Low Life

3年前に発芽し、毎年冬を越せずに葉が落ちきって、枯れたかと思うと復活するタマリンドに花が咲いた。花弁が1cmほどの小さな花でお世辞にも派手な色合いじゃないが、実になるのかな? ある程度成長するとそれなりに耐寒性が付いてくるそうなので、今年は枯らさないよう屋内退避を早めよう。

tamarind

年に2、3回利用していた近在のホカ弁が閉店。ありま。HOMOが競合していたわけではないのになんという仕打ち。メニューもHOMOよりずっと好みだったのに。忍び寄る過疎化の波には勝てず、これで徒歩圏に残るは岡田屋傘下の東秀オリジン弁当のみと相成った。この手の弁当屋のお世辞にも高級とはいえないが、普遍的で郷愁を誘うキッチュな魅力に溢れていて、作ろうと思っても自分では作れない弁当は、不思議な味わいを秘めているんだな。量販惣菜弁当やコンビニ食物の女子供に媚びた薄っぺらく詐欺的な味付けに対し、センスの欠片もない野太さというか、野暮ったい昭和風の味付けが懐かしさを呼び醒ましたのだろう。その最右翼が真っ先に脱落と♪

春植えの芋は5kgほどと、まぁまぁの収穫量。芽欠きを一切しなかった割にはデカいのが出来ちゃってちょっと思惑外れ。跡地にはトマトを植えようと思っていたのだが、同じナス科じゃねーか(笑)。今頃気づくなよって、困ったな。もう1本畝を作ってる暇はないんだ。

ジャガ芋収穫

さすがに暑いと松乃家もちょいと億劫。チキンの次はバラカツカレー390円セールで、普段は来ない隣の松屋御用達が店内に溢れている。チラリと眺めた感じでは、バラカツカレーとは典型的な和風カレーライスの飯の上に生キャベツを敷いて豚バラ肉を揚げたカツを置いたもの。カツはどう見ても肉薄のペラペラ極小3分割。まぁ、バラ肉じゃ、分厚かったら気持ち悪くて食えないか。油が多い料理はまったく苦にならないが、茹で揚げ蒸す塩漬け等で変性処理すべき脂をそのまま衣着けて揚げたんじゃ、口の中、ラードだらけじゃねーか? オーダー復唱を見聞している限り、7割ほどの注文がこれ。ナウなヤングは脂っこいの忌避するんじゃないのか? 繁盛時から時間をずらしているのに入れ替わり立ち代り8割方席が埋まり、ワカモノだけでなく、カップルから腰の曲がった爺までが押し寄せて大盛況。エアコン効かねーし、暑苦しくてかなわん。早くセール止めろよ~。

と、見ただけでいくらでもケチは付けられるが、もう先が見えている高齢者としては冥土の土産に味わっておくのも悪くはないか、と思い直し食券販売機の右上、最も目立つ位置で燦然と輝くボタンを3秒躊躇って押す。押しながら既に後悔しているオレ。入った時点で客1のみ。すぐに出ると思ったら、オーダー後に揚げ始めたようでけっこう時間が掛かる。5、6分で27cmほどの丸皿1枚にスプーンが添えられて提供された。まぁ、しかし……。白飯の上に生のキャベツを載せて食う行為に敢えて挑んでみたわけだが、カレーが絡まった千切り生キャベツが食い難いことこの上ないし、飯との食い合せというか、食感が最悪で、これはもう、食べ物の域を超えているな。温かい飯にカツの脂が染みたヌルいキャベツ・カレー。21世紀のジャポン・ヌヴォーか、秘境異次元別世界か。

バラカツは思ったより脂っこくないが、量も極小で物足りない。カレーは典型的な和風で具無し、やや粘度あり、塩辛めでスパイスの風味は殆ど感じられないもの。醤油で味付けてんじゃないか? 途中まで肉じゃがと製作工程を共用しているとしか思えなかった大昔の学食のカレーを思い出させてくれたわ。自分ではどうしても作れないタイプのカレーだから、一度は味わって味覚のヴァリエーションを広げておくという意味ではなかなかスグレモノか。

いつもと同じくW豚定食飯大盛りを貫く。食券販売機のボタンの位置をコロコロ動かすなよ。うっかりチキンW押しそうになったじゃないか! まぁ、ココのトンカツは変な小細工がなくて、「和光」や「サボテン」、「マイセン(オリジナルは井泉)」といった現代的手法で手広くやってる中堅チェーンや、同等底辺クラスなら「かつや」といった今風の売れれば何でもあり的な、カツの本質を蔑ろにしたような姿勢と媚びたメニューに走らない(走れない)点は評価している。飯が臭いときが一回有り閉口した。炊き方や店内での保存方法の問題というよりは素材自体の問題かな? 午後の調理担当オバちゃんは、タイマー掛けてマニュアル通りの揚げだから、揚がり過ぎて肉が固くなる。相変わらず具はワカメだけの出汁が効いていない塩っ辛い味噌汁に閉口。しょうもない出汁入り味噌を味噌汁サーバーにぶっ込んでるだけだろうが、素の味噌の品質が悪過ぎでコリャどうにもならんわ。

その後(7月2回目)

アメリカの干ばつで豚の餌が逼迫して、豚肉の値上がりが続いているそうだが、その影響なのか? とんかつ用のロース肉が、いつの間にやら肩ロースのペラペラ5mm厚に変わっていて唖然呆然自失後爆笑。松乃家よ、お前もか……。さすがにトンカツでそれをやっちゃぁ、拙いだろ。まぁ、日本では肩ロースはロースと並べて売られる肉だが、ロースなんていう名前自体がインチキなわけで、ショルダーとロインは本来別部位の全く性質が違う別肉だ。それとも「ロースとんかつ定食」はロースで、「Wとんかつ定食は」どこにもロースとは書いていないから肩ロースで代用可能と判断したのだろうか? どっちにしても、「W豚」目当てだった松乃家は名前通りのチキン亭に戻り、これにて終了。間違えて肩ロースを使うようなメニューは他にないわけで、売上の前年同月比割れが続く中で、要するに毅然たる意志を持った仕様変更なのだろう。利益確保を急ぐばかりに離れる客もいれば、チキンを食わせときゃ留まる客もいる。どちらが多いかは数値が明確に指し示すこと(多分後者だと思う)になるだろう。

■黄キャロル■

春に68円で買ってきた苗から収穫。ポコポコと結構よく成るなぁ。タバコ蛾の幼虫を一回駆除しただけで、伸びる伸びる。摘んだ脇芽は水に挿しておくと根が出るので保険苗として増産に貢献してくれる。背が伸びて葉が茂りだすと脇芽掻きも飽きて最近は放置気味。水も肥料もいらないし、頑健馬鹿だからトマトは基本放置で楽チンだ。大玉はハウスじゃないと難しいけどね。皮がちょっと固いが甘味は十分。酸味が少なくてトマトらしくない。

黄キャロル

■魚介二題

◇目鯛刺身◇

10秒ほど迷ったが結局手が出た、高知の目鯛。山口や島根の日本海モノに比べるとあっさりめでさっぱりめ。鯛と名前は付いているが、マトウ鯛他の多くのナントカ鯛と同じく生物学的には鯛とは何ら関係のない魚のはず。安価で脂が乗ったマッタリ感が特徴で、真鯛とは食感も味も全く異なる魚。

目鯛刺身

鮨屋ではよく食う魚の一つ。標準的な7、8mm厚に引いて、普通に刺身がいちばんだろう。

◇イカ納豆◇

イカ納豆

日本海でスルメが豊漁だそうで、山形辺りのモノが安価に出回っている。捌いて一杯は刺身、残りはイカ納豆、下足は湯掻いて酢味噌和えかパスタ用にでもしよう。藁入りの水戸納豆が食えなくなった以上、正直、納豆の質には興味がなくなった。一時は熊本のニャットウを愛用してたが、最近は何故か手に入らない。辛子は自分で練る。付属の調味液は原則使わないので、最近は何も付属していないカナダやアメリカの遺伝子改良どんと来い! 豆だけのものを買っている。醤油を垂らしながら混ぜるだけだから、記すべき工夫はない。付け合せは皮蛋豆腐で際限なくマメマメしい♪

皮蛋豆腐

■Poorman's eels その後

07/06:すき家2回目

初回と同じ店。店員2、客オレだけ。元気いっぱいのバイト君、電子レンジがちょっと短くないか? と感じたら、案の定、頭側の身が厚い部分の皮目に脂っこい歯応えが残り、ふわっと蕩ける感触には至らないが、まぁ、許容範囲か。4P、無頭背開き。業界用語でハーフカット、80gの規格品の頭と尾側が1枚ずつ。鰻の並べ方はいつもの無思考無配慮。タレが身肉に浸透せず、きちんと白身魚の味がする。

タレは薄甘で透明感がある。甘過ぎるが旨味を強調したしつこさはない。粘度が低くサラサラで、思ったより(去年のものより)キレがあるように感じた。タレの量はやや多めだが飯底に達しておらず適切。飯は相変わらず多過ぎ。飯が見えないようにオカズを盛り付けるのが丼ものの基本原則だろう? 並盛り飯に鰻を一尾載せるぐらいがバランスも良く、鰻丼らしい鰻丼だ。価格も半身で780円、一尾で1180円なら、貧乏人としては考えるまでもなく、迷わず一尾を選択する。しばらく続いていた放射線管理区域産米は青森秋田産に取って代わられ、信用してるわけじゃないが気分的には少し楽になった。品種はコマチ入りの複数原料米かな? ココの米はコシヒカリ系なのか、ちょい粘るのが難点だな。お新香は相変わらず白菜主体のチンケなものだが、ちょっと盛りが良くなったかな? 味噌汁単体は悪くないんだが、やはり鰻に味噌は合わないべ。それこそインスタントでかまわんから、肝吸いとまでは言わんが、お吸い物が欲しい。

07/15:すき家3回目

頭側と尾側共、頭をきちんと左に揃えて(偶然だろうが)持って来たバイト君は前回とは違う店。朝10時前。店員2、既客3。多すぎてうんざりなので今回は最初から飯だけ並盛りで注文。何びっくりした顔してんだよ? いい具合じゃないか。もう少しで飯が見えないぞ。身が厚くなってきた。こちらは電子レンジが効き過ぎでちょっとフニャフニャ。地焼きデフォルト地帯の場合、ちょっと受け入れがたい食感かな? 活き鰻を注文に応じて捌き、白焼き、蒸し、蒲焼きする(一部の)専門店の皮パリ、中フワと比較してはいけないが、まぁ、頑張ってる方だろ。盛り付けやサイド・メニューを工夫すれば、冷凍蒲焼規格品を使う飲食店の中では十分まともな部類になってきている。臭みはない。皮目はよく焼けているが脂がちょっとしつこい。小骨はない。バイト君が若いせいか、タレがちょっと多め。いちいち飯少なめ、タレ少なめって言わなきゃならんのか? 君くらいの世代にはわからんだろうが、タレなんて云う下品なものは必要最小限であることがこの世の摂理なんだ。煮穴子に詰め塗るときだって、刷毛でちょんと落とすだけで地の色をきちんと生かすだろ? 鰻は蒲焼段階でタレ塗りながら焼いていて既に味が付いているんだから、ベチャベチャとタレを後掛けするなんていうのは論外にして暴挙。ツユダクなんて言われたら、柄杓で頭から掛けてやれ。

原則として徒歩圏4店のうち、利用するのは駅から一定離れた2店が多い。店員がいつも同じ顔で、質・量共に安定しているのがその理由だ。もちろん、繁盛時には行かない、混んでいたら(システム上、質が低下するため)他店で済ますといった最低限の節度は必要。チェーンとはいえ、やはり人が為すこと。店の雰囲気から盛り付けの大小、味に至るまでけっこう異なるので、店を選ぶことが重要に思う。

過疎が進行する在故、地焼きの店が3年ほど前に廃業して以来、残念ながら徒歩圏に鰻屋と定義できる鰻屋はなくなった。未来のある地域ではないので、新たに鰻屋ができることもないだろう。かといって、わざわざ隣町や川向こうに出向いても混んでると酒がマズいし、人ゴミはもちろん、タバコふかしながら行列してる観光客にもうんざりだし、何も世間に合わせて掻き入れ時の夏に鰻を食べに出向くこともあるまい。馬鹿げたことに合わない季節を強引に帳尻合せするから、鰻自体も冬に採れたばかりのシラスを無理やり半年で太らせたもので、無理に無理を重ねるもんだからRIは抜きにしても品質・卸値共、輸入品にあっさり逆転される始末。それを末端の盲目と無知に付け込んで国産新仔と煽り倒し、珍重ムードを醸し出すに至っては、産地による鰻の違いが全くわからないオレの舌には全く関わりのない別世界の出来事としか映らない。国産っ! て謳っておだてりゃ、ヒネだって輸入の倍の値段で売れるもんな。そりゃ、止められないのはよく分かる(笑)。価値は情報操作によって創造するものだからな。

だいたい「夏といえば鰻」「夏の風物詩、鰻」「鰻でスタミナ」「鰻で夏を乗り切る」といったキャッチフレーズが、必要な情報に誰でもアクセスが可能な現代においても通用するのが不思議でしかたがない。半年前から毎日食うならともかく、ちょろっと数回食って効果が出るなんて、化学的に精製された特効薬じゃないんだから有り得ないだろうに。江戸の昔、市井の人々は真夏に汗水垂らして働くことを「野暮」として蔑み嫌い、夏の間働かないために布団を質に入れて借金で遊んで暮らし、マズイ夏痩せ鰻には誰もがそっぽを向いたというのに、現世の鰻を食べてまで乗り切ろうとする「夏」って何なのだろう?

その点、朝5時だろうが深夜1時だろうが、腹減っちまったわ……そうだ、鰻を食おう! とサンダルを突っ掛け、店員しかいないガラガラの店内で、外から見えない席に敢えて座り、偶には強盗にでもお目に掛かってみたいものだと、まったりとビール呑みのみ、ものの数分で出てくる鰻をムシャムシャと、何の衒いもなく食えるのが、ある意味新鮮というか、画期的というか、正に進行中の末世を体現化するかの如く麗しくも侘しいものよ。今年は量販店のパック鰻蒲焼の質があまりにも酷すぎて、手に取る気にすらなれないから、悲しい馬鹿騒ぎが終わってオレの鰻の季節が来る中秋までに、もう2、3回は出掛けるかも。ああ、話のネタに吉野家の鰻丼も食ってみなくちゃな。

■自家製パンチェッタ在庫一掃

キャベツとパンチェッタ

新規がそろそろ食べ頃なので、旧作は時期的にもそろそろ食い切りたい。白神キャベツとライプ・オリーブで炒め物。フライパンにEXVオリーブ油を敷いたら薄切りのパンチェッタをしばらく浸すと塩分が出て丁度よい。パン食のオカズ。

林檎ペクチン+クリームチーズ

パンは出来合い。塗りモノはバターじゃなくてクリームチーズ。kg買いしてるニュージーランド産クリームチーズの在庫処分も兼ねている。赤いのはリンゴペクチンを抽出、煮詰めて冷やし固めたもの。ジャムの媒体の部分。

パンチェッタ揚げ

最後の切れ端は片栗粉を着けて、採れた芋でポテチにするついでに揚げた。春植えの芋はまぁまぁの収穫量。芽欠きを一切しなかった割にはデカいのが出来ちゃってちょっと思惑外れ。

ポテチ201207

ポテチは塩胡椒とモルトヴィネガーで。揚げ上がりに直ちに塩胡椒を振るのがおいしく食うコツ。新芋だから柔らかくクセがない。種芋は冷蔵庫の底で芽が伸びて食えなくなったものだから、品種は知らんが男爵系の普通のモノだろう。切断後、3時間ほど水に晒している。

ロメイン・レタス

サラダはシーザーズ。今回はロメイン・レタスが旬で、4つで88円と投げ売りだったのでほぼ完璧。葉っぱに具を載せて、手掴みでムシャムシャと。白葡萄酒で。

完璧なシーザーズ

■07/19 祝:人生初の吉野家で鰻丼■

歩く気はしない程度に十分に離れている街道沿いに店舗を見つけ、ようやく念願が叶った。混んでるのは嫌だなと平日13:30過ぎ。店舗前が駐車場のようだがペトロール・ステイションに併設されているようでココに停めていいんかね? 停めちった。アルミ製ノックダウン、陽極酸化皮膜の廉価店舗用自動ドアは片引き、框押しボタンタイプのタッチセンサー、有効開口800、引き残し75くらい、框本締錠シリンダー/サムターン、機械警備センサー無し、と一昔前の仕様。入口正面がしょぼい持ち帰りカウンター。右手にU字カウンターx2にテーブル席が3つ。意外に奥行きがあって計30席ほど。左手の丸見えの厨房・パントリィに店員3、U字カウンターにオッサン客各1でガラガラ。開口部が入口側にしかなく、奥は照明も薄暗く内装もかなり年季が入った雰囲気で鄙びている。

販促ポスターのメイン写真はハーフカットの鰻が1枚のったように見えるものだが、飯の白さが際立つのはすき家と同じ。飯が見える丼ものなんて、この世にあってはならないだろうに。価格は1ユニット鰻丼が650円、2ユニットだと980円。心根の卑しい人間なので迷わず2ユニットを選ぶ。水を持って来たパートのおばちゃんにメニューを開きもせずに鰻丼2枚盛り、目の前のカウンターですっかり紫外線退色しているセットメニュー張り紙からお新香+味噌汁のBセットを告げる。ちなみにAはマヨネーズ味? のキャベツサラダ、Cはキムチらしいが、鰻にそんな組み合わせは有り得ないし、お新香や汁物なしに丼飯食うこともあり得んだろうから、最初からセットにしておいてくれるとお互い面倒が省けるし、客単価も上がるだろうに。オーダーと同時に奥のあんちゃんが冷凍庫から取り出した鰻を電子レンジに入れ加熱スタート。意外に長く1分ほど。3分後にはコンパクトなトレイに載って、注文品+デカい湯呑みでホットのお茶がお目見え。左丼、右汁椀、中央奥に漬物小鉢、右奥お茶と、まぁ、常識的な配膳。丼は思っていたより小さいが、陶器の黒い器は肉厚で重さは一人前。二枚盛りだけど山椒の小袋が一つ。

で、早速鰻。3cmx10cmほどの短冊が3枚で1ユニットx2。計120gほどか? ポスター写真に倣って切り身は無造作に重ねられている。縦方向にカットされた鰻の切り身を目の当たりにするのは生まれて初めて。略ポン半串や四分一串用の捌き方にも見えない。オトト……これは面白い。鰻の蒲焼にこういった形状の規格品は存在しないし、鰻をこういう形にカットして提供する鰻屋は識る限りこの国には存在しない。ぱっと見でわかるほど色味はかなり濃く不自然。焼き色が着いているわけではなく、染まっているという表現が相応しい。甘露煮か? 身肉は最大7~8mmとかなり肉厚。ちょいと持ち上げて皮目を眺める。一応焼きは入っている模様だが、色味が濃くてよくわからん。

観察はその辺にして、首を傾げつつも最も厚そうな部位を一口。レトルトパウチ品特有のフニャフニャだが、すき家よりもいっそう柔らかく歯応えは殆どなし。脂がかなりのっており口中で蕩ける。臭みなし、小骨なし。これなら山椒はまったく不要。鰻を食べもせずに山椒をぶっかける人がいるが、あれは鰻と調理者に失礼な行為なのは言うまでもない。出された料理にいきなり醤油やソースぶっかけるのと同じレベルの蛮行愚行。身肉の断面はタレ? の色に染まってやや褐色を呈す。タレは飯底にまで達しており、どう見ても若干多め。量販品やすき家より甘味が薄い点は好みに合致するが、かといって味醂や醤油の香味はない……割りには、鰻そのものにタレが染み込んで味が付いて、後掛けしたタレと合わせるとかなり塩辛い濃厚な味付けになっている。

味噌汁はフリーズドライか? 典型的なインスタント味。旨味強すぎ、塩辛~よ。けんちん汁と豚汁への変更が可能だが、ごちゃごちゃ具が入った汁物は好きじゃないし、家庭料理を外で食えるほど金持ちじゃない。お新香は量も多く、白菜主体だが彩り豊かで、不快な甘味や旨味がなく昨今の飲食店では驚くほど上等の部類。ちょっと塩辛いが熟れた味だろう。白飯は若干固めの炊き加減で、はえぬきや北海道米の古米ではないか? 控えめな味でオカズに合うと思う。鰻の量を考えれば飯量はやや多めだが、すき家よりも遥かに適切だろう。

総合的に見て、非常に上手く考え、よくできていると感じた。旨味の付け方が人工的すぎる嫌いはあるが、慣れちゃうとおいしいと感ずる。すき家とは素材自体が比較にならんが、顧客層を考えればこういう方向性も有り得るのかな? 鰻とお新香だけしか食べていないが、味付けもすき家よりオッサン向きだね。全体の形状が見て取れないが、鰻は恐らく、アンギラ・ジャポニカ。蒲焼規格品外の加工用大鰻か、蒲焼時に2~3割ほど発生する端物(捌くの失敗したり、焼いてる途中でちぎれたり、蒸してる間にバラけたもの)を重量大きさ調整を兼ねて短冊状にカットしたもの。蒲焼というよりは身肉に調味液が染み込んだ柔らかい煮魚のような食感は、「ひつまぶし」や鰻寿司など加工製品に使う、ガスバーナーで焼き目を付け、下味調味液を加圧注入で浸潤させたものを転用している可能性もあるかもしれない。大鰻の場合、皮が厚く固くなったり、小骨がうざかったり、身が大味でボケるケースが避けられないからその対策もあろう。ちなみに、まともな「ひつまぶし」は元の鰻長焼きの形が類推できるようにそのまま包丁が入っており、、すべての「ひつまぶし」が端物や大鰻を使っているというわけではない。又、「柔らかい」という表現は褒め言葉には当たらない。鰻の場合、調理手法が稚拙あるいは邪道であることを端的に表す言葉なので誤解なきよう。タレが強すぎて川魚の味がしないというのは致命的欠陥だが、そこはホンモノを食べた経験がない限りわからないわけで、タレの濃厚な旨味で上手く補って庶民の「鰻丼」のイメージをきっちりと作り上げているということか。すき家との価格差が130円と考えると、こちらは遥かに利益率が高そうだ。稼げるところできっちり稼ぐ手法は経営の基本である、……という意味で、元吉野家のすき家経営者は後発として紛い物は出せないという意識はあろうが、ちょっと対抗意識過剰かな? 残念ながら世間はそこまで賢くないよん♪

証拠

カウンターは入れ替わり立ち代り、オッサン。それも30代中盤以降のみ。食うのが目まぐるしく速くてビックリ。滞在時間10分も居ないだろ。松乃家でよく見かけるベタァとした雰囲気のスマホ・ヤングや、すき家でときおり見掛ける人として終わってるタイプは皆無。途中で入って来た中年中華女x2、中学生くらいの女の子と母親はテーブル席へ。牛丼よりも豚肉系の何かが流行っている模様。業界では老舗の部類だろうか? 新興に押されジリ貧のイメージが強いが、メニューを絞り、チャラチャラ余計な媚もない点には強く共感する。注文時に加え、会計時には声を出して店員を呼ぶ作法も、世界中どこでも極めて当たり前の普遍性が感じられ、殊の外、気に入った。基本的に現金を持たない人間としては支払にWAONが使えるのも非常に嬉しい。カウンターに数カ所レジがあるが、特定の機械でしか処理ができないようで、カードを預けると店員が決済してくれる。機械そのものはマクドと異なりオートチャージに対応しているようで、とても便利。実質カード払いが可能なわけで、個人的に利用頻度は上がるだろう。こちらはお新香がけっこう良いので、鰻2枚盛りで980円、お新香セットで1090円なら確認を兼ねて今季もう2、3回リピートしてもいいかな。鰻が終わったら、多くの人が味を絶賛する牛丼を始め、他のメニューも試してみよう。

■出来合い餃子■

毎度お馴染みジャンクの中のジャンク。千差万別雨霰ほど種類がある中華圏では料理店で食うものというよりは、屋台や道端の行商人から買って摘むもの。宇都宮餃子だって何の気取りもないただの餃子屋の餃子(6個で240円だったかな?)である。得体が知れなくて胡散臭くて安っぽいほどおいしいクイモノの一つだと常々思っている。その辺で手に入る既成品の場合、冷凍とチルドと生があるが、チルドは皮がイマイチだし冷凍は賞味期限が長くて競争がないから安くならんな。昔ときおり見かけた○○有限公司製みたいな安価な輸入品は、下らないプライドと過剰な自意識に業務用以外すっかり駆逐されてしまった。

焼餃子1

仕方なくメーカー名すら書いていないような産地不明「国内産」生餃子に値引きシールが貼られたら買い求める。10~12個入りで70円くらいになったら6~10パックほど。醤油状の出来合いのタレが付属しているものもあるが、餃子にタレは使わないから無いもののほうが捨てる手間が省ける。出来合いの餃子は一口大でとにかく小さい(=皮の割合が多い)ため、基本的に一人前で3~4パックの勘定になる。

焼餃子2

ジャンクだから焼きは基本的に適当でよい。適当に熱したフライパンに胡麻油を敷き、火を一旦止めて、餃子をぎっしりみっしり隙間なく適当に並べ再点火。フライパンに入る最大量を並べないと食う暇ないんだな、これが。油がパチパチ音を立て始めたら、適当に沸騰させておいた鶏ガラスープ(安価な化調風味で塩分のないもの)を適当にお玉で流し入れ、適当な蓋。強火でガーッと蒸し、適当な感じに火が通ったら蓋を取り、適当に水分を飛ばす。油が再び跳ね始めたら適当に溶いた水溶き片栗粉を流しバリを作る。最後に適当な量の化粧油として胡麻油少々。適当な皿を被せパンごといよっと反転して出来上がり。直ちに次の餃子を適当に並べ、蒸し焼きしている間に焼きたての餃子を食うのだ。醤油+辣油よりも香菜撒き散らして鎮江香醋で食うのが適当なんだな♪

焼餃子3

数店の量販店で同グレードのものを試しているが、どこの商品も大蒜がけっこう効いているのと中身のヴァリエーションに選択の余地がないのが難点。肉餃子と野菜餃子という区別はよく見かけるが、それ、何か違わないか? 白菜じゃなくてキャベツ使用のものばかりだし、豚肉+セロリや、何らかの巻貝+鮑の肝+香菜といった不気味な海鮮餃子がない。オマケに、大蒜がきついと食っているうちに飽きてくるんだわ。頼むから餃子に大蒜(ニラも)を入れるのは止めて欲しい。下ろしたものを醤油に溶くなり何なり、いくらでも後付けできるだろうに。

焼餃子4

その回避策として、大抵売り場の隣に並んでいる焼売も3、4箱買い求めておくと便利。焼売にまで大蒜は入れんだろう、普通。こちらは付きっきりで焼かずに蒸すだけだからお手軽に変化を味わえる。スープは葱と紫玉葱。

餃子のオカズ

■悪ノリ♪ が止まらない■

07/22:すき家4回目

吉野家の味を忘れぬうちにすき家4回目。朝5時30分。店員2、客1。特鰻丼お新香セット。飯は普通盛り。結果的に4回の内、最高。大きさ、厚さ、脂のり、絶妙な歯応えと食感、身肉の白さ、川魚の匂い、小骨なし、臭みなしで文句なし。量販加工鰻としてのレトルトパウチ蒲焼でこれ以上を求めるのは酷だろう。吉野家の鰻丼を味わった後だとココのタレの透明感が際立つ。逆に、お新香のショボさが際立つのも事実。牛丼より高くてもいいから、守口漬とスイカの粕漬けか水茄子と白瓜、胡瓜と人参とセロリの浅漬盛り合わせでも出してくれないかな?

6時が近くなると朝飯需要で客が増えだす。朝食メニューなのだろうか? 生卵や納豆を執拗に掻き混ぜる音がチャカチャカちゃかちゃか、プラスチックの容器にプラスチックの箸がチャカチャカちゃかちゃか当たる音があちこちから聞こえ出して、朝の清々しい気分が台無し。で、それを飯と一緒に掻き込むズボー・ズボーが重奏と。蕎麦屋じゃないんだから、同じクイモノでも家で食うときと外で食うときは食い方が異なるだろうに。それができないなら自分の家でこっそり食えよ。

正直、鰻なんて年に30尾は食っていないわけで、「本当においしい鰻」というものを識っているのかどうか、我ながら常々甚だ疑問に思っている。見ただけで良し悪しがわかる鰻もあれば、食ってみないと判断がつかない鰻も多い。鰻の質そのものはもちろん、調理手法やタレの良し悪し+好嫌、地域性による差異も全体の評価を決める大きな要因であるから、判断は余計に曖昧なものに為らざるを得ない。淡水魚独特の匂いをどう捉え、どういなすかでも評価は大きく変わろう。しかし、極めて端的な一断面に過ぎないが、ファストフード系外食店の鰻は進化を重ね、価格のみならず味わいの点で量販店で売られている解凍蒲焼を凌駕したという事実は、鰻の産地を問わず、はっきりと明言しても良いだろう。両社共に通年化を切に望みたい。牛丼は年に1回も食えば十分だもの。

07/25:すき家5回目

松乃家の分がすべて回っているので、このところいつものすき家の利用頻度がグンと上がっている。殆どワルノリ状態。鰻がある間は鰻しか食べないが、牛丼もこの店はいつもそれなり。最近では持ち帰り弁当の場合、この店で買って来いと指定が付くほど。煮込みがあっさりで脂っこくなく、盛りが良く、特に夜~朝のあんちゃんはツユ量も程良くテキパキして気持ち良いと三拍子揃っている。今回はオバさん店員x3の昼にはかなり早い時間帯。カウンターに客1のみでガラガラ。最近はもっぱらエアコンが効くテーブル席でズロ~んと寛ぐ。オーダーはいつもの特鰻丼お新香セット。徒歩のときはもちろんビール付。鰻が更に大きくなって、ほぼ飯が見えない。3.5Pくらいかね? そのせいか頭側に若干小骨が感じられたが気にするほどではない。身肉の厚さも上等。

07/28:すき家6回目

朝5:00から仕事しながらビール2本と白葡萄酒1本開けて、酔っ払って眠くなってきた15:00過ぎ。うだる暑さの中に出れば目が醒めるだろうと、土用丑(の翌日)だというに鰻丼80円引きクーポンまで来たのでホイホイ釣られるオレ。よっぽど売れ行き悪いんだろうか? 確かに鰻を食っている人に出くわしたのは吉野家を含めて今季たったの一度だけだ。世間ではボッタクリだのマズイだの牛丼屋で鰻を食う貧乏人は社会の屑だから今すぐ死ねだのボコボコに叩かれているようだが、底辺人としては十分においしいから全く気にもならない。今回は、お新香がパッとしないから特鰻丼+健康セットにしてみた。土曜なのに(だから?)客ゼロ。いつもは夜勤のあんちゃん店員2が昼勤。せっかくだから鰻を持って来た店員に聞いてみたら、やっぱり相当余っているらしい。昨日(7/27)も殆ど出ていないって苦笑してた。実際、食い始めた頃、徐々に増えてきた客の誰一人として鰻を注文する人はいなかった。よしよし、オタクの鰻はオレが全部引き受けてやろう。まだまだ当分食えそうだわ。

健康セットなる名付けが適当なのかどうかは不分明だが、中身はタダの豆腐の冷奴なんだな。豆腐は絹が半丁弱。100g前後か? 青葱と生姜ちょびっと。語るほどの質じゃないが、卓に置かれた醤油瓶はこれのためにあったのかと納得。トウモロコシ入りのサラダよりはマシ。飯少なめで注文したら、いつもより小さい器(普通の鰻丼用?)で出てきた。表面が完全に鰻で覆い尽くされて、正しい鰻丼にようやく出会えたと感無量である。

■麺二題

◇ドライトマト入り大蒜と油と唐辛子のパスタ◇

トマト+ぺぺ

麺はデ・チェッコNo.8リングイーネ・ピッコロ。ドライトマトはイタリア産の安物瓶詰め。大蒜は中国産、唐辛子は自家製、黒胡椒はインド産、塩は中国産湖塩、EXVオリーブ油は廉価スペイン産で完璧。

◇乾燥木の実パスタ◇

木の実パスタ

イラン産の柔らかめ・大きめ乾燥無花果と乾煎りしたアーモンド、缶詰ライプ・オリーブのチーズ・パスタ。チーズはモッツァレラ。緑は豆苗。味付けは塩とEXVオリーブ油。唐辛子と大蒜は外せない。麺は無名スパゲッティーニ。


2012/07/31 作成__2012/07/31 最終更新