空梅雨に降る雨

本末転倒。駐車料金をタダにするために食いたい惣菜弁当を漁るが、一向に興趣を惹かれず、仕方なく惣菜握り寿司を買って食ったらたまげた。いや、載っているネタは何の期待もしていないから、よくも揃えたなと見映えよく感心するグレードだったのだが、シャリがね(笑)、強烈なんだ。甘味と塩味、妙なアミノ酸風味までがこれでもかと言わんばかりの濃厚コク旨で、酢は控え目。山葵ドコだよ? あまりにも強烈すぎて、上に載ってるネタの差異が吹っ飛んでしまう! 一瞬咀嚼が止まるが、すぐに慣れる。日夜、鍛えに鍛えたオレたちのアミノ酸耐性を忘れちゃいけないぜ。おいしかった~(笑)。老舗の鮨屋の職人が量販の裏方に高給優遇でどんどん引き抜かれているという話もあながち嘘ではないのだろう。シャリの握り具合も格段の進歩を遂げている。おまけに、シャリのコク旨味で貧相なネタを補完するという、驚くべき発想の転換!! 本物らしいニセもののレベルを凌駕した、中韓なんぞにゃ真似ができないオレたちのパチもんケミカル・テクノロジー。Vive le Japon!

■串焼き■

ラム串

ラムの肩肉を一口大に切って串に刺し、塩と胡椒振って直火で焼いただけ。玉葱で葱間になっているあたりが貧乏臭くて哀れ。国内では生産量が僅少で、関税がかからない割には非常に高くつくが、独特の風味に病み付きになるんだな、不思議なことに。一度、BBQというのをしてみたくて、ラムラックとブラジルの腸詰は調達済み。岩塩板で牛のリブアイやら豚のバックリブなんぞも一緒に焼いてみたい。

■鰻bottom■

今年は早いな(笑)。まだ5月だぜ。すき家は鰻がある夏場の利用が中心になるが、調子に乗っているとすし屋以上の頻度で食っていて笑える。鰻専門店に行くのは9月から2月の半年間が多くなるが、安かった頃は自分で冷凍鰻の買い付けして、冷凍庫いっぱいにしてほくそ笑んでたし、オレって鰻、意外と好きみたい(笑)。

早速、中一日ペースで特うな丼+健康セットでビール。価格は去年と同じだが量販店の解凍蒲焼とほぼ同額ないしは割安と、売上の数字さえ上がればいいという、涙ぐましくもほとんどヤケクソレベルだな(笑)。アンギラ・ジャポニカ種。去年とほぼ同じ、概ね3P程度、肉厚、臭みなし。臭みを消すためなのだろうか? 鰻の川魚の匂いまで消し飛んでしまった。2.5Pは3分割、3.5Pは2分割で提供される模様。さすがに2.5Pは蒲焼のサイズではないから、脂がしつこい。国内産表示が可能な養殖モノは最も高く売れる4Pで出荷されるので偽装の心配は全くない。肉厚だが皮目はよく焼けて、蒸しも効いて脂は適度に落ちている。尾側に小骨が気になるケースが数度あったが、個体差なのか、処理が甘いのか。個人的には身が薄い尾側のほうが好きだが、毎回律儀に頭と尾が一枚ずつ。身肉は去年よりもいっそう柔らかく、歯応えゼロのトロトロ+フニャフニャ。箸で持ち上げようとすると身が崩れるレベル。鰻に限らずなんでもそうだが、どうしてこうなっちゃうんだろう? これはいくらなんでもちょっとやり過ぎだろう?

タレは去年よりあっさり目で、比較的粘らないタイプ。醤油が薫るという方向性ではないが、甘味を若干落としてきたのは評価したい。アミノ酸臭も希薄で、ここまでコクを薄めるのは牛丼屋の主要顧客層にはちょいと冒険だな。地域によってタレを変えているとは思えないから、一般的にはクレームが出るんじゃないか?(笑) 量も飯底をベチョベチョに汚さないレベルで、もっと減らすべきだと思うが、まぁ、及第点か。山椒は小袋が2つ、場違いな高台角皿(海苔皿か?)に載って来るが、それほど必要性を感じない。残念なのはレトルトパウチ+電子レンジ調理に頼らざるをえない鰻本体の処理だが、この時期、街場の気取った鰻屋で痩せた国産ヒネを数倍払って食うことを考えたら、まぁ、こんなもんだろ。

特うな丼だと自動的にゴハンが大盛りになってしまうのが難点だが、減らす分には快く対応してくれるのでミニ盛りにしてもらう。ゴハンをミニにすれば、メシが鰻に完全に覆われて基礎的な丼飯の佇まいが成就するというもの。ゴハン抜きのうな皿もあるが、皿だと健康セットや唐揚げセットにできないんだな。ビールの摘みも必要だ。願わくば、牛丼中盛りと同じく飯はミニでいいから鰻三枚のメガうな中盛丼をメニューに加えて欲しいものだ。と、思いつつ、80円引き携帯クーポンが来たので今週の朝飯は毎日特うな丼でいいや。10:00か。さて、今日も食って来よう。

■ゴハンをオカズにマーポードウフーを食べる試み■

Oh! 麻婆豆腐

作るのは完全に飽きているのだが、ときどき需要があるマーポードウフー。かつてはマーポードウフーと榨菜の漬物か泡菜、最後に湯があれば老酒をカパカパで済んでいたのだが、プリン体が凶悪極悪の老酒を減らすため、最近はビール不可・発泡酒で定食仕様なども積極的に試みている。

Ja! 麻婆豆腐定食

肉は羊、次点が牛。ドウフーは硬めの木綿。その他は毎度お馴染みで書き飽きた。基本的には辣よりも麻に主眼を置いた味付けを心掛けているので、爽やかで清々しい超絶さっぱり系の味わいでありんす。あまりゴハンを積極的に進んで食べたくなるような味とも思えないが、ゴハンは榨菜で食べるから平気なの。

Hu! 麻婆豆腐定食再度

去年の吉野家は縦カットの成形甘露煮みたいだったが、今年は改善されているか、もう一度食べて判断しよう。そうそう、今年は著名な回転寿司「無添加くら寿司」でもうな丼を提供するそうなので、キャッチフレーズの“寿司屋のうな丼”と“寿司屋の天丼”を食べてみようか。鰻は鰻屋で、天麩羅は天麩羅屋で食うものと考えていたが、うちは寿司屋だから、最底辺牛丼屋風情の屑うな丼はもちろん、専門店すら凌駕するという意味なんでしょうか? 意図不明の枕詞にワクワクするほど激しく惹かれているところ。期待してるよ。

ということで、吉野家で2枚盛り鰻丼+お新香+味噌汁のセット。昨年と同じ街道沿いの店だが、店内改装されてサッパリと小奇麗になった。2つあったU字カウンター席の1ヶ所が椅子席になって、壁際にはモスグリーンのベンチシートが廻る。am10:30。ホールは若作りのお婆ちゃん、厨房の店長? は60過ぎくらいのオジサン。計2名。制服の色が変わったのね。訓練が行き届いているというか、年の功か応対は非常に熟れている。客はオレだけ。反応の鈍い自動ドアをくぐり、カウンターを半周して、入ってきた出入り口を眺める感じのカウンター中央に席をとる。

鰻丼2枚盛りを告げると飯を大盛りにするか聞かれるが、普通盛りとお新香のセットを告げる。即座に注文が通るが、出来上がりに5分弱ほど。トレイに鰻丼、山椒小袋が一つ、味噌汁、お新香、お茶、伝票が載ってオマタセ。見た目は昨年より色薄く、よい感じ。身肉は縦に3分割は去年と同じ。1枚で75gほどか。早速一口。フムフム。ちょっと小骨が目立つが適度な歯応えはある。身肉は薄い。部位によってはちょっと悲しいボリュームで、脂も薄め。3分割でタレが身に廻るのは仕方ないが、身肉は白く、川魚らしい食感は保持されている。

タレはすき家のものよりぐっと甘味を抑え、醤油辛さが表に出る。アミノ酸添加物臭も抑えられていて好感。量も飯底を汚すほどではなく適正だった。お新香(浅漬け)は白菜中心でかなり塩辛い。端切れが多く、以前よりもコストダウンされていると感じたが、すき家のお新香よりは遥かにマシ。売り物のレベル。味噌汁は店内調理になったようで、合わせ出汁でワカメと葱で凡庸だが、ケミカル臭が大きく減じ、安定感が感じられた。

取り敢えずの初期的な感想としては、鰻の使用部位や形状、量に関しては高いだけあってすき家がずっと上。川魚としての歯応え、タレに関しては吉野家に軍配が上がるが、鰻は小骨が多く貧相。3分割の結果、蒲焼の見映えはしないといったところ。米は粒の形と大きさ、味を鑑みて「ななつぼし」と思われた。コシヒカリ系を好まないので、これは好感だ。車じゃないと行けない距離だが、今年はもう数回食べてみよう。WAONが使えて便利(オートチャージも可)だしな。基礎的な味の組立は、まぁ、高年の男としては、吉野家のほうが合うね。ちょっと塩辛く、直線的だけど。

今回は客がいなかったのでカウンターに座ったのだが、食っているうちに極めて凝縮された年齢層の似たような風体の客ばかりがワラワラ増殖し始める。U字カウンターはすき家のL字と違い、幅70cmほどのサービス通路を挟んでモロに客が向かい合う造りで、せっかくの眺めを塞ぐように真正面に無神経に相対する薄汚いジジイやトレーナー姿のデブ・オヤジには閉口する。コッチ来んなって感じばかり寄って来るのは、心底勘弁してほしい。それが決まりきったように、ゾンザイな口調で粗野丸出し。オレだったら5回くらい聞き返してやりそうになる不明瞭な発音とエラソーな命令口調。店員さん、ホント、エライわ。吉野家も先行投資を無駄にしない選別の時期じゃないかな?

■豆■

2013産豆

2011の種子と2012の種子を別畝に植えてみた2013年産のえんどう豆は、検査の結果、共に不検出、検出限界Cs134、137共に10Bq/kgでありました。種子から成就した豆は100分の1レベルに減衰しているはずなので、土壌からのCs供給がなかった(土壌からは吸い上げないタイプの種?)ということが概ね確定したと考えてよいっすかね? 爆発的に増えたルッコラも不検出だったので、どうやら当初のお掃除が効いたのか、海風勢力圏の比較的降らない地区だったのか、返す返すもγ線源に限れば、幸運だったとしか言いようがないようで。

初日

豆は豆御飯に。摘み取った鞘から剥きたての豆は乾燥豆では味わえない瑞々しさを持つ。うん、普段鮮度に拘れるグルメとは無縁だが、豆くらいは違いがわかる。

二日目

普通のエンドウではなく、俗称ツタンカーメン豆なので、翌日には赤飯のように色素が染み出す。主食は牛タン厚切り。副菜サラダはトマトと銀杏の腐乳味、アボカド山葵付。今年は植え付けが年を越してしまい、苗が寒気に当たっておらす生育が危ぶまれていたが、背丈が伸びない分収穫が楽だった。一本あたりの収穫量もあまり差がない気がする。

腐乳サラダ

■銚子丸異聞■

県都とはいえ田舎っぷりが半端ない。来るたびに、すっかり寂れ、中心部は人もいないし、ビルは空室だらけ、車もスカスカ。ヘタに公共投資だけは最優先なもんだから長閑に広々しちゃって余計哀れさが際立つ。表通りも裏通りも街がすっかり死んでいる。昼前だというに、キャバクラの姉ちゃんが可哀想に自ら割引券配ってるし、スラム化が進んで素性のわからん外国人が歩道にたむろしてケバブ売っちょるし、どう見てもその筋の人やら某民族系が徒党を組んで闊歩してるし、ウチのあたりの高齢寒村田園風景とは打って変わったヴィヴィッドな光景に驚く。交差点でボケーッと信号待ちするよりも、片側2~4車線の道路を斜め横断するほうが目的地に早く着く。お県庁のお隣にある右手と右足が同時に前に出てしまうようなカチンコチンなピカピカ新品ビルで打合せすると、もう、汗は出るわ、喉は渇くわで、駅に辿り着けないから途中にあった銚子丸でついうっかり休憩。海岸都市のわりに元々漁港がなかったせいか、魚介類は首を傾げたくなるほど貧弱でまともな店がない。

初めての店だが入った瞬間後悔。煩いんだわ。入口の左右に細長く客席が広がるが、右側のカウンター席のみのコーナーへ。昼には30分ほど早いが席は半分ほどの埋まり具合。多くは3~6人の団体オバサン客、カップルに半分ほどの一人客。男女比は2:8と絶望的な比率。ホールのオバサンは店の都合だけで客を案内するし、日本語通じてんのかねぇ? 島の中には白服の職人風3人。ハッピの中国人が一人。客の注文に合わせて四人で無意味に絶叫するから、煩くて注文の声が通らない(笑)。ホールの姉ちゃんに生ビールを告げるのまで身振り手振りで近くまで来てもらわなならん。

早速、鳥貝、アオリイカあたりから注文するが、鳥貝は本日未入荷で……と、あっさり騙された。でかでかと販促ポスターにカラー写真載せているのに切らすのは拙いだろう? 仕方なく、丁度回ってきたイサキとアオリイカで始める。刺身盛り合わせにしようか? と思ったら、載せる切り身を選べるわけでもなく、ましてやオレンジ色の得体の知れない切り身が載ってやがるのでパス。相変わらずシャリがでかいのでシャリ小を要請するが、作る人間が違うので一々頼まなきゃいけなくて、面倒だから途中で諦めた。生ビールは一杯で止めて、冷酒へ。OEMのオリジナル・ブランド。一合瓶でガラスの猪口もよく冷えていた。味はまぁ、甘いな。寿司には合うかも。

262円赤皿:イサキ、アオリイカ、中落ち、スズキ、鰹、漬け鮪、穴キュウ細巻き

鮪以外は西日本から掻き集めた鮮魚のように思わせる店内展示が為されているが、イサキを除くとがっかり感が否めない。スズキと鰹は臭いし、アオリイカは固く、鰹は水っぽいと明らかに倉庫で眠っていた解凍品だわ。穴キュウは唯一の爺さん職人風がラップ巻いた簀巻きで巻いていたが、見映えよく出来ていた。

525円金皿:ハタ

ココの金皿は一般的に高価と素人が考えるネタを載せているだけであって、相対的に質が伴っていることは極めて稀だが、今回唯一食べてみる気になったメニュー外の“ハタ”はまぁまぁ。中国人のあんちゃんが丸めたシャリに切れているネタを載せているだけだが、「ハァタはこれがサイコー」と煮切り塗ってくれたわ(笑)。ハタもピンキリだが、これはそれなりの大きさのマハタかな? キハタか(笑)。身肉も厚いし、歯応えが残り、噛めば噛むほど旨味が湧く。

157円黒皿:まぐろ

どうしようか迷ったが、頼むものがないので、最後に回っていた中でいちばんおいしそうなものを取ってみた。最近は鮨屋のあんちゃんにいろいろ教わってるので、見た感じで何となく味がわかる。メバチの中トロぐらいで、解凍状態が今一でちょっと冷たいが、思ったより脂のりがよく、バチ特有のマッタリとした旨味が鼻に抜ける。筋もなく素直な鮪。皮肉なことに、この日食った中でこれがいちばん旨かった。

さすがに手袋して握ってる(ネタは載せてるだけだから握ってはいない)奴はいなかった。巻物は年嵩の職人が一手に引き受けていたが、口の開いていない穴キュウ細巻を銚子丸で食べたのはココが初めて(笑)。シャリが甘い、酢の味がしない、重い、でかい、冷たいに加え、ネタも冷たくて、“握り鮨”として握っていないのは最早回転寿司のデフォルトとして理解した。いや、ネタが冷たいのは、回っているうちに温まるという精緻な計算と深遠な美学の下で開発された手法なのだろう。これが人気の秘訣とまでは言わないが、恐らく消費者側の味覚自体が変化してしまったのね。まぁ、確かに、皿に載せて手渡すのだから、握って一体化せずとも途中で分解する恐れはないわけで、ならばバイトでも中国人でも機械でも、何ら問題はないわけだ♪ 日本を代表する食文化の完成だな。あっぱれ、あっぱれ。

■Self賄い牛丼■

蓋付き丼

黄色が映えるだろうとカツ丼用に誂えた蓋付き丼だが、何故か安直に牛丼。肉は1人前200g以上使っている特盛ゴハンミニなのだが、なんかショボイな。割り下で玉葱を煮切ってから肉を加え、色が変わったらさっさと火からあげる煮込み時間最小レシピ。肉は豪産ロース塊の残り物を半解凍で薄切り。醤油は正金のあらしぼり生醤油、味醂は甘強酒造の昔仕込み。生姜は中国産、玉葱は新玉葱なのでクタクタになっちまった。

甘辛醤油味の肉はそれほど好きじゃないし、なにも丼にしてまで食うこともあるまい~、と思ってしまうと外ではなかなか手が出ないメニューの一つ。外で食うと肉量に対してゴハンの量が多すぎるのも閉口だ。あの前時代的なバランスは何とかならんのかね? 選択肢くらいあってもよさそうだが。

賄い牛丼

翌日~。明日からは連休で外に出たくないし、たまには外食もいいかと最短距離の銚子丸。いや、昨日食えなかった鳥貝を食ってみたかっただけ。

鳥貝、ツブ貝、エンガワ、鯵、黒鯛、蟹三貫、穴キュウ細巻き、赤貝、バイ貝、玉子、白身中落ち軍艦、アオリイカ、イサキ

エンガワはカラスガレイの真っ白のヤツで15年振りくらいに食べてみたが、顎がはずれるかと思った。最近は回転寿司では回転なりのネタをいろいろ試すときもある。蟹はズワイの爪の生と足を湯掻いたヤツとカニ味噌なんだが、露骨な冷凍品で酷く失望した。赤貝はメニュー外の剥きたての生で金皿に載って登場したが、恐らく半島産の色浅いもの。臭くはないが平凡。バイも剥きたての生だとアピールしていたが、身が一貫、ヒモが一貫で一皿。凹んだ。鳥貝は湯通しされて身に火が入ったもので、がっかりを通り越して見た瞬間嫌になった。ツブは典型的なロシア産冷凍。昨日も食った九州のイサキはマァマァだった。

こちらの店は唯一の職人が恐らく付け場に立たず、客席から見えない厨房で仕込みやネタの切りつけをしており、巻物や特殊ネタは厨房からの直行レーンで付け場に流れて来る仕組みになっている。今回はそれが見える席だったわけだが、その直行レーンの握りは一応握れているんだな(笑)。巻物は相変わらず下手糞で口が開く。オレのほうがマシなレベル。100円系回転寿司の純ジャンク・フーズとは一線を画しているが、中身に対する価格付けはかなり割高に思う。立地にコストが掛かってるから仕方ないか。

いつもの鮨屋で◇◇◇◇

土地柄、朝獲れや鮮度抜群とは縁遠いが、そのぐらいが身の丈に合っている。う~ん、福岡のメジ、オホーツクのアカボヤ、三河の鳥貝、一尾2貫付けの兵庫の特大クマエビ(赤穂か明石か、淡路かな?)、ヒラマサ、コチ、ホウボウ、朱色の尻尾が跳ね上がった青柳、マイワシあたりがなかなか。メジ腹身は豚肉の切り身のような脂と溶けてなくなる身肉の塩梅が見事。アルコールっぽい独特の香りが立つアカボヤは剥きたての絶品であった。クマエビは車海老の親戚だが、国内で養殖はしていない。湯掻くと鮮明な赤朱色。ちょっと大味だが、獰猛? なせいか筋肉質で身がしっかりした食感。回るか否かという外観上の差異はあるとしても、同じすし屋で同じくらいの金額を払って、食えるものが見事なまでにほとんど一致しないという意味で、ここまで乖離が進んだ業種というのも感慨深いものがあるな。

まぁ、結局のところ、かつての鮨、鰻、天麩羅、蕎麦といった江戸起源の古い完成された食文化が滅亡しつつある一方で、冷凍と養殖とステマが回ってる創作回転寿司、柔らかふんわり・焼かない鰻、甘いタレを掛けて食べるフリッター天麩羅、脂と出汁“命”の創作ラーメンといった新しい食文化が勃興し、マジョリティの心と財布をがっちり握った産業が巷を席巻している……ちうことなんだろう。あらゆる分野で、オリジンを識らぬ世代の時代が到来したってことだし、だからといって、寝てる子をわざわざ起こす必要もないのは言わずもがな。もう、年齢的にその波に呑まれるほど若くはないが、折しも2011春以降は、海産物、東日本の淡水魚から蕎麦粉に至る農畜産物まで、カミの「罰」ともいえる滅亡因子の介在を忖度せねばならぬわけで、その大きくて力強い新しい流れを否定するものでは全然ない。というか、割りとど~でもいい(笑)というのが正直なところ。世の中のことも社会のことも、誰が死のうが生きようが、未来がどうなろうが、税金が上がろうが、明日戦争が始まろうがもう全然かまわないわけでして、そんな世俗の雑事より、己の余生を如何に愉しく過ごすか、すなわち今日の昼飯は何にすっかなぁ? から、鮨屋で酒にするか、ヌッチャリ鰻でビールにしとくか? まで、うつらうつら考えるのが愉しくて、何よりもとにかく大事な最優先事項なわけ。

■鯖味噌煮缶詰と苺■

偽鯖味噌煮

既に消費期限が切れかかった備蓄サバ味噌煮缶(マルハ月花net200g)に玉葱と自家製三つ葉と白胡麻(煎り+摺り)を散らしてみたら、意外においしそうで笑った。缶詰はこの季節の常温か、そのまま湯でちょっと温めると脂が溶けて丁度よい。真面目に作る鯖の味噌煮は出来立ての熱々がよいが、缶詰は温いくらいの人肌で、手を加え過ぎぬのがよい。缶詰をポコッと逆さまに。缶詰は所詮缶詰。それ以上でもそれ以下でもない。三つ葉は葉だけでなく、しょぼい花茎まで食ってしまおうという貧しさに涙ぐみそう。脂が載ったマサバだが、輪を掛けて味噌が甘く、濃いコクのアミノ酸タップリ。魚の缶詰は今やゴハンのオカズ的な扱いなのだろうか? 酒の摘みにするにゃ、ちょいと重甘い。

自家製苺

口直しに苺。小さいのはワイルド・ストローベリィだったかな? 随分前にホムセンで一つ買ってきたのを根をぶち切って分けてるうちに増え過ぎちゃって、もう、どう~しよ~もないわ。大きいのは貰い物の栽培品種の成れの果て。管理がテキトー過ぎて、年々実が小さくなるわ(笑)。どちらも甘いけれど、それなりに酸味もあって、味が濃厚でワイルド。小さい実はジャムにするとなかなか旨い。


2013/06/13 作成__2013/06/13 最終更新