しんしんと忍び寄るもの


なんとなく色付いた梅の枯れ葉が一陣の木枯らしに舞い、水面を覆っていく様を眺めていると、寄る年波には勝てない不可逆的な流れの勢いを感ずるものだ。味覚は経験で深化するものだが、嗜好は遍く固定化し、以前に比べて微妙な繊細さや斬新なものへの感受性は衰え、麻痺していくのかもしれない。自分が書いた数年前の文章を読み直して、あの頃は何もわかっちゃいなかった……と思えるうちは、まだ救いがあるのかもしれないが。

脂ののった霜降りブリの腹身とヒラマサを並べて食えるなんて妙な世の中になったものだ。と思ったら、今年初カンパチのおまけ付き。しっかりと味が乗った上物を「どうだ! まいったか」と言わんばかりの2貫付けで。噛んだときの歯触りに特有の趣きがあって、酢飯とよく絡むので刺身よりも鮨で食うのが最高。しょっちゅう食べれるものでもないから、あれば必ず頼むものでもある。“今年はまだ一度もカンパチ食ってないな”と前回念押ししておいたばかりなので巡り合わせに感謝。ありがとうね。滅多に握ってくれない腹身のマグロは分厚くもったりとした濃厚な風味で、酸味よりも舌にまとわりつくようなねちっこい食感が見事であった。カマに近い部分となめらかな胴側を一貫づつ。今年は景気が悪いせいか冷凍倉庫は出荷調整中のマグロでいっぱい。数年前の高騰時に買い付けたモノなんざ真っ赤か。おかげで普段なら私の口には入らないような近海生の上物までダブついて、慎重に探せば下々にまでこっそり出廻っているようだ。

もう30年以上、同じ場所で続いているいつもの天麩羅屋で弁当。通学路だったのでよく前を通ったが、あの頃の店主が今も息子? と並んでフライヤーに向かっている爺さんなんだろう。鮨屋の帰りで時間が遅く、正規タネがほとんど売り切れだったので、お好みで。いつもの美人の娘に、残り少ないタネから、穴子、いわし、海老、かぼちゃ、春菊、いんげん、ご飯大盛りを告げる。小さなキスと芋をおまけしてくれた。天麩羅はつゆにくぐらせて飯に載せられるが、胡麻油の香ばしさを際立たせる自家製つゆは、返しが効いて甘ったるくなく野太くしっかりしてはいるが、頑固一徹というほどでもなく適当に今風のさっぱりしたもの。飯をべちゃべちゃにしないつゆ加減が絶妙で気に入っている。蓋が閉まらないほどてんこ盛り。酔っているからすべてが適当だが、すげえ大盛り天丼弁当だぜぇ。680円。おかげでデパ地下高級店の、ショバ代とブランド代が半分を占めていそうな妙にコソコソして気取った天丼にはまったく食指が動かなくなった。

メニュー

残念ながら3、4年前に小ぎれいに改装してからは、持ち帰りがメインの天麩羅専門惣菜に特化したので、カウンターで酒を呑みながら摘むという形態がとれないのが残念至極。いや、カウンターはあるのだが酒を置いていないのだね。酒が飲めるカウンター天麩羅屋は在ゆえに駅の反対側に一軒あるのみだが、夜はコースになっちゃうし、値段が一桁違う。まぁ、ここで天麩羅摘みながらオレみたいのが粘ったら商売にならんという点は理解する。日曜定休。夜は19:00ぐらいになるとネタがなくなり店仕舞いモード。メニューは天丼と定食の二つのみ。ネタはお好みで、赤出汁の椀と今時珍しいまっとうな漬物が付く。春の「ぎんぽ(銀宝)」はもちろん、個人的に好きな夏の「めごち」、秋の「はぜ」を扱うような店ではないのだが、素人臭い拾播屋レベルと比較しては申し訳ないほど安定した熟練の質とこなれた味で確実にワンランク上。一般ネタとは衣を変えていると思われる掻き揚げも安くておいしい。

◇ 辛味大根

最近よく見かける安い辛味大根。容積比で勘案すれば青首大根に比べると途方もなく割高ではあるが、鼠大根といわれるものはあまり見かけないし、あっても尚更高くて手がでない。鼠大根を下ろすと水気の少ない下ろしができるが、こちらはいささか水っぽい。他にも多種多様な辛味大根が存するようだが、取り揃えて同時に比較するわけにもいかず風味の違いはよくわからないので安直な方向性に流れるのを常としている。でもって、辛味大根とくれば間違いなく蕎麦だろう。山葵に取って代わられるまでは、薬味といえば辛味大根が用いられていたといわれる。

辛味大根

返しは煮切りとの兼用を止めたので新種を作り始めた。混合比:本醸造濃口1lに砂糖100g、みりん200mlの本返し。まだ2ヶ月ほどで熟成が甘いが、ごく一般的な辛汁で内容的に新味はない。鯖節を30%ほど加えた業務用枯れ節で濃厚な出汁を抽出し、その一番出汁で割ってつゆにする。さて、肝心の辛味大根であるが、期待したほど辛くない。冬モノのせいか微妙な甘さすら感ずる。一本の半割りを皮ごと下ろし、下ろしたてをあっさり食べ尽くす。つゆに溶かず蕎麦にのせて箸で摘むのだが、辛いといえば辛いが汗をかくほどではない。個体差なのか、失敗作の投売りだったのか、オレの口がオカシイのかどれかだろう。つゆとの相性は思いの外良く、これはこれで山葵を凌駕するともいえるのは間違いないだろう。下ろしが散った残りつゆに葱と蕎麦湯を足すのも極めて風味が良い。今度は蕪みたいな丸いものも手に入れてみよう。

下ろし

外で食べると何故か普通のモリよりもかなり高価で腑に落ちない。使う量を考えても山葵よりは割安だろうに。ぶっかけになっていることがあるが、別に急いでいるわけではないから山葵の代わりに水分の少ない辛味大根が添えられているか、辛味大根の絞り汁に蕎麦つゆを自分で調合するものがよい。ぶっかけは最大公約数になるからちっとも辛くないんだよな。薬味には葱の他に鰹節が添えられていることが多いが、アレは余分というかむしろ邪魔。薬味として別添えになっていれば取捨選択は客にあると解することができるが、蕎麦やつゆの出来が悪いので鰹の風味で誤魔化して下さいという意図ならよくわかる。今年の国内産蕎麦は大凶作らしいが、気取った趣味蕎麦に出掛けることもすっかり億劫になったし、家で下ろし蕎麦ということで当面満足している。

徘徊その後#3◇山田うどん  訪問店数:1/5~6km圏の店数:3

食う度に土日祭日100円引きクーポンをくれる店というのも普通あるまい。原則として土日祭日には外食しないことにしているが、クーポンの期間が年末なので“ガラガラの”休日に出掛けております。おまけにこのクーポン、複数枚使用が可能で、3枚集めればうどんがただで食えるという優れもの。太っ腹だなぁ。大丈夫か? 辺鄙な北埼玉や群馬の街道筋。単純にして明快な「山田うどん」の文字。おもむろに、舗装すらされていない空き地に無造作に車を乗り入れ、てんでバラバラ、テキトーに停まる大型車の空隙に乗り着け、空っ風に身を竦めながら掘っ立て小屋のようなバラックの引戸をガラリと開けて、狸と狐のお出迎えを受けたら、おばちゃんに一声、てんぷらうどん! 100円うどん食堂だったのは20数年前の話。

外面はすっかりファミレス化したものの、出店コストを抑えた辺境立地、大型車も心置きなく停められる広大な駐車場、夜は早いが朝も早いお天道様に忠実な営業時間、一歩どころか3歩は外したメニュー、開き直ったドン臭さと情緒とは無縁な素朴さで昔ながらの伝統を固く守り続ける。平日はドサ廻りの営業マン、運輸配送の業務運転手、大型重機パイロット、監督さん、測量屋、仮設屋、土工、産廃屋、杭屋、鉄筋工、ガス圧接工、アーク溶接工、鉄骨屋のおさん、トビさん、型枠大工、プラントの親父、コンクリート打設工、コンクリートポンプのおっちゃん、ミキサー運転手、ヴァイブレーター隊、動員叩き隊、ダイヤモンドカッターさん、左官屋、サッシ屋、計算間違えるなガラス屋、薄いんだよ断熱屋、我が道を行くELV・ESC屋、金建屋、防水屋のあんちゃん、腰大丈夫か石工、タイル工、火花飛ばすな金物屋、LGS屋、ボード屋、内装工、明日は稲刈りだから来れねぇ大工、木建屋、ペンキ屋、クロス屋、家具大工、造作家具屋、ユニット設備屋、ちゃらちゃらすんな備品屋、曲がったことが大嫌いな給排水衛生設備屋、ガス屋、電気屋、ちゃんと連絡しろよ電話・弱電屋、通信屋、壁壊すな空調屋、機械壊すな計測屋、なんか傾いてねぇか?サイン屋、カーテン・ブラインド屋、機械警備屋の気取ったあんちゃん、外構屋、舗装屋、ホッカムリの期間道路工、植木屋の爺さん、落ちてもいいけど怪我はするな掃除夫、クリーニング屋のおばちゃんなどなど。一方、土日祭日は業務人は20%ほどで、残りは質素なファミレスといった按配で閑古鳥が啼く。

半径5、6km圏に数店存在するらしいが、車で15分程度となると執拗な信号待ちとか土日ファミリー渋滞等好まないので一店舗のみしか選択肢がない。従って、残念ながら系列店舗の食べ比べはできていない。裏道的東西往還で交通量はあるが最寄の駅となると徒歩20分は覚悟せねばならない隣町の辺鄙な場所の街道筋店舗に赴く。行くのはたいてい昼2時過ぎぐらいだが、人影はパラパラ。入り口のどまん前にポンコツ車を乗り着ける。建物はファミレスと同じグレードで悪趣味で安っぽく、薄汚れが目立つが、手の届く範囲は汚くはない。カウンター、テーブル席、座敷席とあり、TPOに合わせた対応が可能。カウンターも他のテーブル同様の高さで、奥行きがあって視線が通らず落ち着けるのは気に入った。昔のように白い割烹着の賄いオバチャンとは打って変わって、ホール・レジは30~50代くらいの制服女性2~3人で対応は無駄なく厭味なく至極普通で良い。よくある、謙って跪いて、心にも思っていない言い回しと気持ち悪いマニュアル・バイト語でオーダー取られるのは大嫌いなんだ。

麺とご飯もののセットは、どちらかがミニ仕様ではなくて、普通のサイズがどーんと二つお盆に載ってやってくる。冷たいうどんしか食べないのですべてに言及できるか否かは不明だが、麺は4mmx5mmほどの長方形断面で意外に細い。驚いたことに角は出ている。茹で麺だが想像よりははるかに硬く、タピオカで固めた硬質讃岐うどんとは別物だが一応腰らしきものもあり老若男女を問わず程良い。記憶が定かではないが、昔はもっとふにゃふにゃのソフト麺に近いものだった気がする。「冷やしたぬき」または「たぬき」がデフォルトで、具はワカメと揚げ玉、葱のみとシンプル。トレードマークの蒲鉾はどうしたの? つゆは普通の合わせ出汁の醤油つゆで、これまた意外にあっさりとして塩辛くないが、麺がなくなれば食事は終わり。つゆを飲むことはない。

掻き揚げ丼は丼飯につゆに漬けた麺共用の掻き揚げ(直径120mmx20mm厚)をのせ、玉子で綴じたもの。掻き揚げの具は小海老、ゲソ、玉葱などでけっこうたっぷり。玉子は火が通っていてたいへんヨロシイ。つゆは若干甘めだが、掻き揚げによく染みて思ったよりは悪くないんじゃないの? あまり良い評判を聞かないのだが、コストと需要をよく突き詰めた味わいで、大雑把だが変に気張った今風のちゃらちゃらした味付けよりははるかに受け入れ易いし飽きがこない。おまけのお新香は黄色い沢庵で、臭いし甘いし品質はよろしくない。麺は蕎麦に代えることもできるが、さすがに一度も試したことはない。

◇ かすべの唐揚げ

調理時間:15分

かすべとは本来はガンギエイ類を指す言葉だが、昨今ではその辺を悠々ひらひらしている赤エイなんぞも含み(というかほとんど赤エイだろう)、概ね食用にするその軟骨と筋肉質のヒレの部分を特定して指す。皮を剥いたものを“剥きかすべ”というのだろう。夏から秋が旬だと思うが通年見かける極めてありふれたもの。昔はゲテモノで値段がつくようなものではなかったはずだが、今は普通に商品として売られている。もっとも、不本意ながら網に入っちゃうものであって、エイを狙って獲っているという話は聞いたことがないから、やっぱり今でも外道なんだろう。尾に毒棘があり、大昔、干潟でうっかりふんずけて足がパンパンに腫れ上がった奴がいたな。危険だから漁師も嫌がるという話もどこかで聞いた。水分が少なく鮮度が落ち難いため数日放っておいてもそのまま刺身で食えるが、唐揚げや天麩羅、醤油と酒のみで煮て煮凝りにしてもおいしい。魚っぽい臭いやクセがないので意外に洋風や中華風の味付けにも合うし、洋酒(特に辛めのシェリー)にも合う。

半額

カスベの唐揚げ
 
1)かすべは火の通り方が一様になるように体積一定に切っておく。
2)塩・胡椒・五香粉を軽く振り、10分ほど置いて水分を出す。
3)片栗粉を振って薄衣を着ける。
4)160℃くらいの油で揚げ始め、衣が褐色に色付いたら180℃くらいで揚げ切る。(所要2分)
5)油を切って、香菜、適当な柑橘を添える。

カスベ下拵え

唐揚げには同じ料理とは思えない手法の差が存在する。一つは竜田揚げの流れを汲んだ手法、すなわち、種材を生の段階で大蒜と生姜で香り付けし、色が変わるほど醤油と日本酒に漬け込み、味を染み込ませてから衣を付けて柔らかく揚げる方法で、砂糖や蜂蜜をふんだんに使ったお子様アイテムとしても一般的に広く普及している。この場合、いきなり調味液に漬け込んでも種内で既に水分が飽和していて、味が暈けた水っぽいものになるので事前に塩を振ってしっかり水抜きする必要がある。種によっては日を跨ぐほどの手間なので個人的には種には味付けせず、水分を極力控え揚げ上がりに餡やつゆで調味する方法を多用する。

カスベ唐揚げ

付けつゆは淡口醤油、自家辣油、黒酢を合わせたものに直前に辣油で軽く炒めた葱のみじん切りを加えたもの。身が淡白なのであっさりめが合う。特に工夫もコツもなく失敗のないのが唐揚げ。軟骨はコリコリだし身肉は発泡したかのようにふっくらと柔らかく蕩ける。脂はほとんどないのでしつこくなく酒の摘みにも最適。

◇ 煮込み

調理時間:3日(実働3時間)

今年もまたうざったい『冬といえば鍋』の季節が到来だが、『冬だから煮込み』なら許す。煮込みといっても四足の臓物は自分で作るほど好みじゃないので普通の肉を使う。

材料:固い筋系の牛肉ブロック1kg、玉葱2個、人参1本、パセリ茎3本、セロリ茎1/2、赤葡萄酒1~2本、マッシュルーム300g、鶏の皮1枚(腿肉等から剥がしたもの)、小麦粉少々
調味料・香辛料:塩、胡椒、大蒜、オリーブ油、有塩バター、月桂樹の葉、丁子、肉桂の皮、その他好みの草
添え菜:人参、ブロッコリィなど適宜

一口大に切った牛のすね肉1kgほどを赤葡萄酒に漬けて一晩置く。野菜も漬けてもよいがその場合は葡萄酒が2本ないと足りんよ。どうせ煮込むので肉はバラ、テール、頬肉などボリュームがあれば適当なモノでかまわない。費用対効果を考えれば葡萄酒はスペインやチリや南アフリカの濃い目のものが目的に適うだろう。華やかで甘味が強いカベルネ・ソヴィニヨン系よりもブルゴーニュのピノ・ノワールがよいに決まっているが、高いからメルロで許せ。スペイン産メルロ、中重、スクリュー・キャップ、398円/本で妥協。安いけどけっこうおいしい。翌日、漬け汁から上げた紫に染まった肉をざるに上げ、水気をしっかり切りながら塩・胡椒をして30分ほど放置。漬け汁は捨てないで煮込みにそのまま使う。肉に小麦粉をまぶしたら、バター50%、オリーブ油50%で中火。表面にしっかり焼色をつける(中はレア)。

じうじう

別鍋で鶏皮を炒め、脂を出す。その脂で香辛料から香辛を抽出し、匂いが立ったら適当な大きさに切った玉葱1個、人参、セロリの順に順次追加しながら炒める。野菜がしんなりしたら、肉の漬け汁葡萄酒を加え強火で沸騰させる。沸騰したら弱火に落とし、肉を加え、肉を焼いたフライパンの焦げ付きも葡萄酒で洗い、こそげ取って加える。最後に、残りの玉葱を半割りにして鍋に放り込む。灰汁を取りながら4~5時間ほど煮込む。大量の灰汁と脂が浮くので丁寧に取る。液体が足りなくなったら葡萄酒を足す。固くなるので肉が水面上に出ないよう注意。煮込む加減は半割りの玉葱が原型を留めなくなるまで。

煮込み完了したら鍋全体を漉して、肉、スープ、野菜屑に分離する。最初にスープを分離。どろどろの残渣から肉を発掘して別に置く。野菜屑はざるなどでしごいて液体分を絞り取ってスープに戻す。残ったカスは捨てるしかない。そのうち中濃ソースにでもしてみよう。スープを再び火にかけて、塩、胡椒で調味して煮詰める。煮詰まるので味付けは若干薄めでよい。その時間を利用して大量のマッシュルームを適当な大きさにスライス。フライパンでバター炒めにする。バターはケチらず50gくらいね。炒めたマッシュルームを鍋に加え、別置きした肉をスープに戻す。一煮立ちしたら火を止め、そのまま蓋をして24時間放置。冷却過程で肉に味を染み込ませる。

煮込み

翌日、添え菜用の野菜を、煮る、炒めるなどし、温め直した煮込みを盛り付けた皿に加え、ようやく食べれるわけだ。味が物足りなければ冷たい固形バターを鍋に加え揺する。煮込みがメイン・ディッシュ。副菜はバゲット。バター、アンチョビ、ジャム添え。酒は重い赤葡萄酒一択。

煮込詳細

人参はともかく、生じゃ食えないくせに煮ても焼いても微妙に特有の臭気が残ると言う意味でブロッコリィは使えない野菜。品種や肥料や土壌に因るのだろうか? 大振りなもので一度だけまったく臭くないものを貰ったことがあるが、売り物は悉く臭う。今回は、ポイッと避ければよい話。インゲンか枝豆類のほうがはるかに合うだろう。根性はないし、ブフ・ブルギニョン(Bœuf bourguignon)でもないし、トマト類もドゥミグラスも使わないので甘ったるさ皆無。肉の旨味が際立つ。目指した通り、簡素で力強いさっぱりとした煮込みになった。火入れと冷却を繰り返した2、3日後のほうが更においしい。肉は悲しいほど縮むので大きめにカットしたほうがよい。1kgでもあっという間になくなるので、手間暇考えれば一度に大量に作るべきだった。今度は葡萄酒1.8lを投入し、高さ30cmの寸胴で作ろう。


2009/11/22 作成__2009/11/22 最終更新