冬雨で水位回復

チーズを買いに行ったら今までパッケージ1kgで1200円のゴーダが800gに減量されて1890円と、あまりの法外感に呆れるのを通り越して爆笑ものだわ。手厚い保護を受け、無競争に踏ん反り返っている業官界の品性の欠片もない尊大っぷりはお見事としか云いようがない。落ちてるはずなのにちっとも反映されないユーロ安に淡い期待ということで今しばらくは死んだ振りが得策か。

近在で唯一ササニシキを扱っていた店が今年は5kg、10kgを扱わなくなって難渋。二週に渡ってあっちこっち探し回って、ようやく石巻の5kgパッケージx2を入手した。今年は元々少ない作付けに加え、主産地の作柄が思わしくないようで、近縁では常備している店が皆無とお手上げ状態。鮨屋では古米が入らなくて、これじゃ握れねぇと新米を前にあんちゃんが難渋。流れの方向が決まるや否や猫も杓子も右へ倣へか。

肉まん

深い意味は何一つないが、今夜は肉まん。中国風に言えば肉包子(ローパオヅ)というやつ。この手の穀物粉の皮で包んだ食べ物(餃子、焼売、春巻など)はあくまで主食として食べるのでそれなりの個数が必要になるが、法外な課徴金が掛かっていても相対的に小麦は割安だし、肉も屑肉みたいなものなので材料費は驚くほど安い。おかずは180円/kgの搾采と卵スープ。酒は白酒なり老酒なり、好みで合わせればよい。

soup

肉は牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉あるいはそれらの合わせ肉を用いているが、具材や調味に関してはどこも好き勝手に工夫を凝らしているようで、伝統的なリファレンスがあるわけではなさそうだし、経験的にもこれは! というものに出会った記憶もない…ので、いい加減に判断している。一方で、やはり基本は皮の旨さではないのか? とも思うが、材料よりも蒸し上りから食べるまでの時間で決まるような気もする。近在のコンビニ等でもこの時期になると温蔵ケースにしばしば見かけるが……、餡に関してはもう何も言う気にはなれないが、歯がない幼児や老人向けの食い物の如く、異様に甘ったるく、柔らかく、歯にぬちゃぬちゃとくっつく皮は我慢の限界を超えている。ごく普通の材料でごく普通に作ると、どんなに工夫を凝らしても、ああはならないという点が量産パン類に代表されるイーストフード加工食品に準ずる不思議な魔術なのだろう。

列

皮は薄力粉に20%ほど強力粉を加え、ラード、塩、砂糖を餌に予備発酵させたドライイースト、ベーキングパウダー適宜による。普通に練って1次醗酵1時間、適当に切り分けて霧吹きベンチタイム10分ほどをとって、M31銀河のように中心部を少し膨らませて直径12cmほどに伸ばす。膨らんだ部分を底にして餡を詰め、頭を閉じるだけ。霧吹き後38℃で2次醗酵15分(必要なのか?)、そのまま強火で15~20分蒸して完成。練り芥子等は適宜。

餡は1次醗酵中に準備する。当たり前だが具量をケチってはいけない。言葉通り餡を皮で包んだものであって、蒸しパンに餡が入っているわけではない。ともに材料は大きさを揃えみじん切りに、よく練って完全に調味しておく。肉だけだと固くなるので具材が少なければ葱を増やすなどする。

餡1
試作甲
牛ミンチ、筍水煮、葱、大根葉、生姜、鶏がらスープ、生椎茸、紹興酒、醤油、胡麻油、片栗粉:片栗多め、大根葉から水分が出たようで小笼包風に肉汁たっぷりのしっとりした餡になった。大根葉の苦味がアクセントになってあっさり。
餡2,3
試作乙(右側)
豚バラ、豆板醤、筍水煮、葱、生姜、鶏がらスープ、木耳、クコの実、紹興酒、鎮江香酢、胡麻油、片栗粉:豚バラ、筍、木耳は大雑把に切り食感を出したつもり。
試作丙(左側)
豚ミンチ、筍水煮、葱、生姜、鶏がらスープ、木耳、干し椎茸、紹興酒、醤油、胡麻油、片栗粉:特に工夫もなく、定番中の定番。

イースト+ベーキングパウダーと二段構えで配慮しても売り物のようには膨らまないが、蒸しパンじゃないのでかまわないだろう。皮はきっちりと小麦の味と香りがして、ラードの保湿が利いているせいか、冷めてもそれなりにおいしい。餡は強めと思うくらい濃い味にしたほうが売り物に近くなる。最後の蒸し工程が作業性を左右するので、同時に多数を蒸せる機能があると格段に便利だろう。竹の3段蒸篭が欲しくなってきた。


2008/11/24 作成__2008/11/24 最終更新