信じるものは救われる

生姜と葱がのった鯨の握りにウツツを抜かしガリで口直し。カレイの昆布締めを頼んだら、ちょうど切れていたらしく平目の昆布締めしかないといわれた。「どうせ違いがわからないから、平目でOK」と応えたら受けたらしい。握り職人はみんな大笑い。店長は一瞬考え込んで、「う~ん……。ま、昆布の味しかしないから」とフォローしてくれたのだが、飴色に染まったたっぷりと肥えた平目が下駄に置かれた。むんずと摘み一口で。種の差よりも個体差の方が大きいから区別はつきにくいものだが、まったりとした旨味としっとりしこしこした食感は酢飯と抜群の相性を示す。

世間の風はどこ吹く風と今宵も鰻を食う。普段通う店は(安いから)冬から初夏は台湾産しか見たことがないし、シーズンでも場合によっては輸入ものを使う。たとえ台湾経由だろうが味は変わらない(味を見分ける舌を持たない)から気にしたこともない。炭だとは思わないが焼き具合は鰻に合わせて最適に調整され、皮目の厚さや脂のりに応じて蒸しあげられ、タレは甘味のない嘘のようにさっぱりとした味わいで鰻の身肉の味を丁寧に引き出している。それ以上の何を求めようというのか?

いちばん面白いのは、流通過程でフィルターを掛けるという毎度のパターンではなくて、日本一の生産者として名高い某漁協自らが手を染めてたということか。行き過ぎたラベル信仰の悲劇というよりは愚劣な喜劇にもならない。ただの加害者が被害者面して逃げきれるところ、何故か腰が引けたように誰も追及しないところが予定調和の麗しい世界。たぶん私が死ぬ頃には日本で生産されたビリ鰻を中国産に偽装したものが飛ぶように売れるんだろうな(笑)。それもまた一興。天気が悪くて月下独酌というわけにはいかないが、Qntalを流しながら今宵も酒がうまい。

HDD

新規投入の500GBのHDD三台。日立製に比べ、シーゲイト製は200円ほど高かったが、5年保障がついているならばかえって安いかもしれない。トラブル発生時にはWebでシリアルナンバーを打ち込むと即座に修理交換対応をしてくれるらしい。太っ腹だなぁ。一般的にはそれなりのトラブルが想定される裸の部品売りに5年保障を付けるというのはある意味画期的にして快挙といえよう。シーゲイトは元々中国生産だが、このところ自社製品の信頼度に対して強い自信が感じられる。

HDD

一方、日立はIBMのHDD部門を買収したのか合併したのか提携したのか、唯一の国内HDDメーカーとして名前を残している。IBMはシンガポール製だったような気がしたが、日立製となってからは中国に拠点を移した模様。DeskstarはもともとIBMのHDDにつけられていたシリーズ名だった。HDDはDVDレコーダーやカーナビ等のコンシューマ用で大きく需要が増えたせいもあるのだろう。PC用とは桁が違いそうな量産効果+値引きで、どちらにしても15円/1GBというのは現段階ではかなり魅力的な価格である。

コノシロ(>ナカズミ>コハダ>シンコ)

大きくなるほど安く、誰にも顧みられることもなく冷遇される魚といえばコノシロを置いて他にはないだろう。新子の時期はキロ数千円、走りなら下手すりゃ万単位なのに、大人に成れば一匹100円でも高いと思う。

コノシロ

ニシン類は海中から揚げられると気圧の関係で頭に血が滲むらしいので、見た目の悪さが直接鮮度に反比例するわけではないが、相対的に鮮度が今ひとつで、やはりうちの辺りでは鬼門の一つのように思う。鮨屋で食うようなコハダを入手しようとすると徒歩40分ほどの市場に出向かなければならない。市場は営業時間を12時間ずらしてくれると使いやすくなるんだがなぁ(笑)。

鱗を落とし、三枚におろしてバットに並べ塩を振る。身肉の厚さを見て、1時間ほど冷蔵庫。塩を軽くかつ手早く洗い流し水分をペーパーで丁寧に取る。若干甘めに調整した酢に皮目を下にひたひたに漬け込んで30分。脂がしつこそうなので押し気味に締めたが、本来はちょっと浅いかなというぐらいが好みである。コノシロになると皮が厚く、迷うところだが皮を剥くときれいに並んだ斑点もとれてしまう。酢で柔らかくなっているので食感を損ねるほどではないか。とりきれない小骨は諦めよう。 コハダよりもずっと脂が乗っている。身肉はしっかりとした食感だが大味で繊細さに欠ける。というわけで、やっぱり食えない魚なんだよなぁ。

コノシロ酢締め

2008/06/26 作成__2008/06/26 最終更新