開し、偶々カードが使えない松乃家がPayPayに対応したというので、3年ぶりくらいの松乃家。隣りにあるんだが、同系列の松屋はまだ入ったことがない。松乃家は店内の機械で食券を買うタイプの底辺飯屋で、以前から交通系電子マネーは使えたと思ったが、PASMOはオートチャージ時にクレカ側に0.5%ポイントが付くだけで、ポイントなんか集めないお金持ち向け。無記名式の場合はポイント・システムが実装されていないから、ポイントを付けようがない(10月以降の消費税還元も対象外だろう)。処理速度は速いけれど電車に乗らないかっぺ老にそれ以外のメリットはほぼ無い。

新しい機械は各種QR-codeにも対応したようだが、2台あったのが1台に減ってるな。おかげですぐ行列ができるし、現金払いのくせに操作がわからなくて(押せるボタンがないってファビョってる)機械を前に固まって途方に暮れている人が結構な割合で発生してて、一人でホールを切り盛り中で頭ファビョってる中華あんちゃんを呼びつけようとして、呆れた後ろの人が操作代行してるとか、最早PayPayどころじゃないだろ(笑)。食券販売機のOSの処理速度やUIはかなり熟れていて出来が良いと思うんだが。ちなみに見ている限り現金率95%、交通系電子マネー5%、QR率は当然限りなくゼロに近いな。この期に及んでいい年こいた大人が小銭をチャリチャリ使っているのには心底驚いた。学校帰りの高校生が一人だけSuicaタッチしてたわ。老害も酷いけど若害も取り返しがつかないレベルですことよ。老人は放っておいても死滅するが、次代を担う若年層は信用スコア社会に対応できないと生きていけないぞ? 何よりも2ヶ月間とはいえ、全く同じ質と量のモノを買うのにオレより20%も高く支払えるって、世の中余裕綽々の金持ちが多くてびっくりというか、アベノミクスの恩恵で良い給料や小遣い貰ってんだろうなぁ。撒き餌に群がる雑魚の如き貧困かっぺ老とは雲泥の差、さぁすが、見識のある皆様方々なのだなぁと常日頃感嘆しておるところであります、はい。

ポンコツ老人だから、タッチパネルを前にして目に入った視覚情報を解釈し、メニュー構造を理解し、手指を動かして自らの意思に沿う形で選択を行うにはヨッコラセと1.38秒くらいかかる。更に欲を出して、やっぱこっちにスっかとか、おビールちゃんは何処ですかぁ? となるとドッコイショと0.72秒くらいは時間が加算される。最後にQR-code決済を選択し、手にしたロートル端末にcodeを表示し、読取りカメラに当てるのに更にヨイショで1.17秒くらい。読込終了後、“処理中”の数カ国語表示が出て数秒、○枚発券してます……の音声が聞こえるとようやくチケットが出てくる。ちなみに松屋のアプリをインスコしておくと事前に最寄り店のメニューから選択してQR-codeを生成して機械に読み込ませることができる。便利なんだが、アルコールが選べない(ページが無い)のであまり意味が無い。

葉桜

最寄りの松乃家はU字カウンターと対面二人掛け45x60cm角極小テーブル席が6席あるのだが、駅前のせいか客層はすき家以下。平日は稀にオバサン一人も見掛けるが、ほぼ男のみ、ほぼ一人客。その半分は挙動不審というか五感の感受性を最小モードに落とさないと、カウンターで隣に座られたらおちおち飯も食えないのでテーブル席の確保が必須。残りの半分はスマホ食いとイヤホン食いの学生、給与生活者、或いは制服系現業マンなど。最後にヨボヨボ、身なりの悪い老人ってオレのことだわ(笑)。残念ながら昔よく食っていたダブルロースとんかつ定食はメニューから外れた模様。単品でかつ1枚追加するとかなり割高なので選択肢に入らない。ダブとん定は飯が特盛り無料だったので、複数人で来て一つ頼んで食べる人々が跡を絶たず、松乃家が音を上げたと聞いた(笑)。昔は臭ってた米は秋田こまちになって驚くほどおいしくなったが、秋田産の秋田こまちとは何処にも書いていなかった。今は秋田こまちの表示も無くなったが(その後復活してた)、米はこの手の店にしてはおいしい部類の国産米。コシヒカリ系の何か。定食の場合大盛りまでは無料になるが、普通盛りでも余るくらい量は多い(=オカズが足りない)。最寄り店は厨房がガラス張りでよく見える。昼時を除く平日の午前乃至は午後早い時間の1時間弱の利用だが、該当する時間に揚げている調理人は、最初に行った5年ほど前から同じあんちゃんで代わっていない。温度管理に習熟した上手な揚げ加減で、荒衣の割に油切れが良くて毎度感心している。エビフライや魚フライを食うと系列他店との差は歴然。

今はYJカードから直に払って19%、一旦チャージすれば20%だけど、面倒でそこまではしない。販促終わったら還元は0.5%に戻るんだろうが、ヒモ付をKyashにできる模様。アプリを起ち上げる手間と処理速度のトロさを考えるとPayPayしか使えないところでの利用に限定されるだろうが、当面、裾野が広がっていくのは良いことだ。ちなみにPayPay3回目、凡そカードや電子マネーとは将来的にも無縁であろう近くの、恐らく大半が冷凍生地焼いてるだけのパン屋(最近そこそこおいしい)で1220円決済で1000円引きが出た。一応10回に1回というのは嘘ではないらしい 。零細店は導入コストが掛からぬように、レジ脇に用意されているQR-codeをこちらが読み取って、金額を打ち込んだ支払い完了画面を相手に見せる形で決済完了。この辺じゃ珍しいですねとレジのオバちゃんに訊くと、それ使うと何かいいことあるんですか? と逆に訊かれる始末で笑った。P2PもQR-codeもCrypto Currencyも日本人の発明なのに、この国の社会はマガイモノ扱いするか、作者を犯罪者として社会的に抹殺したりと、理解できぬものは全て邪悪とばかりに寄ってたかって袋叩きにして、逆ギレ対応に勤しむから新しいことをしようなんていう人はもう誰もいなくなってしまったな(笑)。

PayPayに対抗してdocomoのd払いも3月から20%還元だそうで、足元を脅かされるau+楽天pay連合も販促に走ってくれるといいな(期間は短いがやるみたい)。伸び代が見込めない本業そっちのけで、各社ココぞとばかりに覇権の奪取に走っておって、バラマキ原資を負担してくださる携帯電話キャリアの養分様々の貢献にはまことに頭が下がるところでありますね。信仰は大事にしてくだされ。信じるものは掬われる(足元をな(笑))。

■たまには海鮮■

冷蔵または氷温で生のまま、あるいは生きたまま流通する海産物という本来の意味での「鮮魚」や「活魚」を食べることも殆ど無くなってしまった。同時にそれを調理する技法や口にする習慣も喪われていく。満を持して開店したはずの魚屋の鮮魚売場も行くたびに縮小されて、盛付け済みの刺し身や煮魚・焼魚・フライ売場に収斂していくのが時代の趨勢である。年月とともに、自分の常識が世間の非常識に成り代わっていく様をみると、そろそろリタイアの時期が迫っているということだろう。

青柳

バカ貝

バカ貝という名はいつも馬鹿みたいにダラシなく口を広げているからと聞いたことがある。アサリを掘ると一緒に採れたが真っ先に捨てる貝でもあったな。当時のヒエラルキーは、「蛤>浅利>赤貝(ここまで食用)>マテ貝>バカ貝>>(ランク外)潮吹」だった。そんなバカ貝も今や春先の立派な売り物で、小柱と青柳という江戸前鮨、天麩羅には欠かせない種でもある。

青柳

沸騰した湯に塩をして、口が開くまで鍋茹での刑に処す。開いたら冷水に取って、スプーンで殻から身を外す。指先で身をひっくり返して、ヒモと小柱を分離、残った身の回りのヌメる部分と砂袋(ウロの半分くらい)を包丁で切除。塩を振ってキッチンペーパーで水分をしっかり抜く。ミジン切りの葱、酢、味噌、味醂で和えて、しばらく冷やすと至高の酒の摘みになる。湯掻いたときに尻尾の黄色が朱色に近いものほど高級品とされる。青柳は東京湾に面する市原市の旧海岸で、江戸時代の名産地。

アワバタ

メガイ鮑が小さいけれど3個で1000円だったので、つい手が出た。足を塩で洗い、スプーンを殻と身の隙間に差し込んで身を外す。外した身からウロを外し、肝から砂袋を切除。固く尖った口の部分を切除。2枚は長手に隠し包丁を入れ、短手方向厚さ5mm程度でスライスして刺し身。1枚と肝はバター焼き。

アワビ刺し身

煮穴子

いい値段だが開いた直後の艶と大振りな姿に思わず手が出た。普段は解凍魚や養殖ばかり並べて滅多に鮮魚が並ばない近場のスーパーの魚売場だが、週2~3回の仕入れのあった日の15:00過ぎにのみ、掘り出し物に当たることがある。

ni-anago

穴子は皮目を上に俎板に並べ、熱湯で湯霜。氷入りの冷水にとって冷ましたら皮目のヌメり、背ビレ、付近の黒い皮を切除して、冷水でよく洗い、水分を拭き取る。大きめの浅い鍋に水、酒同量を煮立て、沸騰したら火を弱火、穴子を皮目上にして入れる。落し蓋をして10分ほどしたら、皮目下に入れ替えて三温糖、味醂、濃口醤油を足して再び落し蓋、極弱火で15分。火を止めて15分そのままにして煮汁を染み込ませる。盛り付ける直前に再加熱。鍋から取り出すときはフライ返し等で身を崩さぬよう掬い上げる。


2019/04/02 作成__2019/04/07 最終更新