秋葉原の思ひ出

前世紀末にはしばしば徘徊していた秋葉原。しかし、まぁ、なんというか。今の秋葉原は場違い感がひしひしと身に迫る。平日、いちばん多いのは極めて均質に見えるサラリーマン着やサラリーウーマン着をオシャレに着こなした若年から中年の男女で、一様に首から自らの所属を示すと思われる名札? のようなものをぶら下げて、気高い上品さを振り撒きつつ談笑しながら連れ立って闊歩する様は現代の貴族「一部上場正社員」様なのだろうか?

神田と上野御徒町、柳橋に挟まれて、どちらかと言うと食の不毛地帯に近かった秋葉原だが、再開発に伴うビジネス需要の増大につれ、飲食は主として昭和通り側へ拡大が続いている模様。拉麺、カレー、バーガー、牛カツの激戦区になりつつあるそうだが、どれも遠慮したいかな(笑)。UDX隣接の山の手京浜東北高架下にはJR系の店舗と、どこがグルメなのか意味不明というかタダでも要らないB1グルメの露店が並ぶ。30秒おきに轟音が降ってくる古・汚・暗と三拍子そろった高架下にはピッタリのジャンクだわ。移動式の仮設店舗ならショバ代ふんだくっても固定資産税払わなくてよいだろうし、不動産屋としては笑いが止まらんか(笑)。

肉湯麺

豚肉と葱のシンプルな醤油麺。出汁は鶏ガラ、白胡椒たっぷり。画像と本文は関係ありません。

昼:魚がし日本一

雨の所為? か、UDX内はどの店も名札をぶら下げた紳士淑女の団体さんで大行列。メニューは総じて市価の3割高で、豪奢なおビルの一部上場企業にお勤めの方々向けであることは言うまでもない。びっくりするほど大盛況だわ。何処かで聞いたことがあるようなチェーンの各店舗、寿司、鰻じゃなくて櫃まぶし? 天麩羅等々。上品にセンスよくまとまって、ヨドバシ飲食街と同レベルの今風にして底が透けて見えるキラキラ感でいっぱい。その列に並ぶのは余りにも身分違いなのでスゴスゴと退散。濡れる距離が最短で済むエスカの先のatoréへ。意味不明な和製仏語はJREの子会社NREが各駅で展開するエキナカの名称? なのかな? 電車滅多に乗らないから不詳です。昔、秋葉原デパートだった部分を買収し、ピカピカに改築した? 中身は変わり映えのしないスイーツとNRE系列のカフェ、バーガー、コンビニ他。外に出ないとやっぱダメ? と絶望しかけたら奥の方に寿司があった。手前が持ち帰りで奥が立食い。あちこちにあるけど一度も入ったことがない「魚がし日本一」。NRE系列は確か回転だったはず……と、でないことを祈る。覗いたらすぐ食えるようなので指定位置へ。8割ほどの入り。奥行き30cm、高さ85cmのSUS製カウンターに小皿醤油生姜粉茶と黒いプラ箸、湯呑み+セルフ給茶機という回転寿司グッズ一式。おしぼりが出て、まず生中。ネタケース前が高さ120cmほどのSUS製付け台になっているようで、そこに小さなハランが置かれ注文を促される。模様眺めでセットの1.5人前。握り4貫ほど出たところで、ようやく生ビ。380~420mlほどの中か? と首を傾げるよくある小振りなジョッキ。

つけ場は職人3人。ちゃんと握れているがシャリがちょいとデカいな。砂糖少な目、酢はきちんと効いていて、温度も人肌+で合格。ネタは予め切り分けて、ネタケースに並べるタイプ。セットだから、まぁ、味に関しては語るほどの特徴がない、というか記憶に残らない、サーモンや大西洋鯖の〆鯖が入る回転グレード。総じてちょっとお疲れ気味。エッジが立ってない。味のない蓄養鮪は特にダメ。

肉豆板醤湯麺

豚肉は豆板醤でじっくり炒めている。葱と蓮根のシンプルな醤油麺。出汁は鶏ガラと豚骨、白胡椒たっぷり。

周囲はもちろん品良く器用に箸で握りを挟んで食ってるが、付け台はH=1200、醤油皿はH=850、その間をほぼ垂直に上下移動するわけで、喰い難くて堪らんので途中で箸は諦めた。右隣の婆ぁ、左隣の若い正社員に汚物を見るような目で見られるが気にすることはない。握りと軍艦、玉子で14貫(くらいか)、頃合いを見て小アラ汁が出て最後は“ネギトロ”手巻き。追加で煮蛤を所望。お好みは2貫から。う~ん、この均一すぎる食感は、開いてパックになって流通してる冷凍中国産業務用寿司ネタかね? 1枚50円のネタを握って詰め塗って200円なら妥当な値段か。ラストは穴きゅう。斜め削ぎ切りにした痩せた身肉は南米産マル穴子か? (笑)。細巻きにすると+50円という、まぁ、わからんでもないシステム。勘定を告げると伝票を渡される。外の売店のレジで支払い。駅ビル内だからPASMO(=Suica互換)可なのは当たり前として、カード払いも可で大変ありがたい。

昼:金沢ゴーゴーカレー

曇り空に持ち直したので駅を抜けて昔懐かし駅南へ。この辺りも随分変わったな。すえた臭いが立ち込めていたオゾマシイほど汚え公園は失くなっちゃったのね。昭和通りまで行くつもりはないんだが、日高屋じゃなんだし……、鮨屋か鰻屋か蕎麦屋でもないかね? と更に進んだところ。ちょうど扉が開いて、中から数人が出てきて、「お気をつけて行ってらっしゃいませ~(うろ覚え)」と店員が客を送り出す声にチラ見したら、思いっ切り目が合って「いらっしゃいませ~」と言われちゃったので入ったわけ。営業は大事だよね。

入って右側に古式ゆかしい現金のみの食券販売機。前のヤツが手こずっているうちに壁に貼りだされたメニューを眺める。カツカレーの店らしく、それほどヴァリエーションはないが、大きさとトッピングを指定できる模様。カツが2枚載った「メジャー」に手が伸びるが、小さな字でロースカツ+チキンカツと書いてあったので、下から2番目の分量のロースカツにロースカツ1枚追加(200円)とラッキョウ(50円)で。Total:930円だったかな? 豚ロースとチキンが同じ価格っておもしろい。ビールは缶だったからヤメた。

偽海鮮麺

冷凍と乾物と缶詰を使い回したインチキ海鮮麺。Junk万歳!!

食券は呼び込み兼席案内のあんちゃんが即座にモギってくれて、厨房へオーダーを通してくれる。奥行き30cmほどのポリ合板カウンターには真っ赤な福神漬けと冷水ピッチャー、紙ナプキンなど。ほどなくシルバーの楕円ステンレス皿。飯が見えないようにカレーに覆われ、隅にキャベツ千切り、トップに包丁の入ったカツが二枚、ド~ンと。カツには蛇が這うようにソースが掛けられて、給食のフォークのようなものが一本。

カツは店内で衣をつけて揚げたと思われる揚げたて。衣は固く、肉厚は8mmほど。火は通り過ぎ。80g/枚ほどの背肉。下味を付けていない? のか味わいに欠ける。カレーの見た目は黒いぐらいだが、カレーとしての風味は極度に薄く、レトルトのシチュー的煮込みのようなまろやかな味わい。カツカレーというよりはソースカツ丼にブラウンソース加えてみましたって感じですな。カレーに比して米は非常に多い。柔らか目でコシヒカリ系。分量は見た目の倍はあるな。総じて腹は膨れる。苦しいくらいだ。

常日頃思うんだが、米と生キャベツ千切り、カレーと生キャベツ千切りは食べ合わせた食感が最悪で根本的に合わない。誰が始めたのか知らないが、野暮や悪趣味を通り越して異常な状態。「ルー増し」もできるそうだが、ここでは俗に云う「カレーそのもの」を指しているのか、スパイスが香らず平凡なカレーに「ルー」を倍増させて味を濃くしてくれる? という意味なのかは不明だ。「ルー(roux)」は小麦粉を油脂で伸ばしたトロミ付けを意味し、近年の拡大解釈としてインスタント商品の溶かすだけの固形分を指すものだと理解している。水は軟水のミネラル水だろうか? 非常においしくて、つい飲み干した。さぁ、ビール飲み行くべぇ。

アスパラ麺

メヒコ産生アスパラと唐揚げの残りで。残飯整理万歳!!

昼「天麩羅某(特に名は伏す)」

中央通りの西側、昔、パーツ屋街だった路地の南端に近い側(おでん缶詰の自販機の並び:分かる人には分かる?(笑))にある崩れ落ちそうな木造二階。この辺りに足を伸ばすのも十年ぶりくらいだが、まだ営業中で驚いた。丸五は新装したが、こちらは跡継ぎも無さそうだし風前の灯状態。年配夫婦もすっかり爺さん婆さん化しており白髪でヨボヨボ。歩行に支障をきたすほど腰が曲がっとるわ。今回は時間がないから天丼で我慢したが、逝く前に鰻食いに行くからね。待っとってね。

以前は木だったブロンズ色のアルミ引き戸をカラカラと開け、先客カウンターに2、テーブルに2。4席しかないカウンター(椅子だけ減った(笑))のいちばん奥へ。メニューは恐ろしくシンプルになって、天丼、天麩羅定食、刺身定食に鰻重のみ。鰻重には最低30分表示が追加されてるな。カウンターは白艶消し塗装の今風に作り替えた模様だが、その他はあらゆる意味で昭和中期のままなので今風の女子供が来る店じゃないから(笑)。

生中ジョッキはたっぷり500ml入る正統的なジョッキ。取り合わせは妙だが、丼モノとして容認できる数少ない丼の一つである天丼を選択。ネタは茄子、ピーマン、烏賊、キス、穴子、車海老。合わせ出汁の味噌汁、胡瓜と沢庵のお新香付、900円。胡麻油が入った揚げ油で揚げた天麩羅を一旦ツユに潜らせてから飯に盛り付ける由緒正しい江戸前天丼純正統派。もちろん飯はあくまで白飯で底がビチャビチャなんてことはない。冷凍モノを使っていないこと、烏賊はスルメ、穴子は真穴子、キスと車も本物なので、この値段なら文句なしの絶賛レベル、というか趣味で営業してるレベルだね。“てんや”レベルの非胡麻油“天麩羅もどき”、タレとか掛けちゃうフリッターがデファクト・スタンダード化している昨今においては、正直、材料がモッタイナイと思う。穴子、海老の下拵え、具材に応じた揚げ加減、天つゆの味付け含めて素晴らしい。車の尻尾部分の殻がキレイに剥かれているのも特徴か。

食ってるうちにバラバラと客3新規で満席状態。レジ向かい入り口脇にはプラケースに新聞敷いてキス(けっこう大振りの上物)が丸干し中。キナコちゃん(猫)が興味津々で彷徨いている(笑)。

夕:魚がし日本一

最終日。耐え難きを忍べばいずれ終りが来る。丸五に行こうと思ったが、金曜の所為か明らかに人が多いので早々に断念。見渡す範囲はオシャレな紳士淑女で一杯なので、安直に「魚がし日本一」再度。予想通りガラガラ。コの字カウンターの奥にカップル、正面に若輩の給与生活者、その中間の出隅が指定だとさ(笑)。

生ハムつけ麺

生ハムの在庫整理つけ麺。つゆは鰹・昆布系の和風出汁。

黒板に新子の文字。(コハダの子供)と注釈が付いているが、説明が必要な人に出すネタじゃないだろう? と早速、新子(2枚付け、塩がちょっときつい、締め過ぎ)と煮蛤(相変わらず)。ここでしゃり小を告げると周囲の客がオアイソ(笑)。ほどなく新客お一人様はガラガラなのにオレの右隣で並んで食えと(笑)。これがまた若くて肌のきれいな美人のお姉ちゃん。育ちがいいのか困惑もせず素直に店員の指示に従う。所作が台湾か大陸かは知らんが、明らかに日本人じゃないけど、最近の日本人より日本人ぽいな(笑)。

美人だからといって眺めるわけにもいかず、さんま(生臭)、漬け鮪(バチかキハダ。可もなく不可もなく)。オレの手食いにお姉ちゃん目を見晴るが気付かない振り。アオリイカ(固いわ。隠し包丁入れろよ)、炙り鱧梅肉(ゴム)。こりゃ酷えとモシャモシャするも、噛み切れず難渋。何を思ったか、お姉ちゃん鱧の梅肉和えをオーダー。あああとは思ったが後の祭り。ラストはもう一度新子と上穴子(価格は倍だが、こっちは真穴子(笑))、生ビx2で腹いっぱい。職人に会計を告げ伝票を掴む。カード払いで粛々と退散。回転ネタばかりで、いざ、お好みで頼むと、選び甲斐がなくて選択に苦渋してしまう辺りが残念。

正宗担担麺

ピーナッツの代わりにアーモンドだが、構成はオリジナル風の担担面。Junk万歳!!

PASMOは随分以前に預託金なし+ランニングコスト0、オートチャージで0.5%還元のカード一体型にしたので、オサイフケータイ自体の必要性は個人的になくなった。所詮はガラパゴスの国内独自仕様に未来があろうとも思えないので、切るなら早いほうが良かろうとも思ったが、携帯端末を変えたらオサイフケータイが使えなくなって丁度よかった。中のEdyとnanacoは使い切るしかないのか? と思ったら、回線なくてもオサイフケータイ自体はFelicaのchip同士が通信できればそのまま使えるようだ。通信が必要なソフトは使えないが、中身もパソリがあれば問題なく確認可能。で、nanacoカード2枚とモバイルnanacoでなんとか最後の事業税を納付。額にも寄るが税金が1%安くなると思えばけっこうデカい。

今度の中華携帯端末は以前の高額なパケット従量制ネット接続に比べると、一般的なインターネット・プロバイダ並の料金(+音声分)で接続が可能なので、自宅無線LAN外でメールをチェックしたり、各種情報を取得するにはそれなりに便利なように思う。OSやソフトウェアは殆どカスタマイズが効かない決め打ち仕様だが、操作性の貧弱さを補うという意味では良く出来ているのだろう。ワンセグといった国内仕様もガン無視なのがいいよね(笑)。電池が1日しか持たないことを除けば大きな不満はないが……、と思っていたら、OSアップデイトで省エネモードのアルゴリズムが変わったのか? 充電無しでも3日は楽勝。恐ろしく持ちが良くなって驚いた。

データ通信がほぼ無制限(契約は3GB超えで低速化だが、外出時以外は遥かに高速な自前Wifiで事が足りるから、そんなに使わん)になったので、必要なソフトを適宜インストールしているわけだが、ほぼすべて無料の範囲で事足りるのは貧乏人には嬉しい。パソコンではあまり使わないYahoo系のアプリケイションも無料の割にツマラナイ機能制限がなくてよくできているようだ。もっとも、Yahooニュースにはコメント欄が自動的に表示されるんだが、その内容があまりにも愚劣で笑える。正確には“サイテー”とすべきか(笑)。小学生の知見のまま中年になってしまった、ほぼ“オッサン”の、情けなさを通り越した悲しみというか寒さ。個人だけじゃなくて専門の世論誘導団体組織が関わっている可能性も排除はしないが、ニュース本文やYahooという企業の信頼性まで毀損していないか?(笑)

担担湯麺

緑はセルリの葉。香菜はいつでも手に入るわけではない。創作担担湯麺ということで。Junk万歳!!

で、1年後

旧アキハバラデパートを改築した駅ビルの中にある江戸前立ち食い寿司『魚がし日本一』。1年ぶり。去年は7割ほどの入りで直ぐにカウンターに案内されたのに、今は人気があるらしく並んでる。いい大人なのに2,3人でつるんで来るサラリーマン風客は、何故か隣同士並んで食いたいらしく、5分も待つほどなく立ち位置にありつく。生ビールと15貫くらいのセット物。カラスガレイの縁側や脂サーモン、植物油脂で誤魔化したネギトロ手巻きといったあからさまな回転ネタにまずは脱帽+絶望。江戸前が泣くぜ(笑)。気を取り直し、追加で2貫付けのコハダ、サワラ、上穴子(普通の穴子は真穴子じゃない)。去年も見掛けたいちばん年嵩の職人だったが、握りが雑。何よりもネタがくすんでいる。エッジが立っていない。どれもこれも味わうまでもなく、鮨として見た瞬間ダメなレベル。2貫目を食うのが正直辛い。ビールをお代わりしようという気もすっかり失せた。ところが驚いたことに、あちこちから“ウマウマ”という声が聞こえてくるし、隣の若い女性二人に至ってはオレの前に置かれたキビナゴや締めサバやコハダを見て“光り物も美味しそう~”等々語り合っていて ??? 印象深かった。思わず顔を見たくなったが、寸でのところで踏み留まった(笑)。仕入れの無かった日なのかもしれないが、この日本一の鉄道会社傘下の不動産屋が管理運営するテナント(=通称エキナカ)は、何処も彼処も場所を問わずホント駄目だわ。高額ショバ代とロイヤリティのシワ寄せを電車大好き民にどこまで転嫁できるかのチャレンジ処と化しているわ(笑)。カードが使えるのが唯一の取り柄。次はもうない。

テキトーつけ麺

日高屋の汁なしラーメン以外、外でつけ麺を食べたことがないから味の標準はさっぱりわかっていない。まぁ、太目の中華麺、鶏ガラ出汁、肉、水菜、葱、胡椒で。


2016/09/24 作成__2016/09/24 最終更新