春が来た

白エビ+メジ

かつては富山に検査(飛行機でほんの一時間だが)に行ったときしか食べれなかった白エビだが、今はお値段が適正かどうかは別にして、普通に場末の安スーパーの魚売り場に生が並ぶ。富山湾だけでなく駿河湾や銚子などでも揚がるが量は一定しないようだ。春から秋にかけて、パック入りの殻剥き生が普通に鮨ネタとしても流通しているよう(冷凍パックは一年中)で、かつてのありがた味はすっかり薄れたものだ。

白エビ

そのまま食っても食えないことはないが、頭はちょっと歯応えがあるし髭がウザイので毟って味噌汁の具に。胴殻は剥いていると気が狂うのでそのまま。仄かな甘みと旨味を邪魔するほどではない。残ったものは醤油漬にして翌日簡単な和え物に。漬のままさっと茹でて青紫蘇の葉、蓼と和えて酢をほんの少々垂らすだけ。香ばしさと紫蘇の清涼感が酒の摘みにうってつけ。

和え物

同じく旬の駿河湾の桜海老と同量で同じ値段だったが、桜海老は安定していつでも食えるから見送った。富山湾の高岡産のホタルイカも並んでいたが、ボイルだったので食指が動かなかった。生はあまり見かけない(一応禁じられている?)が、春ネタということで鮨屋では稀に生で(一応相手を見て出すらしい(笑))、一般的には沖漬けにしたものを食べた方が経験的によい。

メジ鮪

鰹に若干遅れて北上するメジも南から揚がりはじめた。500円越えといい値段だったが、春嵐を眺めながらの晩酌にちょうどよいなとつい手が出た。腹身は老人に譲って、40cmほどの背身半身。置いておいても旨くなるわけではないので、厚めの削ぎ切り、山葵醤油でさっさと食う。若く滑らかな柔らかさとさっぱりとした酸味、香りを愉しむ。

苺のコンポート

路地ものには一月早いが、苺が安い。最近流行の甘いだけで酸味と香りに欠ける妙なブランド品は別として、1パック200円割れのものなどを買ってきてそのまま食べるのも悪くはないが、概ね途中で飽きるものだ。そこでコンポート。

苺コンポート

赤葡萄酒(今回はそのまま飲んでも旨くないが生産年ぐらいは記載されているイタリア産ライト・ボディの安物)にシナモン(樹皮)、黒胡椒(粒)、月桂樹(乾燥葉)、砂糖、半割り苺を適宜投入し、アルコールを飛ばし過ぎないように軽~く煮立てる。密閉保存瓶で一晩以上冷蔵。冷やした皿に濃厚で風味の良い輸入マスカルポーネ・チーズをたっぷりと盛り、苺コンポート、ペパーミントを飾るだけ。甘味、酸味、スパイスの苦味、こってりとしたチーズが構成する芳醇さと香り、アルコールのバランスは思いの他さっぱりとして春を感じさせる。


2008/04/13 作成__2008/04/13 最終更新