冬至はきのう

面倒だし安いから老酒を箱買い。8年陳をメインに10年ものも試してみたが、まぁ、それなりか。台湾製のほうが高級感はあるかもしれない。本来は甕に仕込んで土中に埋めておくのだっけ? 娘が生まれたら仕込んで嫁に出すときに掘って甕を持たせるんだったかな? 今度はでっかい甕入りを買ってみよう。柄杓ですくってとるりと杯に注ぎ、呑んでみたいの。

老酒

代用品で作るはじめての回鍋肉

ときおり肉が食いたいときもある。特にFates Warningを見ていると、オレも肉食おうと思う。あはぁ。

豚バラ塊肉は皮付きがよいが、概ね皮付きのほうが高い。かつては最も安い肉であったが、昨今の脂志向のせいなのか赤身塊よりも高価な肉になってしまった。魚肉や牛肉の脂身、あるいは屑肉に植物油脂や蛋白加水分解物を混ぜたものに、他人を押しのけて群がる老若男女を眺めていると、この社会に自分の居場所はないのだなということがつくづく身に染みて感ぜられる新暦年の瀬でございます。

茹でた豚バラ

豚バラもピンきり。国産から不明産まで種々雑多だがどうせ味付けをするので、素材がどうたら云々はあまり関係ないだろう。100g、100円でかまわない。強いて言えば、脂身が少なすぎると瑞々しさに欠けるし、多すぎるとしつこいのは自明。脂身5割、赤身5割から脂身ちょい多めのものがよいのではないかと。豚バラはブロックのまま、屑葱、生姜皮、酒、醤油を添加し、臭み抜き仕様で軽く火が通る程度水煮する。冷めたら3~7mm厚にスライス。茹で汁はそのままスープに転用できる。具は木耳、春雨、卵。醤油、胡椒、五香粉で適当に調味。青葱を散らすだけ。

スープ

回鍋肉の付け合せと云えば青蒜(葉大蒜:大蒜の葉)であろう。しかしながら、近在のヨロズ屋に出回るのは毎年1月~3月あたりのみらしく、老人ばかりの寒村ゆえ販売場所や量が極めて限られており、入手にはたいへん難渋している厄介モノである。麻婆豆腐の必需品でもあるので、毎年見つけ次第買い込むのだが今年はまだだな。仕方なく自家栽培もしているのだが、これじゃあな。あと2ヶ月は掛かりそう。何故か大蒜の芽(正確には花茎の冷凍輸入品)は普通に常備されているのだが、青蒜は需要がまったくないところをみると回鍋肉はほとほと人気がない料理なのだろう。

大蒜の発芽

青蒜の代用品は食感が似ている葱と匂いが同じ大蒜か。更に彩りは四川家庭料理では人参や大根、夏は瓜を加えたりするらしいが、ここは平凡に赤椒。といいたいところだが辛くない肉厚のパプリカと赤唐辛子で代用。醤はP県豆板醤とドウチ、調味は大蒜、生姜、赤唐辛子ミジン切り、ラー油、醤油、老酒、砂糖あたりを並べておく。(北京料理の)甜麺醤を使うレシピが多いが、家で北京ダックはやらんので常備していない。

ドウチ他

葱は斜めに刻んで水切り。パプリカは縦細切りにして1分ほど油通し、ジャーレンに上げておく。というあたりでスタート。熱した中華鍋に胡麻油少々、発煙したら茹で肉を投じ、鍋肌に押し付けるように30秒ほど火を通す。中火に落として肉を寄せた余白で染み出たラードで大蒜、生姜、赤唐を香り立て、更に醤を加えもう一段香りを際立たせ(50秒経過)、肉に絡めたらパプリカを戻し醤油少々、砂糖少々、老酒、ラー油で調味(1分10秒経過)。強火に戻し、葱を入れしんなりしたら火を止める。以上1分30秒で完成。

葱+豆板醤

火傷しそうな熱さを老酒と共に味わう。あっさり目のラガーでもよいか。肉は外側だけ軽く揚げたようなカリッとした食感で香ばしく、中はしっとりと柔らかい。半量程度ラードとして脂が抜けた感触。風味は芳醇にして濃厚。四川飯店には負けるが肉が7割くらい(200g/皿)はあるはず。脂と辛味のバランスで、肉の旨味を心ゆくまで堪能してあっという間に食い切る。

肉は茹で鍋から炒め鍋に戻す。回鍋だからね。炒め時間が短い(長いと当然焦げる、というか油の自然発火温度を超えるので危ない)ので、火が通りにくい野菜は事前に必ず油通し。湯通しではなくて油通し。100℃と200℃の差は別の料理。野菜の水分を内部に封じ込める意味もある。水が出てしまったらただの肉野菜炒めになってしまう。

回鍋肉

はじめての挑戦ということで、基本に忠実に四川飯店(日本の同名レストランではない)の料理人の動画を参考にしてみた。さすが、肉を炒めはじめてから盛り付けまで1分20秒。豆板醤と甜麺醤の比量(2.5:1)も適切で好みに合う。宮廷料理の趣で(物足りないくらい)非常に上品に仕上げているが、ラー油に浮いた肉料理であることは一目瞭然。素晴らしい。是非味わいたい。俎板欲しい。


2008/12/22 作成__2008/12/22 最終更新