恵方巻2018

今年は予約可能で配達してくれるイトヨとイオンだけ。西友は去年に引き続き買い逃した。予約受付しないで売り出して30分も経たないのに売り切れって、ホントに売ってんのかよ?(笑) 発祥の地7/11は何を勘違いしているのか、内容が著しく見劣りするのでもう止めた。価格押さえてショボくしてまで食うもんじゃないだろうに。伝統的な信仰として関わっている人には申し訳ないが、恵方巻に限らずこの手のイベントって、今やどこまで阿呆になれるかを競うものじゃないの?

イトヨ

去年良かった印象が残っているので今年も。適当に見繕ってネスパで注文。1/31着。ペットボトルの黒烏龍茶をおまけでたくさんくれるが、茶のペットボトルってどう足掻いても紛い物だし、加工飲料貰って喜べる歳じゃないし、寿司にペットボトルの烏龍茶の組み合わせは理解の範疇外。

イトヨ恵方巻2018外観

海鮮巻は具を盛り込み過ぎ。具材の質はそれなりに良いし、見栄えも映えるがヤリ過ぎ。単独で成立するレベルの素材の風味を多重化すると、もう何食ってんだかわからん。

海鮮巻切断面

肉巻きはまぁ、それなり。アンガスだのイベリコだの、その有意差を理解している人がどれだけいるのか甚だ疑問。大切なことはラベリングで如何に釣り上げるか?(笑) という思惑は深く理解する。

肉巻切断面

本鮪はフツウの蓄養で、これといって面白味はないが、凡庸ながらも、もはや恵方巻の定番中の定番。

本鮪巻切断面

いちばん安い焼き鯖ゴボウとエビカツ・オムロールがいちばん良かった(笑)。

安旨切断面

イオン

派手に煽ってた去年と同じかと期待してたら、意外にメニューが一新されていて面食らった。去年は一品豪華主義だが、今年はアンサンブル巻で来たか。日を空けて2/3着。新橋よしたけ監修の太巻きは玉子が一周していてトボけた味わい。今年の白眉は一般的な具材の方向と直角にネタを巻いた6種巻きで、その6種は、

1:陸奥湾ほたて:貝毒で不振の陸奥湾は筏、噴火湾は蒔き、今をときめく猿払が天然だっけ?
2:千葉のつりきんめ:底引き網に対しての釣り。伊豆諸島の深海産。銚子、下田に水揚げ
3:石川の甘えび:量と姿はロシア、カナダ、北海道だろう
4:明石浦のもみじ鯛:春の桜鯛、秋の紅葉鯛。関西では鮪より高い
5:讃岐さーもん:トラウトサーモンの海面養殖。ハーブ餌だっけ?
6:戸島一番ブリ:宇和島沖の島。身が白い養殖ブリでは一番有名かな
通し:長崎のクロマグロ、薬味ねぎ、大葉

イオン2018外観

であって、要するに切る位置で中身が六変化するってことね。味わいが混じって何食ってんだかわからないイトヨの豪華巻きに対する回答にもなってるか。キンメと甘エビ、紅葉鯛以外はブランド養殖か蓄養だろうが、養殖の致命傷である鮮度落ちもなく、脂っこくて身が締まらないことを除けば発想は面白い。もっとも、普段なら具材としては「ふ~ん」で通り過ぎるところ。でっかいキンメなら丸ごと一本、フワッと煮付けにしたいね。

いちばんおいしかったのは、穴子と玉子の太巻というシンプルなもの。

イオン恵方巻切断面

3、4回分は飯を作らなくて済むから楽チンではあるが、どうにも見映えが豪華なだけでセンスに欠けるというか、粋じゃない。主材は生モノなら一つで十分。元々、縁起云々には無縁だから単純におもしろければよいのだが、予約注文とはいえ一定の数を揃えなければいけない販売側の限界が露呈している。一般に「安くておいしいものはない」のは事実だが、価格にふさわしい質か? と考えると疑問に思わざるを得ない領域ではあるな。

恵方巻を食べるようになって、以前は敬遠していた養殖魚やフライやカツを巻いた海苔巻といった加工食品を食べてみると、自分の味覚がすっかり時代遅れになって、本流から外れるどころか傍流にすら乗れない末端の涸れ沼で干上がりかけていることに気付く。結果的に、世評の高い外食店や惣菜店の見た目に拘ったおいしそうなクイモノに対する期待は高まる一方だから、一口食ったときのガッカリ感も半端ない。味付け済みの加工食品や冷凍惣菜を盛り合せただけ~、なんて当たり前のご時世になってしまった。かつては個人の絶え間ない修練やセンスに依存していた「質」が、個人に頼れなくなった代わりに、テクノロジィによって補完され、マジョリティによって平準化されたってところか。くわばら、くわばら。


2018/07/22 作成__2018/07/22 最終更新