今日も快晴


雲一つない快晴が続く。やっと正月が終わったか。1年で最も食い物がおいしくない時期であると毎年思うが、今年は輪を掛けて酷かった。年末、鮨屋に行ってもなんにもない。西も北も大風大雪大嵐で市場に魚がなんにもない。年に一度の稼ぎどきなのに、売るものがないんじゃ仕方ないわな。飲み食いするぐらいしか生きていても愉しいことはないし、これといった面白い話題もないので、相変わらず下手の横好き的食いモノの羅列。作っているうちに、徐々にまともになってきていると自分では信じているのだが、もっとおいしいモノが作れるようになりたいものだ。

◇ つみれ汁

つみれ汁

やはり由緒正しい庶民の和食から。賞味期限どころか消費期限が切れた冷凍イワシつみれの払い下げを受けたので、たまにはつみれ汁。昆布(利尻がなければ羅臼、それもなければ日高)で丁寧に出汁を取り、銀杏切りした人参、蕪(大根があればそのほうがいいか)を茹でる。灰汁は掬う。解凍したつみれは葱・生姜みじん切りと塩を併せてきっちり練っておく。ツナギ不要。野菜に火が通ったら、左手でつみれを直径4cmほどに丸め、鍋に落とす。塩で味を整える。つみれ団子が浮けば出来上がり。器に盛って葱と柚子を散らす。真冬の昼飯になかなか良い。

◇ アンテナ異聞

在の生活は厳しく貧しい。豆のネット張り、小松菜の植付け、チューリップの穴掘りやらクレソンの養生と日々作業が目白押しである。そんな最中に老人がTV欲しいなどと抜かすので仕事が増えたじゃないか。インターネッツを眺め1時間ほど最近の時勢・世情について学ぶ。ふむふむ。UHFの電波帯を拾えればよいらしいが、UHFアンテナなんてもちろん付いてない。オレのじゃないし~と、酒の肴にポチポチしてカード番号を打ち込む。置き場所との兼ね合いとCPを考えると37インチが限界だが、日本のTVは高いな。世界標準価格の2倍くらいするぞ。残念ながら放送規格が意味深く暗号化されており輸入品は使えない仕様になっているので、東京芝浦電気御謹製テレヴィジョン受像機を調達。アマゾンでいちばん上に出てきた爆安37Z1という型番。録画用2TB・外付HDDも買っとけ。既存はビル陰共同アンテナからのアナログ受信・同軸配線だが、ブースターや6分配している屋内配線は今がいけているのだから一応いける筈、と細かいことは忘却。しかし、SONYが“BRAVIA”で東芝が“REGZA”でSHARPが“AQUOS”にパナが“VIERA”って、なんなんだろう? 横文字はいろんなフォントが出回ってデザインがしやすいのは認めるが、自動車や建売住宅の小っ恥ずかしい横文字名前と同様に、まるでしみったれたステイタスを周知させるが如く、相変わらず語感だけの無意味な造語が溢れているんだな。

日本電波塔まで遠いせいか、近在の多くの家屋には二階屋根の上に数メートルのポールを立て、長さ2m近い多素子の超豪華なアンテナが御鎮座なさっている。あそこまでやると工事費7~10万コースだろうが、ポチっとして届いたばかりのチャチな作りが極まるブランドだけ国産組み立てアンテナを眺め、あまりの軽さに驚く。長さ40cm。重量300g。これは楽ちん。腰に優しいアンテナだな。偉いぞ、バッファロー(だったかな?)。

アンテナの取り付け想定位置を考えると、取り敢えず一階の屋上まで5C-HFL(75Ω同軸)を伸ばして防雨BOX止めにしておいた使いもしないBS・CS用ケーブルがちょいと短い。しかたがないのでホムセンでいちばんまっとうそうな5C-FBケーブルを切り売りで2m確保。¥160/m。ボッタ。3000円もしやがったチンケなアンテナは4Cケーブルの使用が前提になっているが、なんとかなるだろ。端部にF型接栓をくっつけて、BOX内で中継金物で既存線に緊結。うぉりゃと気合を入れて4C用の給電部に強引に5Cを挿入しアンテナを組み立て、取付金物を蝶ネジで留めるだけと簡便至極。酩酊してても正味1時間。向きはテキトーでいいだろ。2m位の銅線一本でも拾えそうだもの。

アンテナ

TVに表示遅延を引き起こす天下り利権でウハウハ笑いが止まらねえぜカードを挿し込んだら選局サーチで初期設定。ム……。無い。今日はTVが休みの日みたいだから、またにしようと提案するが、そういう事はないらしい。さよですかぁ…と気を取り直し、アンテナに原因があるか、ブースターあたり? と取り敢えず外に出ないで済むブースターの入力設定を弄る。BS線をUVに混合にしたら拾った。OK、OK。そうそう、アンテナはBS線の先端に付いているんだった。気付けにもう一杯。おお、デジタルは綺麗に入る。が、今度は別のアナログTVにノイズが乗って見れたもんじゃない。見なければ良いのでは? と提案するが却下。ブースターを眺め直し、閃く。UVを分離してみるといいじゃないか。U帯はデジタル、V帯はアナログだわな。偉いぞ、マスプロ。線は一本だがアナログもデジタルも綺麗に流れる。利得とかは知らん。綺麗に映ればすべてOK。

TV裏面のUSBジャックに差し込むだけで2TB・外付HDDもあっさり使用可。勝手にフォーマットもしてくれる。180時間ほど録画できるようだな。USBだからタコ足にして台数追加していけるのも楽で良いか。リモコンでチョチョイと試し録画。こりゃいいわ。ワンタッチで番組表を映しだして、録画予約ができる。お手軽なこと。クソ馬鹿高いレコーダを買って、いちいち説明しないでも老人にも使える。フォーマットが異様に早いんだが、独自フォーマットかな? こりゃPCに繋いでもデータ抜けそうにないな。抜く中身があるか否かは別として。音声はopt線で繋いだ既存の5.1chアンプで増幅して外部スピーカだが、TV本体内蔵も悪くはないな。作られた音だが、TVとは思えないほど音が良い。

◇ NAS

1万円で買えるUSB・2TB外付HDDやeSATA接続の外付HDDに激しく心動かされるもNAS。ネットワーク・アクセスド・ストレイジでいいのかな? 1Gイーサネットで繋ぐHDDx2。税務対策上経費が少ないので久々に設備投資。¥1200のロジクール製無線マウスじゃしょうがないので、1TBx2付仕様のNASをポチ。生産終了品なので格安だがHDDを¥7500割れしている2TBx2のHDDに差し替え。RAID1で冗長性を確保して、ついでに550VAの電池も買って7分間バックアップしてみた。ボリュームの同期に8時間ぐらい掛かったが、ま、いいんでないの? ホットスワップだし。清掃を兼ねて519日ぶりに激安¥14800サーバを再起動。このサーバ、今見たら仕様が最新式に一新されて¥11800になっている。おとと。NASより安いじゃないか。先走ったか? NASのOSはJavaベースでもっさりトロいがUnixからNFSで使えるのが必定なので仕方がない。作りはコンパクトでとても良い。余った1TBx2は¥150のSATAケーブルで手狭になってきた常用機とサーバに繋ぐ。LANポートが足りないので根っこの8ポートハブの下に5ポートをカスケード。うむうむ、かつては安物買いの銭失いに泣かされたものだが、昨今のハードウェアは嘘みたいな値段でも堅調、堅調。

◇ 焼き物

やきとり

冬だから焼き物。外食や中食で津々浦々まで遍く浸透し、恐らく食べたことがない一般人は存在しないだろうと思われる、肉の価格を超越したブラジル産冷凍若鶏や東南アジア製半既製品をわざわざ買って来るのも興趣に欠けるが、地鶏云々のおいしい焼き鳥を食べたことがないので、正直どうでも良い。一応、国産の〇〇鶏と名前が付いているようだが、若鶏(若い鶏じゃなくてヒヨコ買ってきて餌に漬けておくと3ヶ月で成鳥になってしまう鶏のほうね)の餌をちょっと変えたてみただけでブランドを気取ったつもりになっている、失笑で唇の端が歪んじゃう鶏の一種だろう。皮を剥がしたもも肉を適当に切って、ぶつ切りにした白葱と交互に竹櫛に刺していくだけ。皮は皮でまとめて刺す。レバーやせせりもあればいいのだが、材料は概ねいつも間に合わせ。塩・胡椒を振ったら焼くだけ、という料理というよりは原始的な食いモノ。

焼鰻

鶏だけじゃ芸がないので焼鰻。活鰻は高いし、捌けないから3櫛1000円の蒲焼廉価品。貧困が染みるな。捌きたて、蒸したて、焼きたての3たてを基本原則とする鰻料理のどれ一つも満足できない辺り、殊更哀れを誘う。気持ち悪い既製タレはお湯で洗い流し、水分をしっかり拭ったら、皮目を5分、身を3分ほど。脂がジュクジュクと湧けば出来上がり。皮は香ばしくパリパリ、身はふっくら蕩ける焼き加減が素人でもそれなりに再現できる。一串はそのまま、残りは固めに炊いたササニシキに載せ、さらさらの煮切り醤油を薄く掛けて食う。山椒は要らない。4Pぐらいのそこそこの脂のり。オレの舌には十分。ついでにシシャモや白鮭カマやズワイ甲羅も酒を振って焼いてしまえ。大洗産の朝鮮蛤は一個450円もしやがって、3分ぐらい見ていたが、結局手が出なかったので今回は無し。

シシャモ+甲羅

◇ 悪食の果て

『回高屋中華そばは買いだがや~』

内藤屋敷跡の最寄りは千駄ヶ谷だが回高屋があるかどうかは知らん。3ヶ月ぶりくらい。行く店は逍遥がてらの一店のみ。他のところは知らん。在所ゆえ、階段の昇り降り、EV等垂直移動を避けると昼時は近くに日本マクドナルドHDの鉄骨2層郊外型独立店舗とポポラマ(ポポマラーナだっけ?)、ココ壱、チェーン居酒屋x2、個人居酒屋x2、相当妙な洋食屋x2、変なラーメン専門店、ぐぬぬな焼きそば屋、民団系朝鮮料理x2、不可解タイ飯、近くにホモがないのにジリ貧のホカ弁、開かずの踏切向こう側は更に田園ですき家しか選択肢がないし、格安美容院のあんちゃんが托鉢僧のような死にそうな顔で格安の更に半額割引券配ってて酷く気分が落ち込むというもの。そりゃ、わずか50mほどの畦道の両側に軽く10店以上同業者が営業してたら死にたくなるよな。一方、回高屋は我が道をゆく。隣りに座ったオヤジがメニューを5分くらい眺めて、俯いたまま餃子と半ライス(のみ)と注文してるし、反対隣の品の良さそうな年金生活おばあちゃんは中華そばセットの麺だけ指して、これだけ頼んでもよろしいでしょうか? などと訊いてるし、勘弁してくれ。自分の5年後、10年後を見ているようで気が滅入る。味は値段なりのソコソコ。決して大それたグルメ味を目指さない常時60点主義がお気楽ということで禁煙時間帯にたまに利用しているが、スープが脂っこく濁った不透明で甘味が添加された濃厚ドロドロなものに明らかに変わっているじゃないか! 醤油と鶏がらの風味が皆無。代わって、豚骨に混じって以前はほとんど感じなかった煮干とさば節? のカスの生臭さがきつくて食えたもんじゃない。出汁を取っているんじゃなくて、何らかの添加粉出汁だろうが、ビールまで生臭くなる。これじゃあ「中華そば」じゃなくて、そこらの妙ちきりんな「創作和風ラーメン」じゃないの? 味の組み立てを変えるなら、メニューの名前変えるべきだろう? 塩辛さもアップして喉が乾いて仕方がない。ビールお代り戦略か? 他のメニューは見ただけで味に想像がつくし、タダ券は米に替えることにするのか? 店に出してる業務米ではあるまいな? いっそ、売りでっか? 鶏がら出汁のキリっと醤油が引き立つ透き通ったスープの至極普通の拉麺(細麺・具は丸くて生っぽくない叉焼、支那竹、ナルト、ほうれん草、刻み白葱の黄緑の部分)って、もはや自分で作るしかないんだな。やれやれ。

◇ パンチェッタ

パンチェッタ自家製+既製

まぁ、いろいろあるが、とにかく市販品は高い。国産は埒があかないので2.1kgの輸入品を購入すると同時に、バラ肉を買って自分でも作ってみた。700gほどのスーパーで売っている¥98/100gの国産豚バラ。そのままシチリア産結晶状海塩に2週間冷蔵庫で浸け込み。水分が抜けきって8割ほどに萎縮した肉の表面水分を丁寧に拭き取り、挽いた黒胡椒・カイエンペッパーをたっぷりと摺り込んで、鉤爪に引っ掛けて納屋に3週間ぶら下げておく……と書かれているが、うちに納屋はないな。仕方がないので脱水シートに包み冷蔵庫で10日ほど放置。拍子切りにして味見。言葉通りの塩漬肉だわ。量を使う場合は塩辛いので水抜きしたほうが良いか。カルボナーラくらいなら、そのままいけそう。

炒め中

パンチェッタをフライパンでカリカリに炒め、買ったばかりのしっとりと濡れたパルミジャーノ・レッジャーノ1.2kgの100gを摺り下ろし、卵黄1+全卵1、生タッリャテッレ150gで和え、黒胡椒をガリガリ挽く。う。鼻血出そうに濃厚なチーズ・パスタ:カルボナーラ。あまりの濃さに自分で作っておきながら食い切れなかった。病気になりそう。イタリア人が中年になるとブクブク太るのが如実に理解できる。麺は100gで十分だわ。

カルボナーラ

◇ 煮炊きご飯

ムラサキイガイ

バレンシア@エスパーニャでパエジャ、イタリア半島でパエッリャ、極東の島国ではパエリア。オレが作るのはモドキ。岸壁に削りにいけばいくらでも手に入るムラサキイガイ(俗称カラス貝:正確には別種)は、ムール貝と呼ぶとオシャレに聞こえるらしいが、寒いから店で購入。こんなモノに金を出すのは心が痛むな。海老は13/15サイズ(1ポンド当たり13~15匹)の殻付冷凍ウシエビ(通称ブラックタイガー)。その他はバナメイ小エビ・アカイカ輪切り等。ピーマンは赤と緑。大蒜数房、玉葱1個、人参1本、セロリ15cm、パセリ茎みじん切りをたっぷりのオリーブ油でじっくりと炒めソフリットを作る。そこに解凍海鮮と骨付鶏も兎もないんで多少は出汁が出るかとパンチェッタ薄切りを加え炒め、月桂樹の葉数葉、胡椒、白葡萄酒ダバダバを加え、煮切ったら13/15海老は取り出し別置。ホール・トマト缶の身だけを加え、水分を跳ばす。

イガイ殺害

洗わない米(インディカ推奨:ジャポニカ・ウルチならササニシキ一択)3合と3倍弱(鍋の出汁分を引く)の水を加え、塩と胡椒で確認しながら調味。煮詰まるし、パンチェッタからかなり塩分が出るので塩の量は慎重に。本来はここで水で戻したサフランで着色香り付けするのだろうが、そんな高価なものはない。ウコンや黄色4号で代用するのもな……。付着足を取り除いて殻を擦り合わせよく洗ったカラス貝をプスプス挿して釜茹で殺貝。ライプ・オリーブも放り込む。最初は強火。沸騰したら徐々に火を落とし、蓋をしないで水分を跳ばす。水が減ってきたらウシエビを再配置、赤ピーマンもレイアウトして、鍋底がチリチリ云い始めたら火を止めて、新聞紙等水分を吸うもので蓋をして蒸らす。10分ほど。パセリなどを振って完成。

パエリア

パスタと同じく前菜や摘みの扱いだと思うが、ローストビーフ等と同じく、ほとんど手間が掛からないわりには豪華に見えるらしいので、ある種の目的には適しているだろう。外で食うと固形ブイヨンや鶏ガラ出汁の類でコク旨が激烈に増強されている場合が多いが、自分で作ればその辺りも自由にコントロールできる。底のオコゲの部分も皿に取って、レモン等柑橘を絞って食べる。米に芯が残らず、かつパラパラした炊き加減が好み。まぁ、こんなもんじゃないの?

食いかけ

2011/01/22 作成__2011/01/23 最終更新