今日はポカポカ


霜が数日続いて降りたせいで地植えのアボカドが瀕死。小さな株にはビニル天蓋を作ってやったが、1m超えの大きな株は処置不能。でかい上葉に隠れた下端は生きているのでガンバレ。春はもうすぐそこにある。メジロのつがいが梅の木でいちゃついている。寒鰤が旨いのは当たり前だが、冬といえばやはり河豚。熱々のひれ酒を筆頭に皮の煮凝りに身は紅葉おろし、葱、ポン酢で。もちろん真打は白子だろう。人それぞれだが、生白子に一滴、煮切りだけを落として食うのが気に入っている。表現し難い滋味と、圧倒的なまでの透明感こそが至高といえようか。場所柄、A級品は滅多に食えないが、満足である。

真冬の冷酒はさすがにキツイので、燗酒が恋しいものだが、まぁ、河豚のヒレじゃなくてカワハギのヒレでもヒラメのヒレでもよいらしいので、今度自分でやってみよう。キスの骨酒もできるよと言われ、せっかくだからそれを貰う。干した中骨やヒレを軽く炙って、土瓶で高め(70℃前後:C2H5OHの気化直前)に熱燗した酒を注いだもの。ほんのり琥珀色に染まった色合いと独特の苦香味がまったりというかほっとというか。頃合いを見計らって、最初は鮪。黒の酸味や目鉢の濃さとは異なる独特の爽やかさを湛えた黄肌。生だからすっきりと恐ろしくなめらかな旨みが口に含んだ途端広がる。赤身は肌理の細かいむっちりっとした舌触り。味は中庸でさっぱり。中トロはなめらかに、スムーズに溶けていく。目鉢や黒鮪がメインの近在では鮨になることは少ないが、ムチムチの黒鮪とは違った爽やかさは侮れない。

◇ ブリ照り焼き(笑)

かけがいのない甘ったるさのせいで、酒の肴にもならないし、飯のおかずにもならない和食の迷品。季節を問わず水揚げがあってモノが良ければ刺身や鮨でいくらでも食えるから、敢えて自分で作ってまでは食べたくないと思うせいもあるだろう。調子にのって、うっかり一尾買ってしまうと多過ぎて処置に困り果てる。

漬け汁を準備する。酒+味醂1.5に濃口醤油0.5の割合。照りを出すなら味醂多め、オレはもちろん酒多め。素人調理なんだから酒も味醂もそのまま飲んでおいしいモノを使うのは当然にして蓋然。ブリは常温にして両面に塩を軽く振り、15分ほど置く。水分を出し臭みを抜く。表面に浮き出た水分はペーパーなどで拭き取って、漬け汁に20分漬ける。汁気をよく切って、網焼き、串焼きならそのまま、フライパンなら小麦粉を薄く振る。フライパンにはブリの脂を見て胡麻油少々を引く。網焼きは強火の遠火で、フライパンは油から煙が上がったら一旦冷まし170℃見当でブリ表面を焼く。網焼きは漬け汁を適宜刷毛で塗る。

ブリ照り焼き

天然ブリは一般的に脂のりが薄いので、コテコテになるまで焼き過ぎると身がパサパサになる。両面焼いたら蓋をして、漬け汁で蒸すような具合で丁度よい。付け合せは甘酢生姜と大根おろしかな? 粒山椒の醤油煮もいいか。

◇ 悪食の果て

念願のなか卯で親子丼

隣町の隣町まで徒歩30分のなか卯。ついでと腹具合とそのときの嗜好が一致しないとなかなか機会がないので、行こう行こうと思いつつ早3年。外食も中食も嗜好が極まってしまうと極端に巾が狭くなり、行くところが限定されてしまうが、それはそれで自ずと味覚の幅を狭め、新鮮な感覚を喪うことに直結することになりかねない。かといって、在のせいか中途半端な店ばかりが軒を並べ、もう一度ぜひ味わいたいという味にお目にかかれることも稀で、虚しさばかりが募るというもの。

カウンター6+5、せせこましい4人掛けテーブル3程度収容のマイナー駅前小規模店。店員はお姉さん一人で切り回す。タッチタイプの自動ドアを入ると左側に食券の自販機1台。メニューは15行6列ほどと多岐に渡り、ボタンを探すのが非常に面倒。マゴマゴとまごつく。店内と持ち帰りボタンまであるがいつ押すんだよ? 最初だから、最も標準的で特徴的と思われる、親子丼と小うんどんのセットに鶏唐揚げを合わせてみた。金払ってうんどん食うのはたぶん2年ぶりくらい。この手の素唐揚げを外食するのは、生まれて初めて(中食は経験有り)。ビールは超乾350ml缶だったので買わなかった。食券で前払いでビールを買うのはかなり違和感があるものだ。その自販機で券を買うと厨房で合成音声がメニュー名を告げるあたりが新機軸か。現金のみ、カード類一切不可には驚いた。ゼンショーの連結子会社だからチケット使えるはずだが、自販機相手にどうすりゃいいんだ?

昼1時半頃。先客1名。店内は黒基調のインテリア。L型のカウンターに座るとすぐに湯呑みでお茶が出て、食券を半裁、内容確認が行われる。お茶は薄い、色水相当。卓には醤油、七味唐辛子、紅生姜、プラ箸ケースが並ぶ。待ち時間6~7分で黒塗りのプラ・トレーに親子丼左、うどん右として提供される。丼は蓋なし、食器は陶器製。同じゼンショー系列のすき家とほぼ同等と思われる野菜屑レベルの漬物付。小うどんは“ハイカラうどん”と呼ばれるらしいが、揚げ玉(大きさや質は“天カス”)が載ったいわゆるタネヌキうんどん。つゆの色は特徴的な関西風のもの。具は極薄の蒲鉾1枚。薬味は直径が大きめの青ネギ。まずはうどん。太くもなく細くもなく、コシはホドホド、噛み切るほど固くはないというか、むしろ柔らかめ。旧加ト吉・現JTあたりによく似た典型的な冷凍麺だろう。粘る食感は澱粉かタピオカを混ぜた感触。つゆの出汁は昆布だけでなく、鰹? も加わった合せ旨味調味料で、見た目のあっさり感をひっくり返すほどけっこう強烈。グルタミン酸とイノシン酸で強引に帳尻を合わせたような不自然さが拭えない現代食品化学の味。更に、多糖類や塩分濃度もかなり高く、うどんを食い終わった後、揚げ玉が大量に残ったつゆを飲むのはかなり辛い。喉カラカラ。普通量のうどんにしないでよかった。減塩には興味も信仰もないが、このうどんつゆの突き抜けたアミノ酸風味と塩辛さ(工場配合だから店員の采配ではないはず)は何とかならんのか? 色味に騙されると、とんでもない目に遭う。

唐揚げは小皿に4cm弱の小振りな塊3個とキャベツの一口サラダが付く。取り敢えず、そのまま食べてみた。塩分をそれなりに感じるので後掛け調味料は要らないだろう。ただし、醤油が焦げた香ばしさや風味は皆無。下味の調味液だろうか? 微妙な甘さが残る。大蒜、胡椒、八角等のスパイス類はほぼ皆無だろう。衣は厚くもなく薄くもなく。冷めてはいないが熱くもない、殻と中心部の温度が均一という自作では有り得ない状態を考えると、これも典型的な冷凍唐揚げだろう。揚げ油? はサラダ・オイル系統。カラッとして脂っこくないが白に近い揚げ加減で香ばしさが皆無。これは、油を入れた一般的なフライヤーで揚げたものだろうか? 店内で生肉に衣を着けているわけはないだろうが、揚げたてなら外側が冷め始めても芯には猛烈な熱が残っているもの。食感はフライド・チキン、或いはチキンナゲットに近いような軽さを感ずる。まぁ、販売手法やターゲットを考えれば理に適っているといえようか。衣も片栗粉だけではなくサクサクに仕上げるための添加剤が用いられていると思われる。鶏肉は脂身の多いブロイラー・モモ肉だろうが、これも何らかの処理が施されており、筋皆無、非常に柔らかく癖がない。癖もないけど味もない。旨くもないが文句をつける人も極小、という最近よくあるフラットな味わいがドンピシャで決まっている。あっぱれ。添付キャベツに掛けられた暗褐色のドレッシングは醤油系だが甘すぎ+安っぽすぎ。

さて、肝心(鬼門)の親子丼。明治中期、現在も続く日本橋人形町の某老舗で開発された出前飯で、戦後の何でもかんでも載せてしまえ的悪習丼モノの原型と云える。個人的に好みを分かつ部分があり、親子丼を外食することは基本的にないのだが、それが売りらしいので身構えつつも敢えて挑む、というほどでもなく、けっこうテキトー。玉子の見た目は若干生っぽいが、タラタラ下品に流れるほどではなく許容範囲。玉子は割り下を含ませながらふんわりと固めるものであって、半熟ならOKというのは愚の骨頂、あるいはド素人。親子鍋で店内調理されており、火の通り具合や出来上がりの見映えはなかなかよい。箸で手を付けるが、汁気が多く食いにくい。というか食えない。面倒になって、ああ、さよけ~と、添付されている赤いプラ・スプーンを利用した。卵はサーモン等にも用いられるアスタキサンチン(C40H52O4)配合飼料で飼育されたレイヤー卵だろう。玉子全体の黄味が濃く、量も多く(2個分?)三葉が映えて彩りがよい。玉子単体の味も一般市販品より濃く感じた。ただ、黄身と白身の混ぜ具合が均一過ぎ。液卵を使っているとは思わないが、調理時に溶いているなら、ざっくりした感じに見せるのが卵綴じの作法だ。玉子は柔らかく、若干甘めの優しい味付け。少なめの長葱(≠玉葱)に比して鶏肉の割合は非常に多い。鶏肉は脂の付いたモモ肉で、唐揚げと同じく非常に柔らかい。歯応えもないが鶏臭さもない。これはちょっと経験がないソフト鶏肉だ。煮る前に蒸し工程を入れるか、機械的に水分を加圧注入しているのだろうか? いずれにしても提供時間からみて、加熱調理済みの冷凍肉を温めているだけと思われる。白飯は若干固めの炊き加減で、汁気が多いせいもあって上手く瑕疵が隠れている。この手の店ではおいしい部類だろう。調味の役割をなす割り下は合せ出汁、味醂・酒は匂わず、旨味調味料の“コク”だけが突出する。おまけに底に到達するほど量が多く品がない。出汁の香りもほぼ皆無。玉子臭の前に沈黙する。一方、味付けは多糖類多過ぎ、醤油味も非常に強く、辛いって。なんという濃厚さ。ビールがないとあっという間にお茶がなくなる。空いた皿に、せっかくだから試しに取った紅生姜は赤がどぎついが、すき家のものよりは上質だろう。

この親子丼、単品だと490円で牛丼類の倍額近いが、老舗レベルからすれば1/3程度。並でも分量が多く、玉葱で誤魔化さず価格内容比はなかなか良い。くどいつゆを出汁と酒で伸ばし、癖がなさすぎる鶏肉の質感を工夫し、箸で食える程度に汁気をなくし、まともな漬物2、3種を添えれば、けっこう上品に化けると思うが、はっきりした味を好みそうな客層の嗜好範囲からは外れるか? 歴史的経緯を鑑みても、濃い味の食い物を(スプーンで)ガーっと掻き込むのが丼モノの標準的な作法と認識し直すべきなのだろう。40分ほどゆっくりしている間に5組ほど客が入れ替わったが、出ているモノは牛丼やカレー、カツ丼が多いようだ。24時間禁煙のせいもあって客回転はすこぶる良い。よく訓練されたイントネーションで話す中国人店員の対応は簡潔で合理的。昨今の平均的な日本人よりも常識が通じて、使える部類。おお、ナマモノを食わない中国人だから卵を固めにしてくれたのかもしれないな。今後はバイトも眺めてメニューを判断しよう。

「♪なか卯で御飯を食べ~よ~~,なか卯っ♪ 」の歌は滑稽だが、無音よりはよい。一覧が不可能なため全体のメニュー構成がさっぱりわからんが、「△△そば定食」「〇〇うどん定食」というのにココロ惹かれた。蕎麦やうどん? をオカズ? に白飯? 食うのか??? 食うんだろうな? 他に漬物しかオカズないし。それって…世の中的には普通なのでせうか? 時勢や世情とは切れてしまっているので判断基軸がないのね。一瞬、目が点になったが、ピコーン! と閃く。だから塩辛いのか! うどんはオカズなわけか! フムフム納得。味と価格帯は丼ファストフードの底辺競争からは頭一つ抜けている一方で、駐車場なしの駅前店舗で効率的な客単価向上が期待できる酒が貧弱なのは至極残念だし、食中オーダー追加を拒絶し、客層の不可逆劣化を招く自販機前払いオーダー制というあたりのチグハグ感は拭えない。

次はいつ行けるかな? と近くの普段あまり走らない道をほけ~と走っていたら、駐車場付きの店がもっと至近にあった。灯台下暗し。2月以降、卵の量が1.5倍(??)になったらしいので、鬼門っぷりを試しに、再度試食に行ってみよう。

◇ 君よ知るや南の国

赤葡萄酒煮

適当に切ったバラ塊をメルロ(Merlot)に漬けて10日ほど忘れていたもの。やばいか? と思ったら、パープルに染まった牛肉は香りも芳しく芳醇なメルロに染まる。水分を吸った肉は柔らかくて生でも食えそう。塩・胡椒・小麦粉を振ったらオリーブ油で6面を焦がす。ヘットで炒めた玉葱・人参・セロリ・パセリ茎と赤葡萄酒を合わせ煮切った鍋に焦がした肉をヒタヒタに漬ける。適当に好みのハーブ・スパイス類を添加し、弱火で沸騰冷却を繰り返し2時間。トマト缶の身を合せ1時間。以降、数日に渡って一日2回沸騰・冷却を繰り返す。水分が減ったら赤葡萄酒を足す。野菜が煮崩れたら肉を取り出しスープを漉す。新たに軽く炒めた人参とズッキーニ、バターで炒めた恐ろしく形が良い業務用缶詰マッシュルーム水煮を合せ、肉を戻す。1時間ほど加熱冷却を繰り返し、塩・胡椒で味を整える。器に盛って再生クレソンや茹でたインゲンを散らす。

赤葡萄酒煮2

付け合せはドバドバのラムに漬け込んだバナナとセロリ・パセリのヨーグルト和え。塩・胡椒に加え黒蜜(100%黒砂糖を溶かして冷やしたモノ)で調味。口内で蕩ける塊肉と甘ったるくないスープの妙を愉しむ。バゲットは出来合い。

乳サラダ

◇ 私が好きなローカル拉麺@在

私にとっての拉麺は場末の和風中華店などで縦書きプラスチック・メニューの最初に鎮座するスタンダードにして“素”、具に乏しく、価格の最も安い「小腹を満たす蕎麦やうどんの代替品」であり、瓶ビールの友にして摘みであって、強烈なアミノ酸と脂、塩分で1食の主食となりうる位置付けにある専門店のそれを指しているわけではない。だから、どんなに気張っても、外食店で500円を越す拉麺を食べることはないし、5食入り168円の“どこの紛いもんだよ乾麺”や、AEONの88円カップ麺は食う(68円はちょっと無理)が、安売りでも128円にしかならない食品メーカー製のカップヌードルを食うことはないのである。

私の拉麺の原風景といえば、やはり鶏ガラ(+貝柱)出汁の醤油味や塩味で、和風中華コース料理の最後に米代わりに出る白麺や翡翠麺を使った小杯麺のような薄色で薄味のモノを思い浮かべる。時代と共に野菜などの出汁が加わり、調味も醤油色が濃いものに変わっていき、ガラから出た微小な油分が小さな玉になって表面に浮く程度のものあたりが限界か。食べ終わったときのなんとも言えない物足りなさが、懐かしい記憶。もう一杯、食いたいのに食えない、貧しさと侘しさが入り混じった光景を花柄ビニールやデコラ張りの安っぽいテーブルとともに思い返す。

麺は極めて種類に乏しく、概ね正方形断面のかんすい入り中細縮れ麺で、中華蕎麦・支那蕎麦という呼称だった。ちなみにオリジナルは手で伸ばした素麺みたいな白い細うどんであり、かんすい入りの黄色麺は満州・モンゴル国境付近のアルカリ水地帯が出自と云われる。

具材も変遷を重ね、今は昔。叉焼は中国の叉焼ではなく、当時既に焼いていない煮豚だったと記憶する。ただし、現在の脂ぎったバラ肉やロースではなく、脂身のほとんどない腿肉を煮て、煮切り醤油に漬け込んだもの。かつては脂が白く残った肉を料理に使うことは少なかったし、肉の脂身自体、成人の一般人が食べるものではなかった。中華料理のバラ肉には脂が付いているが、あちらの場合は調理過程の工夫で油脂分を丁寧に落とし、タンパク質を変性させているので見た目と食感は一致しないことが多い。

メンマ

当時の支那竹(メンマ)は台湾産だった。今は100%大陸産。湯掻くか胡麻油で炒めた物を甘辛く味付けしたもの。水煮や味付け1kg品を買うこともあるが、歯応えや塩分を自分で調節できる塩蔵品が好みである。卵はお子ちゃまじゃないので、なきゃないでかまわない。強いていえば彩りだろうが、あったとしても最近よく見掛ける味付玉子でも半熟でもない普通の茹で卵半割。一時は黄色繋がりで缶詰コーンなどが多用されたこともあったが、安価な輸入品が激減してからはめっきり見かけなくなった。緑はほうれん草一択。夏場はどうしていたのか記憶にないが、夏にラーメンを食うことはないから無問題。中央には斜め薄切りの人工着色ナルト1枚。器の縁の中華久遠渦巻き模様と呼応したアイテム具材だと思ったが、今となっては甚だ不詳。海苔やワカメといった具材は和風出汁との相性であり、鶏ガラスープに合うわけがない。薬味は葱みじん切り。胡椒は本来粉挽きの白胡椒だが、間違えて黒胡椒のときもある。

スープの出汁は鶏ガラ。自作にあたって面倒なのはやはり出汁を引くことである。鶏ガラ顆粒や粉出汁もいくらでも出回っているが、けっこう高価ではある。¥1000~1500/kgくらい。一方、自然だが世間的なコクには乏しい生の鶏ガラは入手性も良く、スーパーの棚の端に置かれた150円くらいのもので全く問題ない。手羽中や手羽元の残った骨でもかまわない。必要なのは骨髄液である。一旦煮沸し血合いや肉を取り、よく洗ったものを手で割る。澄んだスープを取るために決して煮立たせない。時間は30分~1時間ほど。灰汁はきっちり取る。必ず漉す。野菜は生姜と長葱。シンプルなほうが味を組立てやすい。出汁ガラには肉が付着しており、ほじって食うと酒の摘みになる。調味料は濃口醤油。丸大豆本醸造ならばOK。高価なものは似合わない。

醤油拉麺1

作り方

1:温めた器に醤油、叉焼漬け汁、塩(顆粒出汁の場合は不要)を合わせる
2:具材は下処理後大きさを揃え、軽く湯掻くなど温度を上げておく
3:出汁は沸騰直前の温度をキープ
4:別鍋で麺を茹で、茹だったら網で湯切り
5:器の調味料を出汁で割り、茹だった麺を盛る
6:軽く攪拌し、具を盛る
7:葱と胡椒を振る

蕎麦やうどんに拘っても仕方がないように、拉麺は所詮、拉麺である。拉麺の調理に難しさはない。テクも知識も職人技も必要ない。必要なのは出来上がりのタイミングを合わせること。もちろん、自分の嗜好とそれに合致した手法を考察する必要はあろうが、それはすべての行為に付随する身嗜みのようなものだ。

醤油拉麺2

経験的嗜好

1:昆布や煮干等和風の出汁を混入しない鶏ガラ出汁で、スープが澄んだ醤油味で全部飲める味付け
2:直径数mm以上の脂が浮いていない
3:多加水太麺でない=中細縮れ麺 卵麺ではなくふつうのかんすい麺
4:叉焼が腿肉等の赤身肉ブロック切り出し5mm厚:漬け汁は和風なら煮切り醤油に生姜、中華風なら老抽王に老酒、塩、生姜、八角、肉桂、茴香、他
5:支那竹、ほうれん草、ナルト、葱は必須:大蒜は使わない

“昔ながらのラーメン”とラベリングされていても、作っている人間が実際に食べた経験を持っていないということが、納得のいくものに出会えない最大の理由だろう。残念ながら、過去の郷愁を標榜する現在の“昔ながらの醤油ラーメン”は現在の人向けに現在の人が作ったものに過ぎないわけで、売るためには現代の嗜好に合わせなければならないのは自明である。商売だから、売れなきゃ存在意義がない。良いモノが売れるのではなく、売れるものが良いモノ。割りとどうでもいい話だけど。


2011/02/04 作成__2011/02/06 最終更新