睦月記 -(2007/02/18-2007/03/18)

1;諸々

ただの一度も雪を見ることなく春になった。なにやら桜までが咲いている。いいのか? こんなことで。蛙に続き蟻までもが活動を開始した。穴からちろちろ顔出しやがって、もう、気になって仕方ないわ。

点景1

微妙な引き加減が面白い。不思議なことに、ちょっとでも蟻がたかったものは絶対に食べないのだよね。蟻酸(HCOOH)に嫌悪感を抱くのだろうか? この調子で暖かくなると、来月中頃には薬撒かないと果樹やら茶系の樹は近寄り難い悲惨な状況になりそうだ。

ようつべも面白いのだがころころリンクが切れるので、URLを載せるのにはあまり相応しくないようだ。一過性の話題にはちょうど良いのだがなぁ。聴きたくても手に入らない音源や映像だらけで、個人的には大変重宝している。グリモー+マズアのコーラル・ファンタジー抜粋にはちょっと目を開かされた。最低でも2ヶ所間違いながら物怖じしないグリモーも凄い(笑)が、マズアって歌いながら指揮するのね。エモーショナルでいいぞ。

■ここに至って心を去来する由無しごと

“美しい”という言葉もすっかり愚劣な汚辱にまみれ、もはや醜愚の象徴というか、鼻を顰め指先で摘まんでポイするのが適当というか、括弧付でないと使うことを躊躇ってしまう形容詞に成り果ててしまい、文章を書くのに困窮する毎日でございますが、皆様におかれましては如何お過ごしでございましょうか。金は出すけど口は一切出さない国民の鑑であるところの確定申告も終わったことだし、久々にちょいと散歩へ出掛けてみようか。

■ナポリ湾に浮かぶカプリ島のヴィラ・マラパルテ。イタリア合理主義のリベラ(Adalberto Libera)によるものとされてきたが、リベラは基本計画程度で、実質は毛沢東主義者のマラパルテ(Curzio Malaparte)によるものだったらしい。1930年代の建物だが、階段とR壁の極意は未だに魅力を失わない。

主体思想塔は影の長さから高さが想像できる。川にある二箇所の白い飛沫は塔と同じ高さ170mの噴水らしい。いやはや。市街には意外にカラフルで鮮やかな青、青紫の屋根が散見されて民族性の観点からもなかなか興味深い。屋根材が窯業系なのか金属系なのかは判別できないが、この色を出すには高価なコバルトをかなり潤沢に使う必要があるように思える。

■福建省福州近郊の人民解放軍AFBに不穏な迷彩が。駐機場の路面にもペイントしているあたり斬新であるな。ちょっと感動した。オレにも塗らせろ。でもこの形状、三沢や嘉手納の防染防爆格納庫と同じじゃん(笑)。虎の子のスホーイ27が入っているのかな? まぁ、取敢えず中国も頑張っているといことで。

B2はいないの? という疑問の声に応え、ミズーリ州のWhiteman AFBをさっそくPeeping。うぬぬ。駐機場には機体洗浄の後と思われる水濡れだけで拍子抜け。ステルス効果を高めるための塗装? は塵芥と紫外線、温湿度変化に弱いらしく着陸後の機体洗浄と空調付の特殊格納庫への収納が欠かせないらしい。Base東側の有刺鉄線で囲われ避雷針が乱立する弾薬庫は核弾頭の貯蔵庫だろう。 で、立ち並ぶ特殊格納庫であるが、同じものをグアムで発見。B1の尻尾が見えるのもあるが、つまりここにB2が配備されているというわけだ。航続距離が長いし、嘉手納では“近すぎる”ということで、グアムの価値は近年格段に上がっていると見るべきだろう。かつては虎の子だったがSTARTで核兵器搭載ができなくなったB1(でかいな)は堂々と駐機場に並んでいるが、ここでもB2はきちんと隠れているようだ。ちなみに初戦果はベオグラードの中国大使館に対するピンポイント“誤爆”(笑)。

現役はB2のみだと思うが、全翼機のアイディア自体は古くからあり、1944年初頭にはHo229という爆撃機が量産開始されている。ちなみにHo229の主翼前縁にはカーボンが埋め込まれ、更に機体にはレーダー波吸収塗装が施され、ある程度のステルス性能を鑑みていたらしい。

点景2

濫読は平石貴樹「誰もがポオを愛していた」。シリーズ初作かと思っていたら三作目? のようだ。カタカナが多くてくたびれたが着地はきれいに決まったかな。小川洋子の短編を平行。「寡黙な死骸 みだらな弔い」は特有の女性視点が新鮮といえば新鮮か。芦原すなおの文庫最新「わが身世にふる、じじわかし」は相変わらず。「雨鶏」の続きはまだか?

■春眠を貪る

好きなものも嫌いなものもたくさんあるが、食べれないものはあまりない。東アジアや東南アジアの妖しげな屋台のゲテモノとか入ったら出れなくなりそうな淫靡な料理屋の見目麗しくもヴィヴィッドな昆虫系や植物の一部等、何がなんだかさっぱりワカランがきっと食い物なのだろうと取敢えず食ってみるものだ。苦くて酸っぱくて甘いという、思わず咽て、なんじゃよ?! これは? ほんとに飲料だろうな! という草のジュースまで、たいていのものは残さず飲み食いしてきたし、生水も現地人レベル。腹を壊した憶えもない。身近なところでも無個性化が進む野菜なんぞは、セロリの葉っぱ、パセリの茎、葱の青葉、かつてはエグイと捨てていた部分に郷愁を感じる始末で、稀に涙が出る玉葱なんかに出会うと感激してしまうくらいだ。茗荷、蕗、芹なども市販のものは漂白されたように薄っぺらく香味と苦味がないので自家製に限るし、トマトやほうれん草も改良されていない青臭くてごわごわの路地モノに限る。

◇ほしえぬのウズラ卵
なんとも素朴なパッケージ・デザインに心惹かれたウズラ卵缶。写真では大きさがよくわからないが、実際かなり大きく重い(900g)。開けると水煮卵が50~60個ほど入っている業務用。そのまま食べてもおいしいが、よくある料理のように炒め物や煮物に放り込むという使い方で、外では味わえない馬鹿丸出しの贅沢(いや、だから、鶉の卵10個入りの鳥の巣状態の中華丼とかさ)ができる。“ほしえぬ”はQP青旗の業務用ブランドで“☆N”です。

鶉卵缶

◇酒
さすがに寄る年波には勝てず、このところ酒量は減る一方で、特に夏場は飲みすぎると気持ち悪くなる。最近の傾向としては、焼酎は食事に合わない気がして日本酒へ移行気味。洋酒はほとんど飲まず在庫も僅少、葡萄酒は適宜、週二、三本。マッコリ、老酒は少し味がわかるようになってきた。
アセトアルデヒド脱水素酵素を持たない突然変異種系統にあたる渡来系モンゴロイドの末裔として、かつて酒はほとんど飲めなかった。が、そのあたりは概ね巧く出来ていて、現場稼業に明け暮れていると(どっちがエライかで)嫌がおうにも鍛えられるものだ。なかには冷蔵庫の在庫が切れないように随時補充してくれる悠長な現場(親方日の丸)もあって、今となっては思い出すだけでちょっと悔しい。

基本は生魚に合わせることが多いので、いきおい雑味の少ない吟醸辛口が多くなるが、切れすぎ、辛すぎ、匂いすぎよりは、適度な甘みある爽やかさと透明感が好みだ(しょっちゅう変わるから全然あてにならん)。おいしいものがたくさんあることは知っているが、もちろん手が出ないものも多く、この世界の奥深さにはきりがない。価格がこなれ入手が容易なメジャー品から、マイナー地酒まで積極的に試して良いものを探している。一生かかっても食いきれない膨大な種類の魚貝(料理)と酒があるということに余生の喜びを見つけられたことには心から感謝している。

◇すきやき
カードのポイントですき焼き肉を貰ったので早速賞味。生肉米沢牛。米沢からクール便で送ってくるのだ。すき焼き、シャブシャブ用の薄切り肉だが、これがまた5mm厚とけっこうずっしりとした分厚さと重さ。見た目の肉質、香りも普段食ってるのとはさすがに比較にならんわ。まぁ、一応、野菜なんぞも適宜カットして準備を整え、牛脂を鍋に落とし温度を上げて、おもむろに肉を焼く。隙間に砂糖、濃口醤油を砂糖に垂らし、あまりの香りに、もうそのまま鍋食い。ビールをお供に焼きながら全部食ってしまい、まことに遺憾ながら野菜だけが山になって取り残されました。どうすんだこれ?

▽鰯
なぜか今頃鰯が出回っている。鮨屋で半身一貫付けの鰯をありがたやぁと食い、帰り道ふらふらと魚屋を覗くと艶やかに波打った魚体。比較的マシそうな中羽(大羽か?)マイワシ5匹。あまり安いとは思わないが、鱗が残って身がきれい、かつ、ずっしりとした重さに目が眩み、つい買う。死後硬直中というわけで生姜を卸してまた刺身。ちょい脂乗りすぎ。乗りすぎた脂は身肉本来の旨味を暈すので好まない。中骨は骨煎餅で塩胡椒。揚げ立てを食う。下魚中の下魚、鰯、鯵、秋刀魚だけは新鮮なものを新鮮なうちに、臭みのない清々しさを味わうのが吉。経験的に価格が高くなればなるほど不味くなる。

鰯

◇サワラ蒸煮
春だから鰆。皮だけを軽く焼いて鮨で食うのが最高だが、鰆は身肉が柔らかいから鮮度落ちが早くて、なかなか刺身で食えるグレードのものを見つけられない。そこで蒸煮。近在の城下町の料理屋で食べたメニューを記憶の底から穿り返す。鰆切り身はキッチンペーパー上で軽く塩、酒を振り余分な水分をとり、器に盛り付けて蒸し器で12分蒸す。
鰹、アゴ混合出汁で蕎麦つゆを作っておく。二八蕎麦(乾麺)を茹で冷水で締める。蕎麦、椎茸、人参、ホウレン草を適当な大きさに切り、残りが4分ほどになったら蒸し器に入れて蒸し上げる。蒸し上がったら温めておいた蕎麦を盛り、蕎麦つゆをかけ、山葵を添えておもむろに食う。

◇メジカ鮭兜焼
氷頭だけとって凍らせておいた頭を忘れるところだった。アラの類は下処理をきちんとしないと基本的に生臭いので面倒なときは煮るより焼くのが簡単。既に二つ割した塩蔵品だからグリルでそのまま両面を焼けばOK。骨を引っぺがした頬肉の部分の締まり加減と程よい脂乗りが最高にうまい。鮪や鰤になるとちょっとしつこいが、鮭は独特の風味が効いて趣に溢れたものだ。

◇固いパンを探し求めて
口の中が切れるぐらい皮が固い、噛み締めるほど味が出るパンを見かけなくなって久しい。歯が折れそうに固くても経験的に歯が折れたことはないので、口内の粘膜がささくれ立ち、傷だらけになって稀に適度に出血するぐらいのものが好ましい。いつまでたっても固くならないパンもどきを買うことはなくなったが、自分で作るとけっこう時間が掛かるので、いきおい選択に困るのも実情である。近在で自然酵母を売りにしたパン屋が流行っているというのでさっそく寄ってみた。ちゃらちゃらした雰囲気と生温い客層に一歩引くが、けっこう繁盛しているだけあってコスト・パフォーマンスはかなり良い。普段買っている個人店の7掛け、デパ地下の5掛けくらいで、生地はそれなりに香ばしく、焼きも固め。それほど遜色のない質で、いつまで続くか知らないが選択肢が増えるのは喜ばしいことだ。

▽スミイカ
いわゆるモンゴウイカの仲間でコウイカというのが標準和名。元々、江戸前鮨の定番で秋の“新イカ”といわれる子供の一貫付けは極上品。墨にまみれて真っ黒になって市場に入荷するからこう呼ばれる。如何にもイカらしいスルメやヤリに押されてこのところパッとしない…というか高価で獲れないだけか。厚い身肉は隠し包丁が入ってねっとりと柔らかい食感と噛めば噛むほど染み入る甘みはこれぞイカの真骨頂。そんな極上のスミイカが出回り始めたので早速注文。エッジの立った食感と柔らかな甘さは醤油なしでも十分に旨味を感ずる。小細工は不要だ。

点景3

◇カナダ産グリーンピース
鞘から外れた実のみ。二袋100円につられて玉砕。よく見るグリーンピースがほぼ球であるのに対し、玉は異様にでかいが、いびつ。明らかに品種が異なる(というか遺伝子改良品か)。身内で味音痴ぶりを誇示するのは一向に構わないが、問題はそれを他者に押し付けないと気が済まないことにある。押し付けられているうちに、それになびく人間が生まれ、操作によって芽生えた親近感はやがては信仰に繋がっていくのだろう。色は薄く、黄色から褐色を帯びるうえ、皮が厚い。味は餌以上食い物以下で外食産業向けの横流し品だろう。

▽エイ刺し
アカエイのヒレである。網ですくったわけではなく魚屋で買ってきた。安い。普段あまり見かけないが、ときどき訳わからんものを売っていて楽しい魚屋である。新鮮なので適当に削ぎ切りして山葵醤油で普通に刺身で食う。エイのひれは全部がカレイ類のエンガワみたいなものである。味も匂いも薄く、軟骨の食感を楽しむ。もったいないので煮凝りと唐揚げにもしてみたが、これまたコラーゲンが溶けたふわふわの柔らかさと軟骨のコリコリ感は優れた酒の肴に相応しい。

▽鰤刺し
ワラサ以上はめったに買えない(チンケな切り身以外、近場じゃまったく売っていないし)が、今シーズンの幕締めに鰤刺し。身肉の色を見ただけで濃厚な風味が漂うので、皮付きを5mmほどに薄く削ぎ切りにして、山葵醤油で。まぁ、鰤だけは脂乗りすぎでも許そう。

▽鯛(桜鯛)
今しか食えない桜鯛を発見。熟成具合も程よく固さと香り、旨味が絶妙のバランスで輻輳しているじゃないか。艶のある極薄ピンクの身肉と鮮やかな脂身のバランスもほどよく、酢飯の相乗効果で、これまた鯛本来の香味が引き立てられている。

点景4

▽カスゴ(春日子)
いやぁ、出た出た早いなぁ。まだ子供のカスゴ。半身一貫付けだが、新子みたいな可愛さ。軽い締め加減の酢と酒? が優しい香りと甘みを引き出している。デンブを載せるのが老舗の仕事といわれるが、安いからそこまでは求めない。

▽牡蠣というより岩牡蠣?
若干黄味を帯びた身肉の色身や食感、匂い、甘みを勘案すると岩牡蠣に近い。天然真牡蠣、あるいは産卵準備で雌化し始めた牡蠣(牡蠣は普通雄で産卵期に一部の優良個体が雌化する)という線もあるか。

▽生鳥貝と青柳
引き続き分厚い身肉の三河湾産が入荷している模様。透明な身肉と鴉色のバランス、生きているように酢飯の上で動く鮮度が味を保障している。一方、青柳はまだ地元産が収穫できないようで鮮度の落ちた小ぶりなもの、あるいは冷凍小柱が出回っている。

▽平目と鰈
平目はそろそろ終わり。身肉の旨味を殺さないしっとりとした脂乗りと、噛んだときの食感のバランスがちょうど良い。真子カレイはそれなりのものを見かけるが、このところ高価で手が出ない。ぬるぬるのナメタカレイも迷ったが結局買わなかった。

◇引き続き鰻
身が締まって脂乗りもくど過ぎずで旬の鰻がうまい。普通の値段で食べれる鰻は100%養殖だが、地域や餌によって身肉の味や皮の厚さ、脂乗り、焼き方によって香ばしさ、くどさが大きく異なる。アンギラ・アンギラ系のヨーロッパ種のなかに極めて好ましくないものがあることは周知の事実だが、国内産でもやはり飼育数や温度環境が自然に近いものの方が鰻本来の野趣に富んだ味に近いように思う。もっともここ15年ほどの嗜好の変化から、結果的にそういった鰻はあまり好まれないらしく、昔ほど高くなくてありがたい。

点景5

すっかり野生化したチューリップ。来年出るかどうかはわからないが、勝手に生えて勝手に花が咲く。もちろん当初の園芸種に比べだんだん花が小さくなっていく気がする。

2;サーバごっこ機 いまだPlamo Linux 2.0改-0.18GHz不眠不休号

忘我。

3;スキャナ機 NT5.1 sp2 Home セレロン2.2GHz新まんせえ!号

引き続き、電源入れた記憶がない。

4;Win機 NT5.0 sp4⇒NT5.1 sp2 早くも1.8GHzに降格?

mozilla-1.7.13 > seamonkey-1.1.1 スイーツの名前が変わった。Geckoはrv:1.7.13がrv:1.8.1.2へ。7zipで落としてもsetupでインストールするタイプだが、以前のプロファイルもそのまま使えるようでタイムラグなしでupgrade可能。表示や使用感もすこぶる良い。タブに画像が表示されるとか、ブックマーク操作も単純化されるなど細かいところにも手が入っているようだ。

Doom

いひ。


2007/03/23 作成__2007/03/23 最終更新