Eat out 2015-秋から冬の外食短評

ずいぶん長く生きてきたが、結局のところ、運転手とミニバー付きの専用車の後席シートに深々と身を沈められるような境遇に至れるだけの甲斐性を持ち得なかったのは残念至極、馬鹿愚か。日々の労働を生きる糧としているLower故、メディアに取り上げられるようなグルメ店やオシャレな店には元々縁がない。業務の中ほど或いは終了後の利用とはいえ、すべて自家用自動車を自ら運転してのメシなので酒抜きの惨めで虚しい備忘録的キロクになってしまった。「残り時間」を考えねばならない年齢になって、せめて世間並みに世の現代日本食を味わってみたいと、入ったことがない店を集中的に選択している。

サバーブというよりはカントリィ・サイドのイオン・モール内のカレー店

店主は南アジア人だが味付けはすっかり日本人向けのお子様ランチ。食べ放題的なメニューが主流で、苦労が偲ばれるわ。ナ~ンは食べ放題対策なのか今流行? の幅50cmはありそうな無闇矢鱈とデカすぎ巨大ナ~ン。コレ全部食うのかよ~と、目が点になったぜ。マサラはマトンにしたが予想通りスパイス弱すぎの日式南アジア料理。マンゴー・ラッシーは生果汁で鮮烈だった。店主の応対は丁寧で好感が持てた、というか哀切すら感じた。本気出さないように頑張ってね。モール内なので個人店だがカードOK。

同じくサバーブとカントリィ・サイドの中間領域のイトヨSC内の中華

二軒中華が並んでいるが、メニューが中国系っぽい方を選択して当たり。厨房からホールの姑娘まですべてチャイナ。福建あたり。担担面(メニュー表記は日本語の坦々麺(笑))と炒飯のセットを所望。ココも麺や味付けは日本人向けのお子様ランチだが、担担面にはちゃんとピーナッツを砕いたものが入って好感だったので、支払いのときに姐ちゃんに謝謝しといた。五目炒飯は作り置きだけど、味覇使ってヨロこんでる日式のクドい味付けが施されておらず大変よろしかった。機会があればまた行こう。nanaco払い可。

harunoniwa

山田うどん

暫く走るも店舗が全く無い真性田舎道で、ようやく見つけたトラック運ちゃん御用達のダ~うどん。カツ丼と冷たいタヌキうどんのセットに売出し中の餃子を付けてみた。全く期待しなかったカツ丼は冷凍既製品だが背肉が結構厚くて卵もケチらず2個分使っており驚いた。つゆはちょっと甘いけど、つゆ切りも適切で飯がベチャベチャじゃないし、クドい旨味増強は感じさせず好感した。塩辛すぎて咽る松乃家よりもよっぽど上質なレベル。見直した。うどんは山田うどんの似非讃岐風“うどん”ということで相変わらず。蕎麦は怖くて食べたことがない。昼が近づくにつれ、どやどやと制服姿の警備員や作業員であっという間に満席。禁煙でよかった(笑)。餃子は冷凍品にレンジ加熱でピントが呆けた味わい。現金払いのみで危ねえ(笑)。

しゃぶしゃぶ・どん亭

生まれてこの方、しゃぶしゃぶをおいしいと思ったことがないので、すき焼きを選択。肉は量が牛でいちばん多いものを3倍に増量。……したのに、しゃぶしゃぶと共用のせいか透けて見えそうに薄すぎでガッカリ。割り下はダシ汁で薄めるわけだが、甘すぎ、人工味強すぎ。白飯とうどんはお代り自由らしいが、すき焼きってそうやって食うものだとは知らなかった。肉料理の店なのに肉を食うという醍醐味が全くないという意味で、値段は安いが悲しい。カードはOKで表示もあり。

回転寿司かいおう

平日の14:30すぎだというに、人生初の「かつや」に入ろうとしたらびっちり+隙間なく満席で驚愕し、即諦めて、周囲を見渡し目に入った回転寿司へ。回転寿司も数年ぶりかな? 聞いたこともなかった店で、ガラガラ閑古鳥。レーンは半分停止。動いている方もスカで、すべてタッチパネル注文。取り付け位置が高過ぎて腕が疲れるから嫌いなんだわ、タッチパネル。富山の企業らしいので、ご当地ネタを中心に食べてみた(鰤・白海老除く(笑))。皿は上段の別レーンで到着する。所詮はチェーンの回転寿司だが、ホタルイカの黒漬け(黒作り)など数種はまぁまぁ。価格がコレじゃぁ、まともなネタは出せないわな。鮨屋で食えないネタやデザートも積極的に試すが、所詮はC級品。表示は全く無い(笑)が、カードOK。

バーミヤン

すかいらーく傘下に下り、セントラル・キッチンになって大きく味を落として以来だから15年ぶりくらい。17:00寸前だというにランチ・メニューが置かれていて面食らうものの、揚げ鯖ランチ・セットにラーメンと餃子を付けた。水も来ないのか? と思ったら、自分で汲むらしい(笑)。セットはスープ・バー付きだが具を掬うのが難しい屑ワカメしか入っていない塩味スープのみで笑った。いや、まぁ、乾燥貝柱や乾燥アワビや乾燥ナマコを使っているとは思わないけどさ。鯖は衣付きで売られているタイセイヨウサバの業務用冷凍ピースを揚げただけだが、量もほどほどで揚げ立てだからおいしかったわ。メニューはすっかり街の日式中華料理店レベル、ランチはショボいわ、なんとかバーで集客するファミレスに成り果てた。すかいらーく系列なのでTカード付きのカードで払うと一回で済むのが唯一の取り柄。

とんでん

16:00過ぎでガラガラ。30年ぶりくらいかね。京樽が倒産、身売りしたあとも、しぶとく生き残っているのは知っていた。和食というよりは江戸都市住民の大衆食を現代風に展開した現代日本食ファミレスというべきか。元々、素材を揃えることが至難な上に調理人の技量に依存するためチェーン化には根本的にそぐわない、鮨、天麩羅、蕎麦をメインメニューに、しゃぶしゃぶや鍋物で彩りを添えるわけなので偽物感が半端ないのは仕方ないところ。お薦めの「生鯖」寿司と茶蕎麦、十勝豚丼肉2倍盛り等、目についたモノを超テキトーにオーダー。更に「飲み物付き」だというのでアイスコーヒーをプラス。味の方は完璧に想像通り。昔と変わらん「似て非なるモノ」。カードはOKでちゃんと表示もあり。

ロイヤルホスト

他に駐車場付きの店がなくて、またファミレスかぁ……と。ファミレスの中では数少ない店内調理だが、メニューはティピカル・ファミレス。安価なランチメニューは往々にして悲しいほど体裁だけで、中身も在庫調整と残飯整理レベルなので基本的には見向きもしない。かなり悩んで無難そうなカツカレーとサラダ単品、スープ・バーが勝手に付いた。残念ながらカレーは平凡で面白味の欠片もなく、カツは冷凍を揚げただけ。可もなく不可もない建前だけは完璧な典型的な現代日本食に恐れいった。支払いでカードを出すと、レジの笑顔のキレイな子が親切にも「他にJAFカードなどお持ちでないですか?」と訊いてくれたので、生まれて初めてJAFカードで10%引きになったわ(笑)。保険に特約付いてるから、すっかり親方日の丸天下り団体と化しているJAFもそろそろ用済みかと整理しようと思っていた矢先で、ちょっと悩むな。

ガスト

22、3年前、センセェしてたころ、現場代理人に一度だけ連れて行かれた覚えがある。東多摩の街道筋で“すかいらーく”から業態転換が始まったころと記憶している。当時「こんな店しかなくてすいません」と謝られた記憶があるが、今もそのレベルは相変わらず。当時からセントラル・キッチンの廉価を売りにするファミレスだった。今はもっと凄いのね(笑)。製造過程と原材料が目に浮かぶようで、メニュー眺めて思わず後退ったわ。結構悩んで、ハンバーグと目玉焼きにパンのセット、普通のピザを1枚。貧乏なので水(笑)でOK。しばらく経って出できたものは予想通りにして値段なり。パンにはバターじゃなくて角形のマーガリンが付属した(笑)。ホールのオネエちゃんは美人だし、とっても親切だけど、運ぶ料理がそぐわなくて可哀想なレベル。すかいらーく系列だからT+カードはOK。

かつ波奈

小雨降る寂しい内陸部の間道沿い。一仕事終えた15:00近く。眼に入るのはどこにでもあるチェーンばかりで諦めかけたところで見つけた、やっぱりファミレス風のとんかつチェーンらしい。読みは「カツハナ」。初めて入った。ナントカ豚や○○牛に全く関心がないし、“とんかつ”だけというオーダーも出来ないようなので、ランチ・メニューから恐らくカナダ豚のダブル・ロースカツ定食。キャベツ、ご飯、赤だしお代わり自由だが、用無し。とんかつ屋なんだから“とんかつ”を多く食べて欲しいと思わないのは根本が狂っていないか? 待ち時間に煎りゴマを自分で擂るのはどこかのチェーンでもあったなぁ、全く感心はしない。カツの揚げ加減はほんのりピンクが残る程度、肉の水分と旨味が衣できっちり封じ込められている専門店のカツ。衣は今風の生パン粉の荒目だが、品を失わない程度で許容範囲。130g程度の肉2枚で分量も満足できるレベル。ドレッシングやソースは多様多種が提供されるが、柑橘にマヨと女子供に迎合し過ぎ、素人向けでパッとしない。値段が比較的高めなせいか、もちろんカードはOK。徒歩圏なら利用価値はある。

大阪王将

人生初の王将。うっかりしているうちにもう残りが少ないから最近ちょっと焦ってるが、社長がサイレンサ付きのピストルで腹に4発も打ち込まれて射殺されちゃうという、なかなかハードボイルドな「餃子の王将」はまだだよん。駐車場付き路面店。ガラガラ。席に座るまでもなく、チャラいバイト嬢とおしゃべりに夢中の若造コックに萎える。注文は餃子とトンテキ肉1.5倍だったか? 冷凍炒飯付き。脂身が多いのに火の通し加減が素人。ソースと醤油と砂糖を混ぜてアミノ酸添加したタレが旨味強すぎ、味濃すぎ、甘辛すぎで仰け反った。調味料で人工的にコテコテ作り上げた味わいは、今風の流行りなのだろうが、昼抜き+肉好きのオレが後半辛かった。餃子は大蒜臭は押えられているが、小さめプニャっとした柔らかめの食感。中身がペースト状でこれまたコテコテの旨味添加で関心しない。表示はないが暗証番号打ち込む機械があったのでカードOKだった。

大阪王将2

別宅にメンテに出掛けた年末11:30。目白通りが神田川を渡る付近。営業している店はチェーンのカッフェぐらいで、街はガラガラ、それなりの集積がある飲食店はまったく開店の気配なし。昼飯難民になりかねないから仕方ないかぁと、入口で以前の記憶を反芻していると中のお姐ちゃんに「イラサイマセ~」と捕まる。西域風の血が入った日本語の上手い女の子、表情のない厨房の漢民族大男2名、オール・チャイナ体制。コレはもしやと、ちょっと見識を新たに。メニューは微妙に違うか? まず生ビール。酢豚に五目炒飯、半ラーメン、もしかしたらと餃子、卵スープ付。日本語で注文すると中国語でオーダーが伝達される。

目の隅で調理人を眺めると、ときおり中国語のマシンガン会話を挿みながら、火力全開の超高速調理。お~スゲスゲ。馬鹿みたいに中華鍋煽ったりしないぶん、凄いわ。出てきたものを摘むと心なしかクドい旨味が薄い。まぁ、メニューや基礎的な味付はバカの一つ覚え的なステレオタイプ日式中華で、チェーンだから素材も同じなんだけど、初回路面店よりは遥かにおいしかったわ。ちょっと見直した。ココもカードOK。

安楽亭

16:00頃。昼抜きの昼飯。多分人生初めてのチェーン朝鮮焼肉屋。牛肉がいちばん多い2種選択をカルビとロース、ユッケジャン・クッパに変えた。白飯や野菜は元々不要なので適当に残すわけだが、ドリンク・バーも自動的に付いてしまうのがウザい。オーダー品が出揃う時間潰しに世で人気のドリンク・バーを眺めるが、味付き色水やら薄ら不味いコーヒーと茶ばかりで飲みたいものがないんだよな、こういうのって。肉はアメリカ牛のようだが赤身肉以外に興味が無いので無問題。タレが甘ったるいのは、もう、どこも同じなので最初から諦めて塩胡椒で食う。価格は安いが量はホドホド、質もまぁまぁ。腹いっぱいには程遠いが、酒抜きでは食が進まん。客扱い、メニュー共こなれていて好感度は高かった。カードはもちろんOK。

ヴォラーレ

イタリア・スペイン料理の個人店らしい。店主? は南欧人。テラス席でバカップルがタバコ咥えて気取っていたり、電通語の「女子」が群れ集う、よくあるオシャレなタイプ。ランチは終了していた時刻で、ア・ラ・カルトで所望。ウニのクリームパスタとサーモンと香菜のサラダ、カッフェ・ラッテを付けた。サラダは目を剥く凄い量。大量の香菜とキングサーモンと思われる色濃いサーモンがふんだんでちょっと驚く。味わいはオリーブオイル強めで塩胡椒のみと恐ろしくシンプル。ヴィネガを使った味付けだろうと想像していたので、尚更新鮮だった。生サーモンも生臭味皆無で非常に旨く処理されていて素晴らしい。パスタは直径30cmもあるデカイ皿の真ん中に直径12cm。一見チョビっと。目にして失望感を隠せないオレのショックを嘲笑うようにニヤけた店主自ら周囲にエアゾールタイプの生クリームをたっぷり一周。およよ。すげー。中心のパスタにフォークを突っ込むとチョビっとに見えたウニ・パスタの盛り付けがほぼ球状で奥が深い(笑)。冷めない工夫に感心。ウニは生臭みを強い酒で消して濃厚なクリーム・ソースで和えている。ウニ自体はこの手の店としては粒立ちもよくミョウバン臭くなく、尚且つ原型を留めていてもう一度感心した。パスタも極めて稀なことにアルデンテで非常においしかった。また行こうと思えるレベル。

ステーキ・どん亭

メニューを眺めるも、好みの350gや400gが無い。いちばん大きな300gのリブロインは高価な割にはソースが醤油味みたいなので、サルサ・ソースが付いた200gの米産サーロイン・ステーキで妥協。小っさ(笑)。パンと具無しコンソメ・スープが勝手に付いてたかな? パンの付属は一応バター。肉の添え物はジャガイモとインゲンだったかな? 肉はチルドのようだが薄いから焼けすぎ。肉を喰わせる店というよりは、肉メニューに絞ったファミレス・レベル。つまらん。

ポポラママ

ココも初めて。醤油味のパスタを出すような店は原則敬遠しているので今まで足が向かなかった。夕方5時前。客皆無。アボカド+トマトのジェノヴァ風パスタとピッツァ・マルゲリータ、肉が余りにも足りないのでソーセージ盛り合わせを所望。ドリンク・バーを勧められるが、ああいうのは好まない。水はセルフ(笑)。パスタは生なんだろうが腰のない“うどん”みたい(笑)。スパゲッティーニに近い細目のスパゲッティに生が最適かね? バジルソースに松の実入ってるか?(笑)。工場製のレトルト・ソースでアボカドとトマトを和えただけだわ。値段なりとはいえ、ピザは典型的な日本人向け冷凍ピザで、チーズはチーズフードだし具の量もショボい。スカスカ。小麦粉の台を食いに来たと言っても過言ではない。ソースも麺も外食というよりは加工食品のレベル。コンビニやスーパー惣菜の味だから若い人には受けそう。おまけにcash onlyで仰け反った。価格が安いのとバイトの姉ちゃんが見惚れるほど美人だったのが唯一の取り柄。

ステーキ&カフェ

人生初のアウトレット・モール。感激。上中流国民が集うオシャレな場所は身分違いだし、緊張するし、惨めな思いをするだけなので滅多に行けない。選択肢はセルフのパスタ屋か否かと限られているので、迷わず選択。残念ながらランチはどれも白飯付のワンディッシュなので、1/2Lbのリブ・ロインに勝手に付いてくるスープとサラダ、ピンク・レモネードを選択。サラダとスープのショボさに愕然としつつも、肉に期待を寄せるが、肉もショボかった。付け合せは冷凍揚げ芋と冷凍揚げ玉葱のリング。リブ・ロインは米産で筋がちょっとウザい。ソースは二種類提供され、甘辛醤油味でない風味があって助かった。小洒落た店だからカードはOK。

番外:メゾン・カイザー

チェーンのパン屋としてはソコソコ有名な店だが、ココは店内飲食も可能なようで、気取った感じのオバサマ・セレブ団体や林檎マークのノーパソ広げて高尚な業務を遂行中の意識高い系ビジネス・ウィミンでいっぱい満席。で、余りにも場違い+身分違いに一瞬躊躇するが、そんな雰囲気をモノともせずに、早口の中国語で姦しく語り合いながらズカズカ突き進んでいく中華父子を盾に連れ合いの顔をして潜入。期待した割にはどうということのない普通のパン屋。主流はゴテゴテ飾った日式惣菜パンや菓子パンの類で他所と変わらん。端っこの方に固められたハード・パンを幾つか。価格は高め。カードが使えるのはヨロシイ。持ち帰って早速バゲットを齧ってみるが、油脂や乳を練り込んで、塩気が薄くネチョネチョと歯にくっつく湿気の多い“ふにゃパン”とは正反対の無駄な雑味がなくて固く乾燥したパンを期待し過ぎると大きく外す。近隣の食えるパン屋が壊滅した今となっては、まぁ、妥協せざるを得ない範囲内ではあるかな。

おまけ:いきなりステーキ

昨年、連休中日に仕事のついでに鰻でも食おうかと近くの築地場外に行ったら、11時前だというに、これがまた街路は芋洗い状態で、食い物はボッタクリ観光地並で、まともな店は揃って休業日で、笑ったわ。3割の外国人と5割の観光客、2割のバカップルでお腹いっぱい。酷えな。ここまで陳腐化しているとは思わなかった。漁港の海鮮飯屋や寿司屋とどこが違うのか、“ちらし”ならぬ、目の玉飛び出そうなボッタクリ海鮮丼に長蛇の列ですよ(笑)。何なの? 海鮮丼って。丼ならば売る方も買う方も笑いが止まらない昨今の事情には心底滑稽にしてウンザリ。取材の手間すら惜しむステマ・メディアと結託すれば、養殖だろうが冷凍だろうが産廃(笑)だろうが、売ってる人間以外どうせ味なんかわかりゃしねぇ(笑)のは事実だから、瞬く間に鮮度抜群のグルメに早変わり。金のためには何でもありの中国人が中国人向けのオヨヨな食材を並べてるアメ横地下異界や北池袋租界の方が遥かにましなレベルではあるが、マジョリティがクズを消費して需給のバランスが完全一致するのは微笑ましいことであることには違いないので批判をしているわけじゃなくて、むしろ心の底から喝采している。直接的な暴利を得られる販売者とソコにタカるメディア産業、「築地で海鮮丼を食べた」という至福の満足感が得られる“養分”ほどのダイレクトで心に打ち響く幸福は感じないが、結果的に、求める人すべてには行き渡るはずがない良質な素材を私が得られる可能性が高まるという意味において、消極的ながらも利益を享受できる可能性は若干高まるというもの。よしよしと世の隆盛に頷きつつも一周するまでもなく呆れ果て、あっさり妥協して川向うのトリトンへ。

この手の「ピカピカ施設に旨いもの無し」も真理なので、最初に目についたチェーンの「いきなりステーキ」へ。親のペッパーフードサービスのペッパーランチも含め初めてだが、肉だけ食えるというコンセプトに以前から惹かれていた。何故、一般的に日本の飲食店では、メイン・ディッシュ=主食=肉・魚という食事の基礎的な図式を蔑ろにして、肉を食おうとしても食べたい量が食べれず、ご飯や添えものでお茶を濁すのが当たり前なのだろう? という根源的な疑問に初めて応えてくれた気がする。サラダとリブロイン350gを所望。6円/gだったかな? 最初に平凡なサラダ、しばらくして焼き上がった肉。付け合せは玉葱とコーン、大蒜少々。立ち食い。そのまま、塩・胡椒、ステーキソースと試したが、ステーキソースが旨味添加した醤油味で甘々なことを除けば、まぁまぁ。肉は豪産、ウチで使うのと同グレード、チルド肉だろう。350gだとちょっと薄くて火が通り過ぎるきらいがあると感じた。ちょっと物足りないな。家畜や家禽の餌じゃあるまいし付け合せのコーンには幻滅。冷凍のバラでまったく手間が掛からないのは理解するが、せめてポテトとマシュルームにしようよ。万人向けの甘辛ソースは非常に残念なので数種の岩塩と酸味のあるムータルド、ホース・ラディッシュがあるといいね。コンセプトは悪くないんだから、他所で食えるようなランチ用のハンバーグやしょぼいセット品等、みすぼらしいメニューは止めたほうがよくないか? (3月から値上げ。新メニューの450gのチャックロールは朗報だな)

近在の岡田屋商店街のフード・コートにもあったので再度。東+南アジアの屋台は身に沁みついたDNAが騒ぐというか一体感すら感ずるものだが、国内のこの手の飲食スペースは女子供向けの小洒落て親密な雰囲気で、あまりにも近寄りがたいモノを感じていたが仕方がない。場違い感を少しでも弱めようと泥酔して潜入。以前はサイコロ肉のペッパーだった気がした。異常に長いランチ・タイムだったのでワイルド・ステーキ300g(増量は不可:450gはできないのか? と訊いたら200gを2つ買えとな(笑))、白飯無しに生ビール。スープとサラダが付くがどっちもショボすぎ。こういう安かろう悪かろう的に体裁だけを整えるのって、しみったれてないか? 必要なら別に頼みたいのに、普通の分量のサラダは出せないと断られた。待つこと10分ほど。肉はチャックロールかな? リブアイよりは硬く筋がありステーキで食うにはギリギリの部位だが歯応えと旨味があって嫌いじゃない。予め大雑把に切り分けられているが、前歯と犬歯で食い千切って、奥歯でムギュムギュ噛みしめて食う肉が好きなんだ。ほぼミディアム・レア。付け合せはコーンのみ。ピーマン、玉葱に変更または+100円で増量可能な模様。重いトレイを抱え、対面のカウンターでドレッシング、塩胡椒、山葵、辛子などを必要に応じて。ここにもホース・ラディッシュとムータルドは無い。屋台だから今度は目の前の食品売場で買ってこよう(笑)。醤油味のステーキソースは予めトレイに載っている。最大の利点は椅子があること。カード可。イオン・モール内でイオン・カードでも特に特典はない模様。取り敢えず腹は膨れるが、今一つ物足りない。次はアンガス牛ロインの1poundいくから。

丼ものといえば、歴史的にも完成度からも他を寄せ付けない不動の簡便賄い三強、天丼、カツ丼、親子丼があるのに、“海鮮丼”ってのは何なんだろうな? 鮨屋で食える人肌の酢飯に色とりどりのネタを載せた“ちらし”ともまったく違う“海鮮丼”の存在意義が全く理解できないのは、お前が時代遅れだからと云われりゃそうだろうが、載ってるの、冷凍塩イクラに冷凍サーモンに冷凍マグロ端物少々に冷凍イカに冷凍ウニにハマチ等養殖魚満載に紛い物の練りワサビに朝鮮刻み海苔って、全然海鮮じゃないじゃん?(笑) 「鮮魚」というのは冷凍していない生魚を指す言葉で、海で穫れた「鮮魚」を「海鮮」というんじゃないのかね? 養殖に関しては時代の趨勢として認めないわけではないが、寝かせられない(旨味が出る前に臭くなる)し、色違う(餌が違うので天然モノの身肉の色にはできない)し、身質が締まらない(水圧と運動量のせい)から、鮨にはならんよね。だから、海鮮丼なのか。了解。

CO2濃度

焼鳥日高

定例打合せが1時間早く終わり11:00。クライアントと喉の渇きを癒せる店で、かつ、営業中の店を探していて、たまたま入ったら日高だったわ(笑)。超高層再開発マンソンの2階。エスカで登ると入口がレバハンのアルミ片開き框戸で笑った。立ち飲みだが17:00まで椅子はある。客オレたちのみ。ランチ時なので禁煙という桃源郷。鉄面皮のオバちゃんに生ビでスタート。片っ端から怒涛のようにオーダーして飲み食い。連れはまだ若いが、お互いに野菜と炭水化物は一切頼まず(ああ、最後に春巻き食ったか)、豚串、鶏串、鶏軟骨揚げ、ちくわ天(若干微妙)と、獣肉・鶏肉・魚肉で完結する。12時近くになるとチラホラとサラリーマンが増えてくるが満席には程遠い。日高だけど中華麺は扱っていない(ヤキソバはあった)のでソバとウドンを食べに来るらしいが、相変わらず飲んでるのはオレたちだけ。子供の頃、昼時の食堂でサラリーマンはみんな極々普通にビールや冷酒飲んでたのに、世の中変わったもんだ。しかし、ウチの最寄りにも出来ないかね? 生ビ+酎ハイx2に串10本で2000円しないもんな。

締めは路地一本入ったワイルドな立ち食い蕎麦。店名は知る人ぞ知る「一由そば」でイチヨシね。昼時だが回転は良い。オバちゃんに「ソバ、ゲソ」と告げて、ソバ200円+ゲソ110円を支払うと同時に器が出てくる。麺は興和物産の茹で麺、つゆは鰹出汁薄め、醤油強めで塩辛め。ゲソはぶつ切りをまとめて揚げたもの。海外産の業務用冷凍ゲソだろう。塩味含め味は濃い目。天麩羅各種メニューにカロリーと塩分量が書かれているが、ホントかよ(笑)、減塩食並だぜ。利き手じゃない手でわざと切ったようなぶつ切りにも程があるネギはトングで、七味、唐辛子はお好みで。6人分の相席テーブル椅子あり。蕎麦は茹で麺だし味の方は値段なりということでともかく、BというよりはC級のバランスに納得。腹は確かに膨れるわ。


2016/04/09 作成__2016/04/10 最終更新