夏かよ


暑い。梅雨前線の南側のせいか、風は強いが空はきれいに晴れ上がって青い。

7/13に初秋刀魚。今年は今のところ不漁気味らしい。鮨で食えるのは一月程か。秋刀魚って、いつ食っても秋刀魚の味がするんだよな。一月で10貫も食わないと思うが、青魚としては凡庸で面白味がない魚だ。西も北も天気が悪いようで特筆すべきネタは特に無し。さっぱり濃厚な夏フグ(ごまフグ)の白子くらいか。そういう時は鮪でも食うかよ。霜降り漬け鮪と青葱散らしツナマヨ軍艦でさっと退散。

◇ 揚げ出汁豆腐

調理時間:水切り込み30分

賞味期限がとうに切れた木綿豆腐400g。二日で腐る豆腐屋謹製の1/3程で手に入るスーパーのパック豆腐は軟弱で豆腐固有の味は皆無だが、いつまでも腐らなくてとっても便利。豆腐は開封して一応臭いを嗅ぐ。糸引く場合はちょっと粘るし、臭うからすぐわかる。キッチンペーパーで水分を拭き取り、斜めにした俎板において15分ほどよく水を切る。ペーパーに包んで上に重しを載せるとよく切れる。

揚げ出し豆腐

つゆは鍋に濃い目に出した鰹一番出汁、煮切り醤油、生姜を合わせ軽く煮立たせておく。針生姜、刻み葱、鰹節を用意。揚げ油は胡麻油が好み。新品不可。170℃ほどにしたら、6等分した豆腐に片栗粉をまぶし、4、5分掛けてときおり上下を回転させて濃い目に香ばしくしっかり揚げる。油を切って器に盛ったらつゆを回しかけ、姜葱節を飾る。揚げ物だから揚げたてを熱いうちに食べる。外殻はカリッと、中はプルプル。まぁ、見た目はチェーン居酒屋風で旨いよね。決め手はもちろん上品さの欠片もない出汁だ。都会風の絹+淡口+柚子みたいな方向性には決して向かないあたりは心得ているつもり。豆腐だけ揚げるのは面倒なので、茄子も一緒に揚げて、同じつゆで煮浸しにしておく。あら熱とれたら冷蔵庫で一晩、ということでそっちは次回。

◇ 魚香胡瓜

調理時間:20分

ズッキーニ

ヘチマと書くと一見肯いてしまいそうだが、実は胡瓜と南瓜の間の子のようなズッキーニである。直径10cm、全長25cm超えの巨大な黄と緑。半分づつ。茄子をズッキーニに代えただけ。まぁ、食えるけど、茄子の方が旨いわな。

魚香胡瓜

◇ 悪食の果て

『うな丼ダブル@宇奈とと』

昔は隣町の駅フードコートにまであったものだが、最近あれれぇ~と店舗を減らしている弱小斜陽チェーン。今や最寄ですら川向こうだから歩いてはいけないが、あると便利な宇奈とと。路面オープン。カウンター席15くらい+2人テーブル数脚。2001年の創立というかなり新しい元祖? ワンコインうな丼チェーン。持ち帰り窓口の隣に炭焼き設備がパフォーマンス。居酒屋風の木々して賑やかな内装。奥行き30cm程のカウンター。ぎっしり詰め込まれた籐の角椅子が小さく固くて座り辛くて早く帰れ? 場違いな家族連れなんぞを相手にしないのはたいへん心地良い。目の前には90°倒置されたティッシュ、うなぎのタレ、しば漬けの壺、山椒、七味唐辛子が所狭しと妙に芸術的な配置で立体的に置かれている。裸のケース入りだが割り箸なのは滑らなくてよいね。割り箸やらレジ袋やら、ちょっと考えればわかることなのに、この世は根底から欺瞞とオタメゴカシでザックザク。厨房オヤジ1、ホール中国娘1、兼任あんちゃん1という構成。バイトのへんちくりんな黒装束が滑稽。¥500うな丼が売りだが、たいてい、うな丼ダブル¥900か、うな重ダブル¥1300を賞味する。メニュー写真を見ると凄い盛り付けだが、実際には丼が径15cmに対し、高さが15cmほどという、前代未聞のかなり変わった器なので目にすると驚くほどではない。

イラサイマセーの後、暑いので冷たい麦茶が出るが、それには手を付けずにもちろん生ビール。肝串2本はいつも塩焼きで。このクソ暑いのにまた客来やがったかと7~8分弱待たされて、まずはビール、続いて肝串が登場。このタイミングは良いね。ビールが先に出ると肝串来る頃にはお代わりだよ。肝串は¥150/本と格安、肝吸い5杯分くらいが一串に刺さっているのでボリュームはある。味はそこいらの¥400クラスかな。炭火に当てていると思われるが、皿も熱いから電子レンジ併用かな? ハフハフと一本食らい、皿にしば漬けを取るころには、ヘイ・オマチないしはオマータセシマスターとうな丼ダブルがどんと置かれる。

丼からわざとはみ出すように、あまり重ならない2枚のうなぎが載せられている。必ずしも同じうなぎの頭と尻尾というわけではなく、重量合わせのためか、4Pハーフカットの尻尾+3P(2.5Pか?)胴の4串取カットみたいな組み合わせのこともあるようだ。胴側はうな丼用に予めカットされたものなのかもしれない。背開き。身は概ね厚い。地焼きではないが総じて蒸しが浅く、蕩けるというよりはホクホク。焼き魚だが、皮が箸で切れぬというほどではない。注文が入ると蒲焼加工済み品を炭火で5~6分ほど炙り直す手法と思われる。串を抜いた跡がないことを考えれば、誰でも扱えるように網などに挟み両面を炙っている模様。その際に身が崩れないよう、敢えて蒸しが浅めになっていると思われる。

結果的に蒸しが浅い割に焼きが入り過ぎるので水分が失われ気味で、表面が焦げて全体がかなり色濃く見える。炭火を使っているためそれなりに香ばしく、脂は強め。最近は池上げ後の水質がよくなったのか、臭み抜き時間が長くなったのか、水や餌の臭みを感じる個体にあたったことはない。3P以上の部分で小骨が気になることがある。まぁ、これは勘でしかないが、串打ち品ではないことから、安価な輸入活鰻を掻き集めたモノではなく、冷凍加工品だろう。調理は各店舗(orセントラル)で捌いて白焼きからしているわけはないので、現地加工場で蒲焼まで済ませた長焼きを輸入・配送し、メニューに合わせカットして炙っているだけと思われる。

タレは粘度が中庸で、しつこくはないが甘め。醤油や味醂がほとんど香らない、深みのないもの。カウンターに置かれたタレは温度が低いせいか、更にトロリとした趣。表面が焦げ気味の皮や身肉と合わせると、脂の抜けた地焼きのような味わい。飯にタレを掛け回してからうなぎを載せ、更にタレ掛けしているのでかなりくどいが、大盛りにしなくても腹持ちがよくなるという線を狙っているのか。客層にきっちり合わせてくるところはさすがチェーン。

小径椀の肝吸い¥100だが、昼時はセット扱い、又、随時クーポンで無料になる。飯大盛りも午後の時間帯は無料。肝串はタレと塩が可。pm2時以降は摘み類、鰻ザク、鰻巻、その他鰻屋以外の一般的な摘み類も提供される。お世辞にもキレがよいとは言えない濃甘ダレや、臆面も無く“ひつまぶし”や“うな茶漬け”までが列挙され、噺家が社長の割には鰻の代名詞でもある“江戸前”から完全に逸脱したあたりは純粋に今風ということなのだろうが、うなぎ蒲焼を本来の大衆下手物料理の位置に再定義した功績は認められるべきだろう。世間一般では大きく誤解されているが、(特殊な人件費や客回転の悪さ、素材の高騰に伴い)高価ではあるが高級ではないことが、元来(もちろん今でも)まともな鰻屋の基本的スタンスのはず。尾花だって、石ばしだって、野田岩だって下町食堂なわけで、蕎麦や鮨や天麩羅と同じく気取って食べるモノじゃない。石ばしや野田岩が土用丑の日を敢えて定休日にしていることからも事情は明らかだろう。

山椒は気が抜けたようなもの。おまけのしば漬けは最近の甘ったるいモノではなく大粒でけっこうおいしい。ビールは生¥450。ジョッキはちょっと小さめだがよく冷えていて気持ち良い。夜は居酒屋化するので酒や焼酎もある(昼でも可)。路面オープンなので夏場はあまりエアコンが効かない。秋か冬がよいだろう。空いている2時頃出かけ、3時間くらい鰻と酒三昧しても懐が痛まないのはありがたい。

◇ イチジクとマスカルポーネの特盛スパゲッティ

調理時間:20分

マスカルポーネ

ウェットな乾燥イチジクとザネッティ・マスカルポーネ250gの在庫処分。麺を茹で始めたら、大蒜みじん切り、パセリ茎みじん切りをオリーブ油たっぷりのフライパンに置いてトロ火点火。シュワシュワと香りが立ってきたら皮付きピーナッツを煎り、白葡萄酒(シャルドネ)50mlを加えアルコールを飛ばし、塩と挽いた黒胡椒で強めに味を決める。麺がアルデンテに茹だったら茹で汁30mlくらいをフライパンへ。油が濁ったら湯切りした麺をざっと和える。火を止めたら手早くイチジク、マスカルポーネを和えて皿に盛り付け。パセリを散らす。

マスカルポーネ・パスタ

添え物は樺太鱒の缶詰に玉葱、完熟オリーブのシェリー・ヴィネガー和え。ケイパーズとパセリ、レモン(絞り汁も)、黒胡椒を効かせている。

カラフトマスのサラダ

イチジクの甘苦味、ピーナッツの旨味、マスカルポーネ・チーズ(乳脂肪80%)のコテコテの超絶コク旨、超ハイカロリー・スパゲッティと爽やかな酸味で和えた鱒を愉しむ。マスカルポーネは1人前125g使っているので、国内の外食では絶対食えない味になること請け合い。木の実はピーナツではなくアーモンドやカシューナッツでもよいし、もちろん松の実も捨て難い。冷めないうちに食べる。生クリームとか牛乳といった誤魔化しが一切ないから冷めるとチーズが粘るぞ(笑)。

マスカルポーネ詳細

2010/07/15 作成__2010/07/19 最終更新