霜月記 -(2006/12/20-2007/01/18)

1;諸々

いかんいかん。年が変わってしまうじゃないか。今年の正月は2月の18日ですね。忙しさに鎌掛けてサボっていると際限がないな。堕ちる堕ちる。転がりだすと止まらないもの。水は低きに流れるともいう。

2時過ぎに昼食。打ち合わせを終えて凹んだ気分を立て直そうと、いつもの鮨屋の暖簾をくぐるまでもなく50人x2列は並んでいる行列に目が点になる。格子戸越しに店内を覗き込んでカウンターが8割ほど埋まっていたら「他をあたる」のが人の常だと思っていた。注文が脳内で交錯してヘロヘロの板前に握ってもらう趣味はないので、早々にその場を離れた時点でその日が土曜日だったことにようやく気がついた。確かに街の雰囲気が違うし、人の流れが滞る。

枯れ池

◇海老、蟹、蛸、鰤、鮭、あるいは刺身盛り合わせに見る昨今の新正月風景について
ああ、なんというテイタラク。これだから正月は嫌なんだ。魚屋を覗いても何もない。水揚げないから当たり前といえば当たり前だが、このセンスが承服し難い。おまけにお正月価格という購買意欲を更に減退させる仕掛けが待っている。仕方がないので売り切り品の焼鳥とパンを買い込んで帰る。明日の献立は想像がつくだろう。気にしない気にしない。盆暮正月といっても帰るところはどこにもない。「さういえば僕が生まれたあそこはどうなったのでせうか?」と数分の検索で居ながらにして生まれてしばらく住んでいた家が某衛星写真で実在していてびっくらこいた。

そこでPeepingですよ、旦那。高い塀で囲われたあそこや、酷く迂回を強いられる広大な敷地の内はどうなっているのでせうか? 隠されれば見たくなる。どうせなら普段見れないものを見たいというのが人情というもの。場所によって解像度の違いはあるものの、マウスでクリクリすると解像度が変わるし思ったよりも使える。経度緯度から目的地を探し出すシステムも気に入った。

JASDF入間の第一高射群とその分遣隊であるJGSDF習志野駐屯地内のパトリオット地対空ミサイル陣地。整形された土盛りの内側に隠れて鎌首もたげたトレーラーに搭載されているのがわかる。四角いBOXは低空域地対空誘導弾(短SAM)の発射車両の覆いだろうか。入間の滑走路脇には近接防空システム(VADS)の銃座らしきものも見える。地下埋設の航空燃料タンクや弾薬庫の造作もすこぶる機能的かつ明快である。

首都防空の要、百里の格納庫で頭隠して尻隠さずのF15制空戦闘機。二枚の垂直尾翼が確認できるが、その他はまるで無人のようにきれいさっぱり引き篭もっているようだ。ちなみに千歳には7機ほどが駐機場に並べられている。

呉軍港に停泊するJMSDFのディーゼル潜6隻。横須賀にいないと思ったらこんなところで甲羅干し。揚陸艦「しもきた」も停泊中。

北へ飛んで三沢のF16用防爆格納庫が面白い。ふ~ん、こうやって開くのか。隅っこに間借りしているJASDFはただの地上蒲鉾格納庫で格差が哀れ。嘉手納でも同様の形状のものが見れますが、厚さ1mのRC製で発電機や空調、食料を備え、“それ以後”もどうやら独立で機能する防染密閉仕様らしい。ゴルフ場付というのも定番らしいな。おほほ。

こちらは横須賀軍港。キティホークがいるなぁ。周囲に広がる住宅は緑溢れるすばらしい環境なのだろうなぁ。みっしりぎっしりのジャパニーズ街とは雲泥の差。“思い遣り”の美しさが堪能できよう。

ふ~ん、と手を滑らせると雪景色。ロシア太平洋艦隊の母港ウラジオストク北郊で日向ぼっこするスホーイ27。滑走路北端の青っぽく塗られた機体は長距離侵攻攻撃機型のスホーイ34かな? 滑走路の両端末にごちゃっと駐機場があるあたり、設計思想の違いを感ずるじゃないか。ちなみに滑走路南端を走るのはシベリア鉄道だろう。更に北郊の空港にはバックファイアがたくさん並んでいる。ちゃんと除雪してあってエライぞ。

せっかくだから、有刺鉄線で囲まれた掩蔽壕で白いトレーラーに鎮座するミニットマン3。3弾頭のMIRV。ワイオミングの第90宇宙軍を始めとして、モンタナノースダコタの三箇所に分散配置されている模様。今一つやる気が感じられない雰囲気で、既に地上発射のICBMは時代遅れということなのだろう。元は地下サイロに入っていたはずだが今は地上に置かれている模様。古いサイロは売りに出ている(笑)。敢えて見えてしまっているのは、米ロ双方の衛星による相互監視のため。
戦略爆撃航空団の基地内には二重三重に囲われ、見晴らしよく整備された極めて警戒が厳重な区域があるが、核弾頭の弾薬庫なのだろう。ティー・ショットが思いっきりスライスすると打ち込んじゃいそうだな。

でもって、こう見えるという図。ピースキーパーMIRV(START-2により退役済み)の8個の弾頭が大気圏に再突入する実験風景。終末に相応しい、感動的なまでの美しさじゃないか。せっかくだから壁紙にした。

ちょいと趣向を変えてこちらは古いお墓。本当に同じ向きなんだなぁ。北面には穴があるし。

そして、けっこう苦労して探したとある城砦の廃墟。当初の目的はこれを探すことだったんだ。へへ。横の櫓は何だ?

ちょいと探せばなかなか見れないものも居ながらにして見れて便利だな。もうちょっと高解像度版があるとより楽しめるだろう。ところどころ、手が入っているような妙な画像もないことはないが概ね使えそう。あとはリアルタイムにどれだけ追従して更新していけるか。プロ用は解像度30cmほどで、ロシアの麦畑で親父がどっちを向いて立小便をしているかわかるそうじゃないか。オレもそういうの見たいぞ。

■ここに至って心を去来する由無しごと

CDはKetil Bjørnstadの『The Sea』と『同2』。あぁ、これはいいわ。ECM系北欧ジャズの人。言葉は要らない。たゆとう波に躰を任せていると涙が出そうになる。

DVDはMissionのライブ二枚組み、Depeche Modeの『101』にVdGGのTVライブあたり。最近食傷気味で新鮮味が薄れた。映画は1000円割れの廉価版になった『2001 A Space Odyssey』、ヴィスコンティの『ベニスに死す』『地獄に堕ちた勇者ども』。今じゃあり得ない長さだなぁ。

鴨

▽Outbound Port 25 Blocking(OP25B)
基本的に性善説に立脚したSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)の弱点を悪用したSpamに業を煮やし、ようやくプロバイダ各社が導入を始めたようだ。自前の(固定IPを持たない)SMTPサーバから送信したメールが撥ねられるという問題はあるにせよ、今や全メール流量の90%以上がSpamといわれる(実感としては98%)から妥当な対応策だろう。実際、障害も出ている。先日、数百通のSpamに埋もれたお仕事メールをうっかり削除してしまい再送してもらうはめになるわ、しばらく時間がなくて放っておいたら、プロバイダのフィルターに引っ掛かっているメールが2000通を越えている(笑)。さすがに遡って確認する気にはなれず二日以上前のものは一括して削除した。

この手のメールはほとんどが数kB以下で、明らかにヘッダーもろくに見ることができない携帯のみの利用者を対象にしているのだろうが、引っ掛かる人がいるんかね? と思ったら、中国のサーバを遠隔操作し、5億通のSpamを送ったとかで逮捕された業者によれば1億2千万の売上があったそうだ。そりゃ、やめられんわな。酷く素直に頷いたわ。

■春? の陽気。

◇牡蠣
夏は海鞘、冬は牡蠣。牡蠣がおいしい季節です。騒いでいるわりに生産調整が行き届いたせいで値段は去年と変わらん。もっとも質のよいものが出回っているようで鮨屋の牡蠣も特大でプリプリ。軍艦に載っていると口に入れる瞬間に横にしないと最大開口にしても縦がつっかえる(笑)。顎が外れそうだ。あまり頼む人がいないので、お宅の牡蠣はオレが貰ったとばかりに行くたびに2~4貫づつ食らっております。もっとも、基本的に生魚には寄生虫がいる可能性があるし、貝は鮮度に関わりなくあたる可能性があります。私自身はけっこう敏感な体質だが、極めて稀に「あれ? あたったかな」と思うぐらいの経験しかないので、ほとんど気にしないで何でも食べちゃう性格ですが、あまり真に受けないで自らの体調を勘案することをお勧めします。ああ、そろそろ待ちに待った貝類がおいしい季節の到来だ。

◇牡蠣蕎麦
蕎麦も饂飩も季節にかかわりなく冷水できりっと締めて食べるのを常としているが、さすがに牡蠣蕎麦はそうはいくまい。牡蠣飯にした煮牡蠣が余ったので仕方なく十年ぶりにホット蕎麦。と作ってから気がついた。鴨南せいろみたいに熱い付け汁に冷たい蕎麦にすればいいじゃん。あちゃぁ。普通の蕎麦じゃ負けそうだから、韃靼蕎麦にしてみたが、まぁ、それなりだな。大きめの煮牡蠣5ヶ、葱半本。出汁は鰹。牡蠣を漬け込んだときの昆布も混入している。固めに茹でた蕎麦を一旦冷水で締めてぬめりを取り、葱の入った汁に戻して牡蠣と共に軽く沸騰させて出来上がり。好みで柚子を。まぁ、こんなもんか。外で食うとけっこう高いのだよ。

◇たこやき
別に自慢でもなんでもないが、タコ焼用の鉄板を持っている。正確に言えば親から貰ったものだが、小学生の頃は自宅でタコ焼きを焼いて食べたものだ。今は中だけ半生というのが受けるらしいが、少なくとも昔は中まできちんと焼けているのが普通だった。近在に位置するチェーンのタコ焼屋は最後に油で揚げてカリカリ感を演出していたりして情けない。それは邪道だろうが。具はシンプルなものがよい。タコはデフォルトとしても、青葱、生姜は必要ならば掛けて食えばよいかなぁ。乾燥桜海老やキャベツを入れるのは、その時点で別の食いものに思える。天カス(揚げ玉というのは天麩羅の衣をわざわざ小さな球状に揚げたもの。天麩羅の残りカスではない)は旨味が増すがお腹いっぱいになる。トッピングの鰹節は上質なものが良いが、あまりこだわってもたこ焼らしくない。ソースはなんでもよいが、甘みを増量しない普通のものが好み。醤油味もさっぱりしてよい。久しぶりのせいか丸くならなくて難渋したわ。手が熱いし。何はともあれ、ガスコンロの前に椅子を置いて、焼きながら摘み食いするのがいちばんおいしい。口の中“やけど”するけど。

たこやき

◇雑煮
風土も伝統も歴史もほぼ全て完膚なまでに無視して生きてきた人間として、こういう基本的なものにはいい加減さが出るものだ(笑)。遠い昔を思い起こしつつ、うろ覚えで再現してみた。出汁はもったいないから……と言いつつもそれほど遜色を感じない日高昆布とアゴの混合。具は脂のない鶏、椎茸、人参、余っていた大根、牛蒡は…ないわ。小松菜は面倒臭くなってキャンセルで代わりに菜の花。あぁ、蒲鉾も入れたかなぁ、買うときにウ~ンと唸る定番の鈴廣。味付けは淡口醤油と酒。匂い付けに柚子。餅は焼いた角餅で原型を留め、つゆはあくまでも透明に。ふんふん、意外にうまいじゃん(笑)。聞けるうちに正確なレシピを聞いてこよう。

鶏が鴨になったり、菜の花が三つ葉になったり、芹になったり、大根やめて牛蒡が入ったり、醤油が白だったりと、具も味も間に合わせだから毎年変わる(笑)。おまけに今年は1月4日にして初お目見え(大笑)。1日は起きたら腹減ってったからパンで済まし、その後煮豚と焼豚の製造に着手したためすっかり忘れておったわ。雑煮は所詮雑煮だからこれといって思い入れはない。甘いのと生臭いのと餅を煮崩すのは苦手だが、適度に鰹出汁丸餅白味噌仕立てにしたりもする。そういえば蕎麦もあったなぁ、と蕎麦を茹でたのも1月3日の晩御飯。

◇目近(めじか)+氷頭(ヒズ)なます
近所の魚屋で予約しておいた1m強ほどのメジカ鮭4kgを半分貰ったので、早速頭を割って氷頭(鼻っ面の軟骨)を取り出す。薄くブルーがかった半透明の軟骨にしばし見蕩れて、塩で揉んで酢洗い。酢に酒を垂らしたものに漬け込んで薄くスライス、大根や人参とともに三倍酢で和えて食す。こりこりの食感と僅かな脂が入り混じった絶妙なお味。

◇すきやき
久々に牛肉。作り方は最初に焼く関西風。割り下は使わない(そんなもん無いし)が、砂糖も控えめ。甘みは酒で。大阪の料亭で仲居さんが説明しながら作ってくれたとき「うちと同じ~」と思ったことがある。
肉以外の材料は(手に入らないから)ごく普通の関東風で、ただし白菜は入れない(というか、そういう作法があることは最近知った)。シラタキ、椎茸、エノキ茸、焼豆腐、春菊、白葱(あれば下仁田葱、焼き麩)ぐらいか。シラタキは湯通し。あまりごてごて盛り込まず、シンプルな方が好き。鉄鍋に広げた肉の脇に砂糖を置き濃口醤油を掛け、たれと肉の脂が混じった瞬間、軽くいなして肉を食う。わはは。後は適当。煮過ぎないようさっさと食う。十分くどい味付けだと思うから苦手な溶き卵はパス。野菜類の風味付けに昆布出汁か七味唐辛子を使うこともある。

日々、新規開拓を続けている昼飯兼用飲み屋。平日の2時から5時に準備中でないことが必須だから意外に探すのに苦労する。最近多い、腰の低いお客様は神様系チェーン寿司居酒屋。普段、客は私一人だが、偶然祭日だったせいか普段と趣の違いに唖然とした。まず、騒がしい。たった今まで水槽で泳いでいたブリブリに肥えた養殖カンパチを活き締めすると歓声が上がるような臨場感が売りなのかな? 概ね若くはない男女、海栗とかトロとか車海老、あるいはアン肝やらエンガワ、白子なんぞを得意気に頼む客層が中心で、エンガワ(もちろんカラスガレイ)を炙りで、海老もホタテも炙って、何でもかんでも炙りを求め、貝に塩、レモン云々と注文に付け足すことをこれ見よがしに連れに披露するのが流行っているようだ。あるいは、常連風を吹かしまくる偉そうな初老のおっさん。ウーロンハイ飲みながらTVネタ(?)の薀蓄語り。スポンサーやら国家のプロモーション・ビデオを懸命になって開陳する姿はもはや感動的ですらあった。

品揃えは微妙だが酒は安め。摘みも種類は豊富だが煮付も焼物もコーティングが掛かったような寝惚けた味で寿司屋の摘みではないな。勢い、客回転の割りにネタは誉められたものではないから刺し盛頼んでも後悔すること頻り。一応注文を受けて、ネタケースからサクを取り出して包丁を使うタイプではあるが、特に小肌や鯖は頼む人がいないせいか漬かり過ぎで酸っぱいし鮮度が悪い。

そんなこんなで消沈していると、目の前のケースに活きのいいアワビがごろんと放り込まれた。12cmほどの見事な黒アワビでぬめり加減が鮮度を保障している。硬軟取り混ぜて、早速握ってもらうと期待通りの食感で、何だ、やればできるじゃんと、若干経営姿勢を見直した。ところがその余韻が冷め切らぬうちに、左右のカップルが怒涛の注文を始める。「アワビ、刺身で二人前。あと握りもダブルで」「アワビ。握り二つと、あと塩も二つ」
哀れ、ようやくケースに戻されたアワビは小さな肉片に相成ってころりと転がった。鉄火の細巻をチャチャっと頬張って素早く退散。どうにも居場所はないようだ。

鴎

◇煮豚・焼豚
真面目に生きているわけではないので、こういったことは無計画に突然思いつく。定義が曖昧だがいわゆる叉焼である。東アジアの店先で鉤に掛かってぶら下がってこんがり紅色に焼かれているあれである。真空パックの加工品のほうが安いが、その甘ったるい雑味に辟易して懲りたので、なけりゃ作るしかない。豚バラブロックと肩ロースブロック、各400gをお正月価格ぎりぎりセーフで購入。

たいして考えるまでもなく、バラを煮豚、ロースを焼豚に。焼豚の方は火が通りにくいので縦半分にカットしておく。つゆは共用する。ベースは濃口醤油と紹興酒。叉焼醤がないので豆板醤、芝麻醤、甜面醤で代用。たぶん豆板醤は入れないのだろうが赤くしたいの(笑)。そこに、おろし大蒜、おろし生姜、赤唐辛子、砂糖、八角、胡椒等、その辺にあるものを適当に入れる。どす黒い原液に指を突っ込み、スパイスの効いた甘辛い味がすればオケ。真面目に測って作ったりすると老けるよ。

つゆの半量をビニール袋に入れ、焼豚用の肉を躊躇いなく投入し、口を縛って軽く手で揉む。そのまま冷蔵庫で熟成。多分1時間ぐらいでよいのだろうが、面倒になったので次に取り出したのは3日後くらいだった。あとはグリル等直火が出るもので焼くだけ。焦げやすいが強火で肉汁を封じ込めるように両面焼。中火にして中まで火を通す。突出部など焦げた部分は包丁でこそげばよい。

煮豚は凧糸で適当に縛って、屑野菜(葱の葉、パセリ茎、人参皮等)と生姜の皮を煮立て、飲みかけの紹興酒をもったいないなぁと思いつつ肉と共に投じる。蓋をして茹で2時間~3時間。余分な脂を抜いたら、最初に作った常温のつゆに投じ満遍なくつゆを廻しかける。ごろごろごろごろ。ついでに茹でたての卵を剥いて煮卵も作ると合理的。味は肉が冷えていくときに染み込むので、そのまま常温になるまで放置し、常温になったら鍋ごと冷蔵庫で寝かす。翌日からOK。冷えて固まった脂が気になる場合は軽く火にかければよい。ラーメン等に利用する場合は紹興酒よりも日本酒を使ったほうが良いかな? そういう方面は不詳。

◇鶏レバー
ブロイラーに比べると若干色身が濃く、脂肪が少ない岩手の“何とか鶏”の肝が安売りしていたので食す。氷水に浸しながら、ハツを分離し、黄色い脂肪を丁寧に取り除く。ハツは二つ割にし中の血の塊を取り除く。肝は筋を取り除き、包丁で二つに割って血の塊があれば、ほじくって取り除く。血と脂肪が臭みの原因なので丁寧な下ごしらえが決め手。氷水を適宜換えながら血抜きを続行。水が濁らなくなったらキッチンペーパーで水気を丁寧に拭き取ってひたひたの紹興酒に10分ほど漬ける。

隙間を見計らって、パセリ茎をみじん切り、タイムの葉適量をしごいて合わせる。フライパンを強火で熱し、胡麻油、植物油混合で玉葱ザク切り一個を焦げ目が軽くつくまで炒め皿にとる。そのフライパンにレバー、ハツを投入、適当に振りながら火を通す。色が変わってきたら、肉を寄せた余白に砂糖大匙1程度、レバーを漬けていた紹興酒+αを砂糖に掛けてフライパン全体に行き渡せる。パセリ、タイム混合を添加し濃口醤油を適当に投入して蓋をして蒸し焼き。煮汁が半分ぐらいになったら前述の玉葱につゆごと掛けて出来上がり。脂とは違うコクのある濃厚な滋味を味わう。元の肉が良かったのかもしれないが、生姜や大蒜を使わなくても臭みのまったくないモノができたのは良い経験になった。

◇マコガレイの煮付
真冬だというのになかなかよい地元産マコガレイ(真子鰈)が手に入った。32cm強(所有鍋の限界寸法ね)、雌。腹を透かして盛り上がった卵が見える。刺身には不適だろうと煮付にしてみた。表裏とも鱗を落として、ヒレのぬめりを包丁で丁寧にこそぐ。沸騰した湯で軽く霜降り、冷水で体表のぬめりを完全に洗い落とす。このあたりの下処理が臭みを抑えるようだ。えらに包丁を入れ、腸を掻き出す。卵はそのまま。腹腔を水洗いし血や汚れを落としペーパーで水分を拭き取る。背に十文字を飾り包丁。

30cmの平底鍋に水180cc、酒180cc、みりん45cc、淡口醤油45cc(甘めが好きな人はザラメを小さじ1くらい追加)を投入し、屑葱、屑生姜と一緒に煮立てる。沸騰したらカレイを腹を下に静かに投入し、強火で一気に煮立てる。再沸騰したら中火に落としてキッチンペーパーで表面を覆い、煮汁を紙に染み込ませて蓋をする。中火で放置6分+α。火を止めて蒸らし放置2分。崩さないように皿にとり、刻み生姜、三つ葉等を適宜散らし煮汁を満遍なく掛ける。

純白の身肉に箸を震わせ、蕩けそうなふわふわの食べ心地を味わう。ポイントは質の良い(刺身で食える)マコガレイ(500~600g程度で¥398でした)を入手し、下処理を丁寧に行い、煮過ぎないことだけ。腹が(普通は腹を上にして陳列する)真っ白なものを買いましょう(笑)。ちなみに氷温で半日~一日寝かした方が旨味が熟成されておいしいです。良いものを美味く熟成させると(カレイの養殖は聞いたことがないが)天然と養殖の差がはっきりとわかるものです。煮魚がおいしいと思ったことがない人は是非。多分あなたが今までに食べてきたものはまがい物です。

◇アンチョビ
背黒鰯3パック1kg弱。あまり品質が良くなかったが、地元産が一向に揚がらないので仕方がない。材料費は3x¥70=210円の鰯と塩だけだが、4ヶ月後には売り物の5000円分くらいに化けるあたりが真骨頂。塩は前回のものを使い回し、適度に新規を加える。細菌増殖を抑えるため1週間ほど冷蔵庫で、塩がきっちり回ったら常温で熟成させる。重石を掛けたりキッチンペーパーで覆い鰯が飽和食塩水に完全に漬かっている状態を保つことが肝要。第二弾は年明け早々にフィレに加工したが、最初のものより気温が低かったせいか身が崩れなかった。今回の第三弾はもう少し長めに熟成させた方がよさそうだ。

アンチョビ

◇アンチョビのオイルパスタ
そこで廃材処理。アンチョビ製作過程で生じる大量の発酵液(ナンプラー)を消費。とはいっても塩辛いのでなかなか減らない。パスタはスパゲッティーニ。セロリ葉、アンチョビは細切れ、パセリはみじん切り。千切り大蒜をオリーブオイルたっぷりで低温炒め、胡椒、人参細切れを投入、中火で焦がさないように炒めあげ、セロリ葉、アンチョビと固めに茹で揚げたパスタを投入。ナンプラー小さじ3を加え、瞬間強火で一気にパスタに油を満遍なく行き渡らせるだけ。風味豊かな熱々を味わう。

◇Poorman's pilav
本来はトルコ料理の付け合せだが、今日の昼飯の主食。大蒜2片、パセリ2房はみじん切り、玉葱半個も薄くスライス。鍋にたっぷりのオリーブ油と大蒜を入れ弱火に掛ける。大蒜が匂ったら玉葱を中火で透き通るまで炒め、軽く洗って水切りした米1合を投入。胡椒、塩適量。米を同じく透き通るまで良く炒める。米量の1.1倍(柔らかめなら1.2倍)の水を投入し、沸騰したらパセリ半量を無造作にぶち込んで蓋をする。弱火で10分ほど。湯気が止まるまで炊き上げる。湯気が止まったら火を止めて12分蒸らす。皿に盛って発酵バターひとかけら、残りのパセリを混ぜ込みながら食す。刻んだ赤唐辛子を入れてもおいしい。黒ビールによく合う貧乏人のピラフ。

煮穴子

改装中だった某が開店したので様子見。L型カウンターがI型になって収容人数が減ったじゃないか。荷物置きができたのはありがたい。鱈白子、牡蠣と冬の味覚を堪能し、出始めの“のれそれ”を味わう。今年は暖冬だからずいぶん早いそうだ。香るほど柔らかい小肌を堪能し、山葵たっぷりの干瓢巻で締める。おお。鼻腔が拡大し脳天に電気が走るぜ。

2;サーバごっこ機 いまだPlamo Linux 2.0改-0.18GHz不眠不休号

換装した36倍速SCSI、ただのCD-ROMをSSHで操作してBGM発生器に。動作音が静かで喜ばしい。

3;スキャナ機 NT5.1 sp2 Home セレロン2.2GHz新まんせえ!号

う~ん。

4;Win機 NT5.0 sp4⇒NT5.1 sp2 早くも1.8GHzに降格?

埃を払う。

Doom

う~ん。


2007/02/10 作成__2007/02/10 最終更新