15℃・48%


ハハ呑気だね~と年末。元々、クリスマスは神の御心のままでかまわないんすが、めでたいことも何もないので今回からは正月ももういいよね? 終了で。前を見ても後ろを見ても、右を見ても左を見ても、上を見ても下を見ても、このまま順調に劣化が続くと、オレが死ぬまで持ちそうにないな。何より経済・政治+行政・組織や一見三権分立やもしかして民主主義そのものの複合的で致命的な問題には何ら光明が見出せないんだが、これを読んでる良い子の皆んなは、どうしたらいいか真剣に考えるんだよ♥  現世は君たちの時代だ(笑)。

サンプリングには罠がある。工業製品に比べ標準偏差が大きい一次産品で、安全率ゼロで線引しちゃうことが、どういう結果を生むかは猿にも理解できると思う。最も的確(すなわち偏差が最大値の)なサンプリングが為されても、確率的に半数は限界線を超えてしまうわけで、恣意的に低い値でサンプリングされた日にゃ、ケタが違うものすら線の内側に見せることができるという力技的カラクリ。標準偏差の大小にもよるが、線引きが100なら一桁ぐらい、すなわち10以上はすべて切り捨てるくらいが安全を担保するには必須のはずなのだが、99ならOK、というのが昨今の風潮のようだ。統計学の基本すら無視して、後に何を残そうというのか?

■魚3題

◇ ウマズラハギ干物

鮨屋のあんちゃんに貰ったもの。カワハギあるからウマズラは干物にしちゃった、ということらしい。帰り際に寒風干し中の網から出して持って来てくれた。網はビルの谷間のTimes時間貸しコインパーキングの看板の裏にぶら下がっている(笑)。フグ科の南方魚で元は西で食べる魚だったが、今は北海道以外どこでも採れる。コスト的にはフグ>>カワハギ>ウマズラハギなので、カワハギの代用魚としても使われている。刺身で食うとカワハギの繊細さには及ばないが、干物じゃわからん。フィレになっているので、そのまま焼くだけ。スダチを絞るだけ。塩味も程よく、けっこう、大振り(長辺15cmくらい)な身で、脂も載っている。

ウマズラハギ干物

◇ 鯖味噌煮

長崎五島のマサバ。締めると時間が掛かるので今日は味噌煮だ。味噌煮に使う鯖なんて腐ってなきゃOK。そのための味噌煮だから。材料は風味が強い三河の角久八丁味噌、酒、黒砂糖、自家製生姜と極めてコンビニエント。味醂と醤油を使わないというあたりが厭らしいわね。酒はもちろん普段呑んでいるものを。付け合せは霜にあたっても一向に絶滅しない唐辛子福耳と白葱である。

鯖味噌煮

鯖の身のいちばん厚い部分のちょうど半量くらいの酒深で、フライパンに酒を張る。純米じゃなくてもいいけど、呑めるグレードの酒にしようね。アルコール分を飛ばしながら味噌と黒砂糖を溶く。溶けて沸騰したら生姜と半身ニ分割の鯖を皮を上にして投入。中火で蓋をして3分。中弱火でスプーンで煮汁を回し掛け3分。煮汁が煮詰まってきたら焦げ目をつけた添え菜を盛り付け、鯖を盛る。針生姜を合わせて出来上がり。たいした大きさじゃなかったので一人前3/4尾で。煮時間はなるべく短く見極める。煮込めば身は当然固くなり、味噌の香りも生姜の香りも飛ぶ。味噌を後入れする作り方もあるが、それは味噌煮じゃないわな。

◇ メジ鮪煮付

メジカマ

生でも良かったんだが、脂を眺めていたら包丁を入れるのが嫌になって煮付。カマの全長が30cmほどもあり、フライパンで処理する以外に方法がない。酒、醤油、生姜を煮立て、蓋をして火を通す。面を返し、煮汁を掛けながら計10分ほどで器に取って、針生姜、白髭葱をあしらう。カマはくどくはないがたっぷりと脂が乗って煮付ながらも蕩ける味わい。頭側もパサパサにならず、すんなり・あっさりした淡白な旨味が素直に伝わる。当たりのメジであった。

メジカマ煮付

■なか卯 de déjà-vu

◇「牛丼+饂飩+唐揚で満腹」

久しぶりにすき家に車を停めたら、セール中だったらしく、しょぼい風采のオヤジがカウンターで肩を寄せ合っていた。いつか、どこかで見た光景だな? と、くるりと踵を返し1年ぶりになか卯。徒歩圏3店が食券自販機による前払い制を廃止して利用し易くなったのは大変喜ばしく、利用頻度も上がろうというもの。あの手の客を客とも思わぬ面倒を強要する愚弄システムは直ちにこの世から全廃すべきだろうが、客層の取捨選択を兼ねて食券飯屋との差別化を図る方向性は好ましいと考える。さすがゼンショー、目の付けどころが違う。どんどんやってOK。食券じゃないと来ない客層は無視したほうが効率的だが、食券買うんかよ(笑)~ダセー勘弁……という客層を切り捨てたら客@下がって経営が成り立たないのは自明というもの。あとは酒だな、酒。缶じゃなくてさ、生ビールと日本酒くらい置こうよ。

今回は鷹狩りるんるんドライブ街道沿いのドライブスルー付店舗。午後1:30。中央がレジと出入口で開いた10人ほどのコの字カウンター以外は、壁際ベンチシートタイプの4人掛けテーブル席x6くらいのプレファブ郊外型。黒基調鶯色シートに紅鮭色のコスチュームが映えるいつものパターン。ドライブスルーに1台、店内持ち帰りに1人、店内客4人程度で昼時の混雑が解消しつつある時間帯。サラリーマン風4割、作業員風4割、あんちゃん2割に爺1名(オレ)追加といった按配。マクドナルドが女子供の聖域動物園なら、廉価飯屋はオッサンの牙城かいな(休日は知らん)。店員はフリーター男1、パートのオバサンx2。All Japanese, yeah! 珍し。持ち帰り注文の唯一の女客が饂飩の蓋が潰れてる(=冷却収縮で凹んでる:饂飩が冷めてから蓋してやれば?:笑)から容器を変えろとぐちゃぐちゃゴネてて、その他オーダーが若干停滞気味だが、せっかくセールをしていたので和風牛丼(並)+ハイカラ饂飩+唐揚げ5個という組み合わせで注文。ハンディで受注後、他作業同時進行で復唱がヘッドセットのマイクで拾われて厨房に音声で伝わる仕組み。5唐は若干時間掛かると言われたが、鰻屋で鍛えているし、元々食事を短時間で済ます習慣はないので何ら異存はない。応対もすこぶる丁寧で、カウンターには氷入りのお茶ピッチャーが置かれているが、お爺さんの私には温かいお茶を入れてくれた模様。いや、まぁ、水でよかったんだけどさ。

で、待つほどのこともなく、トレイに載って、牛丼と饂飩。お茶付きで。一歩遅れて角皿に載った5唐揚げが登場。5分も掛かってないぞ。パントリーで出力された伝票が伝票差しに丸めて刺される。カウンターに置かれた箸・匙はプラスチック、唐辛子類はすき家と同じに見える。紅生姜は赤が濃いタイプで、すき家のものよりおいしいと思う。ソフト腿肉の唐揚げは改めて仔細に見るにHMより一回り小さい程度の小振りな一口サイズ。皮目が含まれ若干脂っぽいけど、揚げたての熱々。香ばしさには欠けるが、衣はよく油が切れている。1個30円の価格を考えれば決して悪くはない。かなり濃い目に付けられている下味の人工っぽさは両者同等。記号化された唐揚げの平凡だが平均的な味を若干超えるレベルにあると考えて良いだろう。単純な思い込みで前回比較マイナス評価したことを深く反省する次第であります。ごめんなさい。

今月の食材産地表示を眺める。ボード? に米は青森・秋田産とあるが、それ自体に意味を見い出せるほど世の中は上手くできていないことを理解しているのが現代人の大人としての嗜みだと思う。牛丼は和風牛丼と称し、肉と玉葱以外にシラタキが混じるタイプ。以前は含まれていたらしい椎茸は見えない。肉の量はすき家に若干劣るがシラタキを含めればどっこいだろう。肉質はバラで、よく味が染みている。すき家のものより煮時間が長い印象を受けた。すき家より脂っぽさは薄い。つゆはかなり甘めだが、くどくはなくてさっぱりした風味。砂糖ではなく人工甘味料で甘味を補っているのだろうか。量も程良く、丼底がベチャベチャにならず箸だけで食えるあたりは感心した。

饂飩は前回より麺が柔らかめだが、つゆは適度な濃度でほっとした。相変わらず塩味は強いが、アミノ酸風味も異様とまでは感じなかった。最近調味料の調合を変えたのか、去年食った小饂飩が異様に濃かったのかどちらかだろう。出汁は平均的な合成合わせ出汁で関西風の外見であること以外特筆することはない。量は多いのか少ないのか、茹で麺換算で120gくらいではないか? 並饂飩としては若干少ない気がした。以前はセット物には漏れなくお新香が付いていたが、今はセット物自体がメニューに無い模様。総量としては昼飯として適量。腹膨れたわ。ポッキー2本刺さったソフト・クリームもあると、帰りがてらプラプラ食うのに丁度いいんだがな。

世間的には貧乏人の餌・マズイもんの代名詞扱いで、貶したり白眼視することが多いようだが、他人が語るほどおいしくないと思ったことはないし、サービスや応対も悪くない。店員は大変だろうが、極めてシステマチックに良く考えられていると思う。値段に見合う(と自分が納得できる)ものを心地良く食える店は実際極めて少ない。提供商品の料理としての創意工夫の無さは、平均で平凡で誰もが一応食べれて、いつでもどこでも同じ味という味覚そのもののある種の記号化の結果であって、他人と同じモノを同じように食べることを希求し、価値観の共有に最大の幸福を見出す現代の需要に忠実に対応した結果だろう。まぁ、牛丼並だと白飯と上に載ってるオカズのバランスが悪くて、かなり気を使いながら食べないと白飯が余り気味になるのはすき家も同じ。オカズと白飯(具とパンも同じだけど)が3:7くらいの割合って昭和の時代から変わってない気がするが、現代においても世間的には納得できる割合なのだろうか?

■うどん

麺から作ろうなどという気はさらさらないが、なか卯で出すようなうどんを作ってみたくなった。生まれて初めて。せっかく作るのだから、いつもの蕎麦用鰹出汁に昆布入れて誤魔化すようなことはせず、昆布出汁を引いてみよう。世間のかけうどんの出汁がどこのどのグレードの昆布なのかは殆ど情報がないのでわからない。仕方がないのでうちにある備蓄昆布の中で最も適当だと思う羅臼の天然昆布を使う。

うどんつゆは上記の昆布出汁、酒、淡口醤油、塩を適当に味見しながら合わせた。ホットなので味付けは薄めがよい。麺は茹で麺も半生タイプも切れていたので、乾麺をじっくり13分茹でてみた。茹で上がりは冷水でよく洗い締める。締めたものを再び温め、つゆで割る。つゆで2分ほど葱を茹でている。トッピングして完了。肉は鹿児島黒豚証明書付焼肉の残りを胡麻油と白胡麻で軽く炒めたもの。緑は自家製葉葱。揚げ玉は既製品。

西国風饂飩

昆布出汁がちょいとお上品すぎで、売り物と同じようにはならんなぁ。今度は利尻を濃い目にしてみよう。つゆの調味料は単体でも飲める質のものだし、味付けは自分好みにできる分、売り物より有利なのは当たり前。薬味は七味唐辛子ではなくて下ろした生姜でもいいか。

■記号化されたカレーライス

トッピングという行為が昨今の巷の流行りらしいと聞いた。確かにすき家で眺めれば卓上の紅生姜を一人でカラにしたり、七味やドレッシングを一瓶使い切る人、丸亀に行けば葱や天カスを饂飩にてんこ盛りにするだけでは飽き足らず、何度も足を運んで卓上の出汁醤油や天ぷらソースを掛け回して食っている人を見かけるものだ。一方、外食店で和食としてのカレーを食べることは滅多にないが、カレーにトッピングする一番人気がチーズだと聞いて、ほほう~と、可能な限りその状態を再現してみようと思い立った。カッテージチーズとホウレンソウのカレーはよく目にする組合せでもあるし。

まずは既製カレールー購入のため、量販店に赴くところから始めねばならない。売り場には夥しい種類の箱入りルーが並んでいて、どれを買っていいのかサッパリわからん。手にとって能書きを眺めても差がわからん。池沼でしょうか? 面倒なので特売値札が付いていたグリコ:2段熟カレーとハウス:こくまろカレーをこんな買って食えんのか? というくらい買い込んだのが5月(笑)。苦節7ヶ月、ようやく試作に取り掛かるのでした。

レシピは箱に書かれてる。一部材料が揃わないが、まあ、気にするほどではあるまい。玉葱を炒め、具は福耳とエンドウ豆、ブラジル産冷凍鶏腿肉、じゃがいも。最初だから、アレンジは施さずルーの箱の裏のレシピ通りの作り方を完璧に踏襲してみた。玉葱はスパイスではなく野菜として使用し、大蒜も生姜も加えていない。じゃがいもも揚げずにそのまま。超簡単じゃん。泥酔しててもすぐ出来たぞ。トッピング用のチーズはピザのベース用に購入した恐らく平均的なモッツァレラとゴーダの混合100%ナチュラル・チーズ。片手掴み1杯分(50gほどか)を通常通り装ったカレーにトッピングし、溶けなきゃマズいだろう? と上から更にカレールーを回しかけた。和風カレーの添え物の定番、ラッキョウ甘酢漬(自家製)と福神漬(業務用ちうごく産既製品)は別皿に取っている。

ウォ、カレ~。福耳のせいかな? 外のエスニック料理店で食べる猪口才なマサラよりは遥かに辛い。辛いものが苦手なオレにはぎりぎりの線だよん。ルーは規定量だが、調味料は舌で区別できないほど種類と量が入っていると思われ、相当くどいアミノ酸風味も感じられる。フルーツ風味の妙な甘さは何だろう? 一方、スパイスは極めて貧弱。ケチり過ぎだろう? エスニック料理と云うよりも不自然なコクと甘辛系の伝統和食風味に引き摺られているように感じるのだが、いいのか? これで。作り方間違ったつもりはないが。

特盛カレー

で、肝心のチーズ・トッピング。チーズが溶け、ネチョネチョで糸を引く。これ、食感としてはウザいだろ。スパイスが弱過ぎでチーズ臭が際立つ。チーズが多過ぎたか、匂いのない国産チーズフード類でないと辛いか。元々、チーズ(乳製品)と白飯の組合せは苦手だし、カレー? の香味? を著しく削ぐような気がするが、これが時代に求められた味なのだろうか? 複数のルーを混ぜたり、林檎と蜂蜜とチョコレートを入れたり、一晩置いたり、コトコト煮込まないとおいしくならないのだろうか? 何よりも愛情が足りないのだろうか? そのうちYahoo知恵遅れか発情小町で訊いてみよう。取り敢えず次は肉をより一般性が高そうな豚か牛に替え、福耳は止めて人参を入れれば完璧? じゃがいもは皮を剥いて、人参には飾り包丁でも入れれば愛情の証になるのかな。評価はそれからでよいだろう。しかし、いやぁ、食った食った。さすがにこの量は堪える。メガ・カレーよりも多いと思う(食ったことないけど)。

■麺3題

麺はDivellaの1.4mm。真円形状の麺はいろいろ試した結果、価格と味のバランスを考えてDivellaの5kgパックが気に入っている。何というかな? 崩れなくてソースの絡みが良い。テキトーに茹でても、外形は際立つのに中は柔らかいみたいな、硬質な透明感が際立つ。国内的嗜好からは外れそうだが、非ソフト麺の面目躍進。食感が素晴らしい。このクラスなら1500円/5kg以下で買えるから、いろんな意味で「米」よりも安定してる。小麦風味の強いGarofaloも好みだが、業務用パッケージが見つからないのでちょっと高くなる。

油麺

具はセロリとコッパ(豚首肉の長期熟成腸詰)のみ。EXVオリーブ油たっぷりで作る。できたものを皿に盛りつけて、更に匂いの強いEXVオリーブ油をタラタラ~と掛け回すのがオイル・パスタの命。

牡蠣麺ということで、全然安くない(198円/500g)ので最近あまり使わないDe CeccoのNo.8、楕円断面のリングイネ・ピッコロ。冷凍牡蠣剥身5、6個を解凍し、塩で振り洗いして水切りの上、塩胡椒。大蒜と唐辛子をオリーブ油でじっくり炒め、中火にして冷凍ホウレンソウを加え、最後に牡蠣を軽く転がす。白葡萄酒(シャルドネ)と牡蠣の汁気、塩胡椒で味を決める。牡蠣がぷくりと膨らんで薄っすら焼き目がついたらタイミングを合わせた麺を皿に盛り、牡蠣をソースごと盛り付ける。パセリとEXVオリーブ油を振って出来上がり。

牡蠣麺

豚バラ肉で煮豚⇒セロリ麺。煮豚は背肉や腿肉を使うことが多いが、世間の風習に倣ってバラ肉で試作。脂を外側にグイッと丸め、タコ糸で縛る。拉麺以外に使い道はなさそうなので、屑葱、生姜皮、醤油少々で30分ほど煮る。蓋をしたまま一旦放置冷却。再度60℃程度まで加熱し、老抽と老酒、花椒、八角、黒胡椒、丁字、肉桂等好みのスパイスで漬け込む。1週間くらい。

麺は元々38円/袋の生中華麺だったが、今は微妙に体裁が変わり、縮れ麺になって25円⇒19円になっている。具は葱、セロリ、煮豚のみとシンプル。スープは鶏がら出汁に醤油、塩、老酒、黒胡椒。煮豚は温めを兼ねて5分ほど煮ている。個人的にセロリと豚の組合せが好きで、鶏よりも遥かに合うと思う。餃子を作る場合にも必ず準備する組合せ。

豚バラセロリ麺

■焼き鳥

アメリカのキリスト教徒には感謝祭に七面鳥を食べる風習があるそうだが、雉(キジ:そのへんのは殆ど養殖)と同じで肉が締まって、何よりも風味があって趣がある。最大の欠点は大き過ぎで、ウチではとても処理しきれないことだろう。基本的に鳥の肉を大量に食べる習慣がないため、2食続けて食うのは勘弁だし、需要が無いせいもあってびっくりするほど高価につく。感謝する相手もいないことだし、求められるのは雰囲気であって本質ではないから、焼き鳥は焼き鶏に安直にダウングレードすればよい。昔は近在の外資スーパーで、フランス人のお姉さんがムンムン色気振りまきながら、黄猿をあやすように指示して焼かせた焼き鶏(980円)を季節外れに買うのが習慣化していたが、フランス人のお姉さんの満面の笑みと傲慢で容赦のない猿回しが見れなくなって、すっかり足が遠のいた。仕方なく、うちのようなカントリー・サイドでも一年中よく目にする人工生物製品:冷凍ブラジル産ブロイラー中抜き1kg:480円をゴロンゴロンと買って来る。グリラーと称す四足食わない向けのアラビア文字が目立つやつ。円高なのにちっとも値段が下がらんな。2kgで600円台の腿肉に比べると相当割高で気分が萎える。鶏としては小振りだが、これ以上大きいと食い切れん。ガラを除けば重量的にもたいしたことない。左右対称なのでちょうど2人前(には余る)のオカズになる程度。もちろんガラは最終的にスープに使う。

パッケージ

まずは冷蔵庫でゆっくり解凍。あちらのパッケージは恐ろしくシンプルなので穴が開いてたり、すり切れてたり。皿敷かないと冷蔵庫が水浸しになったりして難渋。3日後、体よく解けたら水洗。腹の中も指突っ込んでよく洗う。洗ったらペーパーで水分をしっかり拭き取る。腹の中も。岩塩、オレガノ、タイム、黒胡椒、乾燥ローズマリー、下ろした大蒜を混ぜ合わせ、鶏に手で摺り込む。腹の中もね。摺り込んだら腹に大蒜二つ割り・10粒x2、庭からちょん切って来た生のローズマリー1枝・10cmを突っ込んで、水切りトレイに載せ冷蔵庫。放置1日のつもりがうっかり忘れて2日になった。まぁ、結果的には塩が肉の芯にまで達して、良い出来になった。

下味付け

時期が来たら、じゃがいも、マッシュルームなど好みの材料ををオリーブ油でテキトーに炒め、鶏の腹の中にグイグイと充填する。放置前の大蒜、ローズマリーはそのまま。ついでに、セロリの葉も押し込んだ。開口部は竹串や楊枝で縫いつけるように塞ぐ。世間的には足をタコ糸で縛ったりするそうだが、M字開脚しようが、どうせ食うときにはバラすわけで、どうでもいい話。全体にオリーブ油を垂らし、200℃のオーブンで腹を上に取り敢えず30分。脂が落ちるので網で浮かせるとよい。30分経ったら、下の耐熱皿にテキトーに切ったじゃがいもを追加している。向きを変えて更に15分+15分。程良く焼き上がったら、腿に鉄串を刺して焼け具合を確認。

肉じゃが状態

基本的には完全に解体して取り皿に分ける。関節をナイフでこじれば手羽や腿は簡単に外れる。胸肉は中心から少し逸れた位置でナイフを入れると削げやすい。肉の中までしっかり味が染みているので、ソースはたいてい割愛する。皮はパリッと香ばしく、裂けるように肉が削げ、しっとりと旨味が載っているというレベルが極めて簡単に出来てしまう、料理としては恐ろしく安直かつ失敗がない部類。普段鶏肉をおいしいと思うことは稀だが、ちょっと見直すレベル。おまけでスープ、スコーンはココナッツ味。型抜くの面倒臭いから四角というのは言うまでもない。葡萄酒はチリ中央谷の黒猫ちゃんの箱パック(750ml瓶換算550円くらい)がお似合い。重くはないがカベルネ・ソヴィニヨンの華やかさと、すっきりとした喉越しだが存在感はあるという変態ぶり。油っぽい芋や軽めの肉に殊更合う。

バラバラ殺鶏

2011/12/30 作成__2011/12/30 最終更新