Still alive 2

商店街の廃墟でそろそろ終わりの無花果を一箱と、時々思い出したようにバナナを一房(2kgくらい)。平日の昼間なのに酒臭い爺というあたりで顔を憶えられているので、八百屋のおっさんとレジでよく話す。松茸はないのか? と訊くと、思ったより安くないからまだ仕入れていないという。国産で2万、輸入で2.5千円だそうで、昨年並みだと。探しておきますというから、来週後半は松茸三昧になろう。いつの間にか後ろに3号被保険者様と年金生活者様の列が出来ていて、奇異な目で見られているのでそそくさと退散。

地縁も血縁も既得権も何も持たない、頼らない過疎の生活はとても気に入っている。衰退が進み、日々少しづつ何かが欠けていく午後の陽だまりの中で、人が住まなくなった土地や建物をコストを掛けて無理に維持する必要もあるまい。崩れるものは自然に還る。長きに渡って奪い取って来た木々や草、狸や猪や鹿に返してやればよいだろう。

過疎寒村で田舎生活にどっぷりと浸かりきっていると、年に数えるほどしか電車に乗ることはないのだが、3ヶ月ぶりくらいに電車に乗ってみたりすると、通勤通学客がいない閑散時とはいえ、いろいろ面倒臭くて、これまた何とも言えぬ不快感が忍び寄る。公衆向けの乗合の乗り物の宿命とも言える時間の制約や空間的な快適性の欠如は相変わらずで、他人のせいで費やされる時間の無駄さ加減には気が遠くなる。

寒暑や花粉、雨や風が強いのに出掛けなければならないとき、荷物がある場合、複数の場所を巡らねばならない場合、秘匿性の高い交渉等は車に限る。自分で運転する場合は、マシンとしての車にも個性があり、個人の順応性に深く呼応するものだから、何が付いていなくて、何が付いているか(笑)わからないレンタカーはよっぽどの理由がない限りは避けたい(毎回清掃+整備するわけじゃないカーシェアは論外)。タイヤ細いし、誰が触ったのかわからんハンドル握りたくないし、シートに座るのも嫌だな。タクシーは必要なときには何故か捕まらないものだし、往きはヨイヨイ復路は当然困る。都会では車が必要無いという声も聞くし、必要なときはタクシーと割り切ったほうが安上がりは間違いないが、都心部は金が有り余ってるから道路がよく整備されていて車移動はとても快適で便利だし、郊外も個々の改善からネットワーク形成に繋がって渋滞も随分減っている。最近は50km圏くらいを業務範囲にしているので、高速なら片道30分くらい。長らく待たされた環状線が開通して、今まで2時間掛かっていたところも30分で行けるという驚異的な改善もあった。Googleのナヴィで渋滞もリアルタイムでわかるから、朝から眺めていてずっと混んでれば電車にすればいいし、込み始める手前で降りれば渋滞にハマることもないし、時々途方もないルートを案内しやがるが、概ね効果は絶大でホントに到着予定時刻に辿り着く。電車は所詮、点と線の1次元、車は面の2次元。時間に左右されない行動半径は比較にならないし、車でないと行けない「ところ」や「とき」、個人的な経験は実に多いなと改めて感じている。

赤葡萄酒煮2018

安価な肩肉やスネ肉を数kg単位で処理しなければならないとき、赤葡萄酒煮に利用すると効率的だ。簡単だし。最近はパンは止めてもっぱらマッシュド・ポテトを添える。 付け合せは定番中の定番、カプリ島風サラダ。モッツァレラは水牛の方(Mozzarella di Bufala)がもちろん旨い。昔は黒胡椒とオレガノ、バジルあたりは必須だったが、最近はオリーブ油振るだけでいいかも。

caprese2

金満には縁遠いかっぺもキャッシュレス

保険がない猫病院はもちろん、人間の病院なら窓口でも機械でもカード払いだし、処方箋薬局はどこも客寄せにカード使えます! ってデカデカと宣伝してるし、手術代と差額ベッド代込の入院費をカードで払って、保険で全額補填しておいて、医療費控除を満額受けるというのもナカナカ乙なもの。契約している電力会社はカード払いのみだが、その他公共料金はファミマでカード払い可能だし、個人の税金はnanacoにカードから充填して7/11でOK(法人税はダメ)。自販機でソフトドリンクを買うことはまず無いが、近くの公立高校内の自販機ですらiD使える。ゆうパックはローソンから送ればカード払いだし、スマホ割なら郵便局もキャッシュレス、残るは近くの八百屋、座れない鮨屋(本店は普通の鮨屋だからカードはもちろん可)、代替わりして味付けがクドくなったから頻度は減ってる近くの小さな洋食屋、日高屋の優待券の端数、ファミマで扱っていない2万や6万の高額収入印紙、料金がわからないから郵便局から発送する郵便物(来年からは郵便局もキャッシュレス可能)、法務局以外の役場で取付ける証明書類の手数料、各種申請料、コンビニ払いが出来ない法人税、法人住民税、消費税といった税金、未だに手渡しの回覧が回ってくる老人だらけの町内会費、どうしても使途不明にしたい出金、昔に比べると全国紙とはいえ痴呆紙並のレベルにまで落ちてる新聞の購読料くらいかな? 機会ベースで80%、金額ベースだと95%くらいは非現金。

新聞は法人契約で半年ごとに購読先を替えているので、カードだと支払い時期が反映されるのが3ヶ月後でズレが大きく変更手間で混乱するから現金払い。もっとも4037円が財布になくて日を改めてもらうことも間々ある。申し訳ないから、集金のおっちゃんにカードリーダー持たせてやれよ。食品や日用品はごく一部の「趣味の生鮮」と「思いつきのお遊び」を除きネット経由で配送に完全移行しているので、買物に出掛けること自体があまりないが、わざわざチェーン店やスーパーでカード使えない店には行かないし、電車・バスはオートチャージのPASMOで事足りるし、JREの長距離や飛行機ならカード払いだし、タクシーはクレカ使えなきゃ次の車に乗るだけ。車検(税金+自賠責)も点検もディーラーはカード払いでニコニコだ。一応、非常用に折り畳んだ万札、20ドル札、20ユーロ札、100元札は財布かキーケースの何処かに分散して紛れているはずだが、日の目を見ることは多分無いだろう。

まぁ、この期に及んで銀行やら証券会社の窓口に出向いてカウンターの姉ちゃんに紙の札束やら株券やら債券じゃないと実感がわかない! なんて、ヨボヨボの爺婆ですらそんな人はもう居ない。金食い虫の窓口はどんどん閉鎖されて、ATMも撤去されるのが社会的公平に立脚する運命だ。企業間の取引は売り掛けに買い掛けだし、現金取引を求めてくるようなところは胡散臭すぎてお断りするでしょ? 個人を介在する取引もそれと全く同じ。ETCしかり、紙の切符が根絶された公共交通しかり、個人認証という与信の下に抽象化された記号としての数字だけが無謬にして有意であることは、正規の社会的存在においては必須レベルの素養みたいなものだ。どれだけ抵抗したところで数年後に迫っているインヴォイスの導入で、インヴォイスを発行できない免税業者は消費税分を値引くか免税業者同士のなぁなぁ取引の狭い世界に沈降していくわけで、仲良し小好しの時代はもう終わり。区分と分断によるつるんと輝く鋭利な切断面を粉飾する必要はもう無い。税理士は一段と仕事が増えそうで羨ましいぜ。

日高屋は成長に陰りが見えてきたし、法で縛られるまでは禁煙化とキャッシュレスを進めるつもりはないようだから、そろそろ見限る予定。実際、飲食代金が1630円だったりすると、1500円を優待券で払い、財布の中には万札1枚しかないから、それでお釣りをもらうわけで、汚い千円札やコインには触りたくないし、財布が汚れるのも不快だし、持っていても使う当てがないから帰りにどこかのコンビニATMに放り込むしかないわけで、ものすごく面倒なんだよな。

一方、同じ底辺飯屋でもゼンショー系列はほぼすべての電子マネーとカードが使えるが、爺婆以外の若者や勤労者、家族連れ等の割合は遥かに高いのに、現金以外の支払いは極めて僅少にしてイオンやマルエツのレジの方が遥かにマシなレベル。実際、統計的には若年層ほど現金払い(20代で8割、50代が最小で5割)だそうで、この現金信仰は「紙に印鑑」と「FAX」が未だに現役であるこの国の、目に見えて手で触れるものしか理解しようとしない、変化を厭う気質には驚くべきというか、勤勉性と小器用さを失って既に取り柄なしというか、それが外資に席巻されて敗退と総退却を余儀なくされて、最後は毎度お馴染み玉砕に至る民族の悲しい業なのだろう。

和風お手軽節約底辺カレー

お手軽カレー

子供の頃はよく食べたものだが、大人になると滅多に食わなくなるのがカレーというかカレーライス。子供の頃は、母がグリコやハウス食品、S&Bといった箱入りのルーで月に一度ほど作るカレーを喜んで食べていたし、給食でもカレーは人気のメニューだったものだが、オヤジはカレーを前にして憮然として別のオカズ食ってたな。まぁ、ビールを含めて根本的に酒に合わんしね。現代においてはカレー・ラーメン・ハンバーグの三種の神器の筆頭だろうか? もっとも、ルーを使う手作り風ナンチャッテ・カレーは既に下火で、昨今はレトルトパウチ製品の使用が前提らしいが、これらはもちろん売るための製品だから、“らしく”は作られているが、うるち米に掛けて食う日本のカレーとしての旨味やコクや具材や粘度が最重視されていて、〇〇風を標榜しつつもあくまで日本の和風カレーであることには変わりはない。

貧乏カレー

実際、本格的と称される外食店でも米はまずうるち米で、在の暮らしを満喫するかっぺ界隈ではBasmatiの古米使っている店なんて聞いたこともない。(今は鮨飯にササニシキの古米使う店もほぼ無いだろう。いや、マジで)ナーンに至っては変な三角形に整形されて開いた口が塞がらない巨大化を遂げており、一円でも安く作るためにギーもスパイスも使わないカレーと相まって、中国にはない中華料理と同じくほぼ日本人がイメージするインド料理という名の日本食になってしまった。最早、タンドゥールで蒸焼きできるぐらいしか、取り柄がないんじゃなかろうか? A Tandoor makes "Tandoori chicken", but not "Tandry chicken".(笑)

Mtr

そんな折、MTRのレトルトパウチに見かけないモノが増えていて、すかさず購入。価格は一箱300gで税込み330~380円くらいで割高だが、それを補って余りある特徴が気に入っている。もちろん、現代日本食としてのインド風カレーとは似ても似つかぬ味わいで、それはパッケージを裏返せば一目瞭然。

箱の裏

原材料名は原則として構成比重量が大きなものから記載されるわけだが、宗教上の規制が見事に反映されている。

レトルト2

比較対象は食品添加物を用いないことが売りのイオンのグリーンアイの野菜カレー・レトルトパウチ(200gで税込み105円)と、それよりは世間一般で人気がありそうな西友のカレーだが、我々が日々こぞって希求し世界に誇る日本料理では必須の旨味やコク、甘味が何によってもたらされているか一目瞭然であろう。甘味料でなく砂糖が使われているあたりはかなり良心的な部類。

レトルト1

自ら作るときは飯を炊くより安いし速いから、常に節約と精進を心掛けているはずが底辺の心地良さにすっかり安住して身の丈に合い過ぎちゃっているかっぺ爺はアタを水+塩+マスタード油(オリーブ油)で適当に捏ねてチャパティを焼く。焼き上がったチャパティを手で千切りながらカレーやアチャールやバターを載せてムシャムシャ食う。

chapati

カレーに関しては、必須というか、組み立ての基本はギー(Ghee:バターの上澄み)と大蒜+玉葱+生姜と、必要に応じて副菜のアタ(Atta:ふすま入り全粒粉)、口休めのアチャール(Acharl:漬物)と理解している。

atta

日本の漬物は中国から伝わったものが得意の発酵技術で多種多様に発展したものだが、アチャールはちょっと別の進化を辿った漬物で、塩とレモンやライムの強烈な酸味と塩辛さが特徴。最近の日本のレモンは気持ち悪いくらい甘いが、あちらのレモンは当り前のように酸っぱい。

ghee

非常に多種多様な種類があるが、Sweetに騙されると咽るというか仰け反る。バルワミルチ・アチャールは赤唐辛子漬け。巨大なピーマンみたいな赤唐辛子がザクザク。未熟なマンゴーを漬けたマンゴ・アチャールやその他諸々、凡そ日本人が漬物として認識できる範囲を完膚なまでに凌駕する。香辛料も極めて強烈で、こういう物を日常的に食うから、ああいう体臭になるのね、ということを極めて平明に理解する。

acharl

■かっぺ、から揚げに挑戦す■

表通りどころか、底辺かっぺの畦道を踏み外し嵌まること幾年月、1年に一度作るか作らないかのから揚げであるが、外食、中食や惣菜などでは幅を利かしているようで、意外と人気があるらしい。残念ながら、古くはKFC、最近ならコンビニの〇〇チキン類には縁がなく、衣無しで素揚げにした油淋鶏や衣が薄くてカリッと粉を吹いた竜田揚げ風のものはまだしも、揚げ置きのフリッターの出来損ないみたいなモノを出されてもな。自然と敬遠する結果、すき家でビールの摘みに注文するくらいでお茶を濁すのが常だったが、ココに来てから揚げ専門チェーン? という業態が目についたので、天麩羅やとんかつを揚げるのは厭わないが、から揚げは気力が出ない老かっぺに朗報か!

から好し

徒歩圏にないから一度も行ったことがない「かつや」を経営しているアークランドサービスの「からやま」を外観・サインからメニューまでそっくりそのままパクったのが、すかいらーく系列の「から好し」で、持ち帰りも可能な鶏のから揚げのファスト・フード。鶏のから揚げをわざわざ外食してまで食べるのか? という基礎的な疑問は残る、というか、から揚げ専門店が小売として成立するという風潮は今一つ理解できないわけで、牛や羊があればそちらを選ぶし、鶏のから揚げを自ら率先して作ったり、それを目的として食べに出かけたり、購入することは少ないのではなかろうか。今回は仕事で頻繁に通う輸出入総額ダントツ1位のお金持ち港町の街道沿いで、何ができるのだろうと工事中から眺めていて、ある日新装開店していたから試しに入ってみた。から揚げ定食590円(税別)というのが基本メニューで、会計時に100円引き券をバラ撒いて集客中。水、お茶がセルフというファストフード仕様だが、テーブル席もあって、料理は店員が配膳してくれる。

から好し定食は40~50gくらいのから揚げ4個と千切りキャベツ、飯、小味噌汁で構成され、櫛切りのレモンと胡麻ダレ付き。キムチと、大根と塩昆布の浅漬けみたいな甘い漬物がテーブルの壺から各自適宜だけど、11時開店で11時30分に入ったのに壺の底が見えるな。白飯は無料で大盛り可だが、頼んだことはないし、炭水化物の衣を纏ったから揚げをオカズにして白飯を食べるという感覚や習慣は、餃子や焼売、フライでご飯を食べるのと同じくらい違和感がある。炭水化物は衣で十分だし、白飯を食うよりから揚げをたくさん食べたほうが良くないか? から揚げ屋なんだから。

ブロイラーと思われるから揚げは揚げたて。注文から10分ほどかかる。 衣はかなり薄く、グチャッとするわけではないが、カリカリを強調するでもないという優しめのあっさりした揚げ加減。大きさ見事にピッタリ同じ(笑)。鶏肉の揚げ加減も柔らかめ、筋がまったくない肉もかなり柔らかめ、カット済みの肉に、下味は麹に醤油か? 塩辛めでキツ目の旨味増強。生姜や胡椒は全く利いていない。昨今は朝鮮好きの人々が増え、朝鮮族の習慣に従いラーメンや餃子に大蒜を入れるらしいが、ここのから揚げは大蒜風味をまったく感じない仕上がりで救われる。他に同じから揚げを使い、味付けやタレを変えたメニュー、から揚げ単品、から揚げ個数の増も可能だが、基本的にから揚げのみを基本にした組み合わせだから変化には乏しい。白飯は普通盛りでも丼飯でかなり多め。鶏のから揚げで飯を食うという習慣がないと、質が良いとは思えないキムチと漬物に味噌汁じゃ、白飯が余るし難渋する。

100円引きになる普通の4個定食に、見た目惹かれた辛醤スコから揚げ3個を追加注文。辛醤は四川豆板醤云々らしいが、辛いというよりは妙な旨コク甘味が後に残って気持ち悪い、よくある日本人向け本格惣菜レベル。見た目だけのコケ威し。客層は安いだけあってあまり良くない。男率80%。昼時が近くなると汚い作業服やら汗だくTシャツの団体で席が埋まり、便所行列ができるので、時間は選んだほうがよい。できたばっかりで店はまだキレイだし、店員の対応もまぁまぁ、Tポイント対応、支払いはカードで一瞬。と、そうこうしているうちに、もっと近い街道沿いに本家「からやま」を発見したので、そのうち通りがかったら入ってみよう。

からやま

こちらが元祖らしいが、どっちが流行っているのかは知らん。隣町の自動車専用道ランプを降りて、いつも渋滞してる直進車線を尻目に右折専用車線を猛然とダッシュすること30秒くらいか? 店舗の規模は「から好し」の倍くらいだが、テーブル席がその分多いくらいで、客席、オープンタイプ厨房、持ち帰り客の客溜まりから動線まで、基本的な配置のコンセプトはそっくりパクられてるな(笑)。若干ヴァリエイションは増えるものの、メニューの値段も100円引き券もシステムはほぼ同じ。

開店後30分くらい。80席ほどに客2名。から揚げ合盛り定食に+2個、ご飯普通盛りをオーダー。揚げ置きなのか、注文後1分も経たずに出てきて驚いた。以下、「から好し」との比較。から揚げは衣のカリッとした食感を強調したタイプで火はよく通っていて固め(揚げて油切り10分といったところ)。大きさは同等。見た目に差は殆ど無いが、赤カリという唐辛子風味のから揚げが2個、普通のから揚げが4個。赤カリは味が染み込んでけっこう辛い。キャベツ多め。タレ? は塩辛目の醤油ダレと生大蒜を摺り下ろしたタレ。から揚げ自体に下味が付いており、特に必要性は感じないというか、胡麻ダレかと思って大蒜付けちまって凹んだ。キャベツ用にゴマドレッシング。味噌汁はとろろ昆布。飯の消化用に卓上に烏賊の塩辛と大根の漬物があるのはありがたい。冷たい緑茶を最初に配膳してくれる。

こちらも店はキレイで店員の対応も良い。持ち帰り客がひっきりなしに出入りしており、繁盛している模様。「かつや」を経営するアークランドサービスのチェーンの一つだそうだが、揚げ物では先駆者だけあって、から揚げは「から好し」よりもカリッとした香ばしいタイプだが、一般受けは逆かな? 生大蒜は昨今の“ラーメンに生大蒜”的な朝鮮文化をこよなく愛好する階層をターゲットにしているのだろう。どうせなら生姜にしてほしいのと、全国チェーンなのにカードも電子マネーも一切使えずで、まだまだそういう世間もあるものなのかと率直に驚いた。

スタ丼の鬼のから揚げ定食

某醤油の町。一仕事終えて回転寿司に入ろうとしたら、まだ回転どころか開店もしておらず、停めちゃった車を動かすのがタルいので目の前にあった店に入ったらスタ丼だった。スタ丼初体験。入ってからうわぁと思ったが、時すでに遅し。見渡す限り客が0で暇してた黒装束の姉ちゃん2名に追い立てられて席に着く。基本的にメニュー写真に生卵載せがある店には入らないのだが、窓際テーブル席は広々として清潔でナカナカ居心地がいい。テーブルのタブレットで注文するようで、生卵の載っていないメニューを眺めるが、生姜焼き?定食にチャーハンにカレーにラーメンと日本食の糖質王道メニュー。う~んと唸って伝説の「鬼盛りスタミナから揚げライス」を選択。伝説だそうで(笑)。画面が遷移して超鬼盛りも選択できるようだが、量がわからんから普通でいいわ。飯は大盛り・小盛りが選べるが量がわからんから小盛り。タレ? を大蒜醤油ダレかポン酢から選べというのでポン酢を選択。注文ボタンをタップして完了。

セルフなようで、テーブルのプラ・コップにピッチャーで冷水を注ぐ。11時を回り、爺さんが一人ご来店。持ち帰りレジの前でグダグダ要領悪く姉ちゃんに注文させて、なぜかオレの後ろのテーブルに座る。姉ちゃん呆気にとられるが諦めた模様。しかし、ガラガラなのになんでオレの後ろに座るのよ? と思っていると、今度はおっちゃん一人。カウンターにどうぞと言われ、オレが座るテーブルと通路を挟んで至近のカウンター席に座る。店は広い。客はオレたち(2人)と爺さんとおっちゃんのみがほんの数㎡に密集していて最早理解不能。時間が経つにつれ更に男一人客が増えていくが、何を好んでカウンター席に密集していくのか、不思議を通り越してケッタイとか面妖な世界であるな。

ちゃんと揚げたとみえ、10分ほど掛かってオーダー品が到着。どこが小盛りなのか、着色たくあん2枚が載ったてんこ盛り丼飯の量に目が点になる。米粒は細長めであまり粘らない「はえぬき」あたりの古米か? 凡庸だがワカメの味噌汁付き。から揚げは8個くらい載っていたかね。一つの大きさはそれほどでもないが、山にはなっている。同じ高さになっている千切りキャベツの山と添えられたマヨネーズの量に慄く。向かいの同伴者はノーマルのスタ丼のてんこ盛りに目を瞠っている。肉は豚肉のバラだわ。から揚げ一個と肉一枚を交換して、予想通りの甘たらコク旨濃厚大蒜醤油添加物てんこ盛り風味に仰け反る。これに生卵って……、肉の濃い味が薄まるので丁度良いらしい。半分ぐらい食ったところで卵が足りないそうで、メニューを眺めて温玉を発見。さっそく追加してた。

脂に油って、から揚げにマヨネーズは無いと思うが、試しに箸の先につけて舐めてみると、なんだか異様に甘い~上に凄い量だな、おい。から揚げはブロイラー腿肉、下味薄目で大変結構だが、大蒜風味がかなり強くて閉口。衣は竜田揚げ風のカリッとしたタイプ。ポン酢はスダチと醤油で出来たものではなく、まぁ、在り来たりのよくある業務用出来合い品と思われる旨味増強タイプで、塩振って食ったほうがまし。から揚げをモシャモシャ食いながらメニューをゆっくり見直すと、から揚げ単品もあるじゃないか! 失敗したなと思っても後の祭り。たくあん二切れでショボショボ食うも丼の白飯を持て余し、とろろを追加してなんとか完食。

支払いはカード、電子マネー可でちょっと感心した。近在のスタ丼はどこも現金のみの食券販売機が置かれているので素通りするだけだが、同じチェーンなのだから近代化してほしいものだ。もっとも、眺めていて5人ほどの内、現金以外で払っている客は一人も見なかった。もっと驚くのは会計時に手渡されたレシートをゴミを寄越すなと言わんばかりに、内容も確認せずにカウンターの不要レシート入れに捨てていくこと。まぁ、ウチの場合は二人以上での飲食なら経費になるというのもあるが、カードの場合は取引金額、電子マネーの場合は残額やポイント数を確認する最も簡単な機会なわけだが、さぁすが現金払いは御大尽揃いで感服致しましたぁ。

和風お手軽節約麻婆豆腐

豆板醤

郫县豆瓣醬と書いてピーシェン・ドーバンジャンと読むわけで、要するに四川省ピー県というかっぺ中のかっぺの在の豆板醤なわけだが、いろいろ試した末に落ち着いた先は「丹丹」と「川老恵」。どちらも500円~700円/kg程度だが、国内の輸入業者や代理店通してないから安いよね。「丹丹」は本国ではレシピで指定されていることも多い最高級品で、そら豆がゴロゴロ入っていて驚いた。ちなみに箱の中はさぞかし立派なガラス器にでも入っているのかと思ったら、ただのビニル袋入なので別の容器に移し替える必要がある。緑色食品マーク(中国の優良食品を表すらしい)付。姉ちゃんは別途、非売品。「川老恵」も細かく切った唐辛子とそら豆がザクザクで、紅油成分が多くて仕上がりが売り物のよう。どちらもそれほど刺激的というわけではないが、よく目にするペースト状のモノとは風味も使用感もかなり異なる。何だったんだろうな? 今までのやつは。

麻婆豆腐2018

羊肉の粗挽き挽肉を手に入れるのはかなり難しいので、大抵は牛の粗挽きで誤魔化しつつ節約する。節約して貯金しても銀行にお布施してるのと同じなので、基本はモノに替えてしまうという取り立てて工夫もなく定石通り。もちろん、都会的洗練とは無縁の下層土民に相応しい豆腐は硬めの重い木綿しかない。島豆腐なら尚良いが高い。大豆は国産である必要性はまったくないが、一丁200円越えないとこの国の豆腐はもうダメだ。質が悪すぎ。木綿を名乗りながらも大豆の味を殺したフニャ豆腐ばかりで悶絶。豆腐は薄い塩水でしっかり下茹でするのがかっぺの習わし。葉大蒜も季節が限定されるので葱で代用。初回、挽肉、丹丹、大蒜、生姜、豆鼓で炒め合わせた大量の肉を保存し、2回目以降は「川老恵」を加えて再加熱して調理する。豆鼓は陽江産が安いが麻婆豆腐なら永川産が正宗かね。猪口才にして貧乏臭い真のかっぺ風・和風節約麻婆豆腐である。

ワカメスープ

豆腐を割るときにスープは必要だから、ついでに作る鶏ガラ基調のスープには五香粉をたっぷり振る。葱と水以外はもちろん中国産。完璧。

かつて和食を作っていた調味料

他人のレシピを見ていて、酒=料理酒、味醂=みりん風調味料、塩=精製塩、醤油=大手メーカーのスタンダードグレードだったりすると、即座にそのページを閉じる。それは、味覚という基礎的な感覚を共有することが出来ないからに他ならず、結果として先を見る意味が無い。その時点で、同じ言葉で同じことを語っても、中身は大きく乖離している。多くの加工食品やかなりの割合の外食も似たようなものだが、自分で選べる場合ぐらいは、自分が求めるものを考え、探し、入手する。それは「コダワリ」ではなくて、生き様の違いであるから、相交わるものは無い。

味醂と酢は一升瓶

純米酢と刺身醤油は尾道のマルシマ製。刺身醤油は小豆島ってラベルにあるがOEMかな? 再仕込みで濃厚に仕上げたもの。マルシマって醤油メーカーとしては著名だが酢も作っていたようで、面白そうだから買ってみた。味醂は定番の入江豊三郎本店と佐原の老舗、馬場本店の白味醂。他に三河の角谷文次郎商店、蟹江の甘強酒造あたりを使い回す。飯作りながらチビチビ味わうのに最適。

醤油は1リットル

一升瓶は重いとか邪魔とか評判がすこぶる悪いので、こちらは1リットル瓶。実際、一升瓶はキッチン流し台のスライド引出しだと首がつかえて入らない(笑)。こよなく愛する定番の正金、リクエストが多い井上古式、たまり醤油は知多半島武豊の丸又製。


2018/11/18 作成__2018/11/19 最終更新