胡蝶の夢


一段落。流石に堪える。少し仕事の仕方を変えねばいかんな。変えるもなにも変わらざるを得ない気もするが、誰しも踏ん切りがつかないのは多かれ少なかれ同じ。夏場の外食は低調。暑くて外出る気がせんわ。鮨屋に顔を出すくらい。顔を見ると思い出すらしく、メニューには載っていないアカボヤが出てくる。ほぼ壊滅のマボヤよりも爽やか風味で色濃い。捌きたてはそのまま山葵をちょろっとで。道往く人を眺めながら冷酒がすこぶるうまい晩夏の昼下がり。あれから、もう半年か。2011/03/14午前、3号建屋が盛大に爆煙を上げて吹き飛ぶ映像をリアルで偶然眺め、大法螺を垂れ流す御用学者を嘲笑いながら、鎮魂と感謝を込めて今半御謹製国産黒毛和牛をすき焼きにして、噛み締めて食った。一人前300gくらい。最後の晩餐ならぬ生涯最後のすき焼き。食い終わって24時間換気を停止。吸気口を全閉。窓を閉めて猫を屋内に回収。以後5月いっぱい散歩禁止。トイレは屋内だし、餌は外国産に切り替えればよいが、線量の桁が違うU字溝やら茂みなど凹んだ場所が大好きなので散歩帰還時の足拭きと鼻っ柱の水拭きは欠かせない。なんだろうね? この夢の中のような状況は。いずれはどこか、安心して駆け回れる場所へ連れていってやろう。

ブルグマンシア白

アメリカにケツを蹴り上げられて手取り足取り。半年も経ってようやく航空モニタリングの結果が出始めている。東京がいっこうに発表されないのは皇居を白抜きしたり地価対策で数値調整中かいな? 地価がトンだら国がトブもんな。時期的には短寿命核種が減り、都市部に降り積もったRIの一部(アスファルトやコンクリートは多孔質だから表面を物理的に削らないととれない)が雨で下水に流されるのを待っていた甲斐があった模様。軽く見ても人口百万overの東葛地域も長くは住めない数値だが、ウチの辺りは海風勢力圏だったせいか、多少マシなレベルかな? しかし、柏の鰻困ったな。生簀の井戸水もいつまでも無問題とはいえないだろ? 相変わらず指標扱いのセシウムだけで他の核種は存在しないが如く。極めて恣意的で姑息な色分け等、話半分どころか数値2桁違ってた、テヘッな大本営発表を勘案しても群馬の山岳地帯が酷いなぁ。観光や農林畜産業への影響があるだろうから積極的な告知は一切しないだろうが、どーすんだ、これ? 八ッ場ダムも軽く吹っ飛んだな。3月に高崎でα核種まで検出していたから予想の範囲内ではあるが、群馬が酷ければ隣接する新潟や長野へも当然流れているわけで、会津・奥只見から魚沼・十日町・飯山、谷川岳越えで南魚沼と榛名・倉渕・裏浅間・軽井沢、安中・下仁田・妙義越えで南佐久へ拡散してないか? 会津の川は勾配的に日本海に注ぐので阿賀野川経由で下越にも浸透していることだろう。麒麟山もダメか。只見と魚沼の間は新潟の酒蔵地帯だし、かつて好んで徘徊した場所が尽くダメになってしまうって、改めて憂慮に堪えないものがあるな。

まぁ、EU禁輸区域のキャベツや山菜・キノコ(は原木・菌床問わず国産すべて)を春以降食べている人はいないと思う(笑・回高屋のゼラチン餃子にキャベツ入ってたな)けど、富岡や下仁田の状態を見るに、こりゃ新芋に切り替わる今秋以降の蒟蒻ダメじゃん。高関税掛けて輸入できないようにしてるから国内生産の9割以上だぜ? カリウムたっぷりの多年草の根菜だからなぁ。冬の味覚にCs137おでんと熱燗のSr90酒かよ。味噌田楽も玉蒟蒻もオシマイ。もう生きているうちには食えない? って、すげぇな。南関東の水源である利根川上流のダムや山上湖も一回水抜いて底浚ったほうが良くないか? 淡水魚食えないじゃん。静岡・長野・新潟以東を輸入禁止にしているEUの初期判断は所詮他人事でザマァ(笑)だから恐ろしく正確だったといえる。

ブルグマンシア黄

本体の事故処理には(処理が可能かどうかは別として)100年以上掛かるだろうし、生物的な再生産が困難な場所に敢えて住んで、グダグダだろうが、無茶苦茶だろうが、放射性廃棄物を生産して消費するという被験者5000万人、人跡未踏の壮大な社会実験は世界の注目の下、半年前に始まったばかり。外資や外国人が戻って来なけりゃ、いずれ遷都も必至だろう。喪ったものはあまりにも大きいが、つまんない平凡な日常を眺めながら余生を過ごすよりは、一つ最後まで飽きさせない展開が続きそうだ。

収穫の夏

ミニトマトは思ったより多収。週3回採取でザル一杯。味が濃くて甘い。トマトとしては水っぽくなくて好みの部類だろう。あまり聞かない品種(ティンカーベル)だったがこれは当たりだった。台風が巻き上げた海水の塩害でかなり打撃を受けたが10月に入ってもまだ収穫できる。オクラもうっかりすると巨大化するが伸び盛りは生で食えるほど柔らかい。取れすぎるので来年は半量にしよう。現在は種取り用を存置。食えないけどブルグマンシアはよく咲いた。上に伸びりゃいいのに1.5mぐらいで止まった。肥料足らないのか? ヒコバエのせいか? 白が思ったよりいいな。挿し木で簡単に付きそうなので来季は少し増やそう。

豊作

でもね、嘘と誤魔化しとイカサマで事実を巧みにすり替え、どうでもいい事象に目を逸らし隠蔽しまくることで多くの人が救われるのも紛れもない事実。マジョリティは今日は昨日と、明日は今日と同じ生活を送りたいと願っている。普遍的なまでに高められ、希求する「かけがいのない日常」をこれからもずっと続けていきたいと思っている。自分の生活の根底が崩れてしまうような事実なんて誰も知りたくない。

もし、事実を洗い浚い告知したら、法に基づいて国や自治体には責務が発生してしまう。国民の健康を守るために膨大な住民の移住や賠償はもちろん、食品の安全確保やヘマの責任追求や再発防止、利権構造の解体や破壊された経済と国土の回復といった、誰が考えたって国力と社会・技術の限界を遥かに超えた手に負えない責務だ。除染なんて二次被害が拡大するだけだし、過疎地に過疎地を再興するような余裕もないし、ノーメンクラトゥーラたちの「無理無理。お手上げ~だから。ごめんちゃい。後は任せた」と逃げたくてウズウズしてるのは腰の引けっぷりを見ればわかるでしょ? 打つ手なしは正確な情報を握り締めている彼等がいちばん良く知っている。そんな事実が知れ渡れば即死。確かに遍路でもしながら祈るしかないわな。一方で現世への飽くなき未練を断ち切れず、ツレナイ神に悪態を吐きながらも希望的観測にすがり、最悪緩慢な自殺に至るとしても、時間を稼いで逃げられるものは逃げようという儚い可能性に賭けたともいえる。

朝ボケ

だから、誰もが薄々知っていても、対処の術がない故に、それは隠蔽されなければならない。すべてを曖昧にぼかし、グダグダだろうと無能・人非人と罵られようと、大丈夫安全安心がんばれ復興と唱え続け、手持ち金と権力を総動員して、ひたすらマスコミに夢の続きを報じてもらうしかない。救えないのだから、初めから救う対象にしなければよい。その場凌ぎのグッド・アイデア。一部の先鋭的なマイノリティだって、事実が明らかになったら政府の政策をこき下ろしボコボコに叩いて正義面してるだけじゃ済まなくなる。自分を投げ出してまで助けることができるのか、助けることを拒絶して閉じこもるのか、ケツを捲くってやっぱりひたすら逃げるのかの選択を迫られる。しんどいだろ? メンツ丸潰れだろ? だから後で「あのときこう警告したはず」ぐらいは言える程度に手加減して叩く。永続的日常を日々体現しているプライドだけは高いサイレント・マジョリティの邪魔をするもんじゃない。お茶のペット片手にコンビニ弁当並べて食ってる仲良しコーコーセー・カップルや幼い子供に秋刀魚や乳製品食わせてる若い親を見ていると微笑ましいもんなぁ。全ての人を救えないのだから、今必要なのは風評被害を奏でるハーメルンの笛吹きだ。やれやれ。

そう考えれば建前ばかり振りかざし、偽善者ばっかりの日常だってそう捨てたもんじゃないでしょ? 有能なハーメルンの笛吹きのおかげで、本当の安全と安心がそれほど苦労なく買えるのだから。連発された「tadachini」という言葉は法律用語でもあって、時間経過を指す言葉としては最も短い期間を指す。語尾を否定表現にすることで曖昧さが増すんだが、彼が言いたくても言えなかったことを汲み取ってやるべきだろう? 私たちはこの隠蔽という名のぬるま湯でいつまで夢を見続けられるのだろう? いつか、そう遠くない将来、夢破れるときが必ず来るだろうが、今は取り敢えず、束の間の先送りに乾杯!

■ ゴーヤ・チャンプルー

ゴーヤ

6月頃に食うために買った実から採った種を植えたらけっこう生った。品種不明。成育速く手間いらず。放置気味でもきちんと実は成る。大きくても15cmくらいで黄変。F1かな? オレンジになると爆裂するので早めの収穫が肝要。9月末の直撃台風が巻き上げた海水の塩分で壊滅。それでも30個くらいは獲れたかな。うんざりするくらい。

ゴーヤx2

種を抜き薄く刻む。塩を振ってアク抜き。水洗後水気を切る。黄色い実はあまり苦くないのでそのままでも可。島豆腐、無ければ木綿豆腐をカットして軽く塩茹。胡麻油で豚肉を炒め、ゴーヤを高温で一気に火を通す。昆布出汁、醤油、酒で調味。湯切りした豆腐を戻し軽く鍋を煽る。溶き卵を流し蓋。削り節を振って完成。

チャンプル

肉は半年前なら見向きもしなかったようなものがいくらでも手に入るけど、卵が困るのね。液卵を小分けにしたら売れまっせ? 商社さん。近くに一軒だけ青森の三沢のものを扱うところがあって、小さいのだけどよく買っている。産地はパッケージに記載という最近よくあるやつで、日によって盛岡のものが入っていることもある。老人対策のせいか、表示のシートがわざとらしく小さくて、印字された字が小さくてよく見えないんだわ。照明暗くしてるしさぁ。オレが目を凝らしていると、一緒になって目を凝らしている人がいて笑える。鶏は配合飼料だから大丈夫という声があることも知っているが、国内では輸入飼料に飼料米や米糠、魚粉等を混ぜて独自性を打ち出すのが普通であることぐらいも知っているから悩ましい。

◇ チーズ・パスタ

何故か絶賛大好評のカルボナーラ。何故これほど多くの人がイタリア風の食事を好むのかは全く理解出来ない現象の一つ。パンチェッタを食い尽くしたので、同じプリンチペのコッパを使ったチーズ麺。麺は生のフェットチーネ。チーズはパルミジャーノ・レッジャーノのみ。卵2個。黒胡椒はけっこう使うので安価なインド系直輸入品かSBの業務用100g袋を使っている。

カルボナーラ

「福島の再生なくして日本の再生はありえない」と新しい為政者がこれまた情緒的に語ったらしいが、学校施設や公共施設といったピン・ポイントはともかく、阿武隈山系、南奥羽山系、南三陸沿岸、群馬の水源林や新潟魚沼や下越、北信東部の盆地や東斜面、宮城山形県境、岩手南部盆地から伊豆半島東斜面に至るまでの、地面の殆どが森林に覆われた山岳地帯で、重機の入れない斜面や谷に大量に降り積もったRIを取り除き回収することは、どう足掻いても物理的に不可能だし、それ以上に何よりも効果が見込めない。前任者が多分何をやっても無駄と見切った故の不作為を、ヨイショされてすべてひっくり返した数値が読めない典型的な文系さんの建前だけがまた独り歩きするのか。車の洗車と勘違いしてないか? 除染(厳密には移染)なんて、竹槍で高度1万メートルを遊弋するB29を落とすといったかつてのプロパガンダと同じ失笑もの。ジリ貧マフィアが新たな利権を築きたいだけ。どんなに身近を除染したところで、いずれ高所に降り積もったRIは棲息する生物相を破壊しながら、雪解け水として土と共に低きに流れていく。数年後には地中浸透したRIが地下水の流れと共に思いがけない場所に湧出することだろう。酒が飲めないじゃ済まなくて、水はすべての生物の命の源だ。水道に出ないのは浄水場で今まで以上に消毒用Clぶっこんでるからね。Csはアルカリ金属だからClと簡単に化合して塩になって沈殿濾過されているはず。

群馬や栃木の杉に降り積もったRIがどの程度花粉に凝縮されるかは知らないが、実や胚芽への濃縮具合を鑑みれば葉から吸収されたRIが生殖細胞としての花粉に蓄積されることは不思議ではない。北風に乗って襲来する来春の針葉樹花粉はさぞかし興味深いものになろう。Ig抗体をフル生産して勝手に対抗しちゃう身体を持つ身としては眼鏡にマスク・外に出ない外敵防御対応の上で、くしゃみ鼻水涙目という異物排泄機能がフル稼働するが、反応しない人はそこに花粉があることを知覚できない。RIを豊穣に含んだ花粉は身体に付着し体内に吸い込まれ、人の寿命を遥かに超えて、高エネルギー電磁波と電子とヘリウム原子核を盲撃ちするのだ。毎秒数兆個くらい(笑)。山の木をすべて切り倒し、落ち葉や表土を剥ぎ取る日まで。この先ずっと。数百年。対処する方法はないんだな、これが。為し得る唯一の手段は「逃げる」だけ。うへぇ。これほど来春が待ち遠しく思ったことはない。

福耳

緑福耳

今年は糸唐辛子以外にも品種を増やしてみた。魚香茄子に使う唐辛子の漬物を自作しようと思って作ったのだが、こりゃ違うな。ピーマンのように肉厚で、辛さは唐辛子並。青椒肉絲にすれば丁度よさそう。生だと微妙に甘味があって齧れるが、焼いたり煮ると辛いわ。二週間ほどで真っ赤になるが、赤いとどう足掻いても辛い。昔、東南アジア料理店で食った唐辛子炒めの再現だわ。

赤福耳

唐辛子類は虫が付きにくいし、放置気味でもよく生る上、買うと少量でも結構なお値段なので重宝する。必要なだけ穫りたいときに穫れるのが至便。11月まで収穫可能だが、質は落ちていく。このあたりの気温で冬は越せないらしいが、温室に入れておけば春から再起し実生りが早いと聞いたので、今冬は茎と根っこ残してみよう。


2011/10/05 作成__2011/10/05 最終更新