水無月記 -(2006/6/26-2006/7/24)

1;諸々

一週遅れでようやく更新。仕事にかまかけていたらいつの間にか7月が終わっていた。この調子で8月もさっさと終わればいいのに。静かで空いていて、並ばない待たされない、不親切でも詮索がましくもないちょうど良い距離感とスマートな対応。決して特別なサービスを求めているわけではない。極当たり前の、平日の昼夜が懐かしい。ということで仕事を抱えて引き篭もるのがいちばん良さそうな夏がやって来た。

久しぶりに外に出たら人っ子一人いない小さな公園の片隅で勝手に自生したカンナが満開だ。何故か黄色。個人的には目が痛いくらいの血の赤が好きだが、黄色のカンナは透き通るように寂しげだ。

カンナ

仕事が瞬間的に一段落した隙を狙い、さっと海鞘(ホヤ)を食いに出る。夏の風物詩といえばホヤだろう。若い頃、産地の目の前に住んでいた頃はホヤなんぞ見向きもしなかったはずだが、今は食うね。天然、養殖ともにあまり味が変わらないし値段も極めて安い。鮮度落ちすると生臭くなるが、殻付だと見分けがつかないから困ったもの。吸水口をカットして、ボールにとった中の液体で和えた刺身がいちばん。……だったはずだが、最近、酢締めを鮨にしたものに出会ってこれがまた美味なのだな。板前曰くにやっと笑って「タダの酢じゃないよ」だそう。そのうち教えろ! とお願いしておきました。

ホヤをコノワタ(海鼠腸)で和えたバクライ(爆雷)などというものもあったが最近は見かけないな。コノワタもコノコ(海鼠卵巣)もあまりにも高価なためか滅多に口に入らなくなってしまった。

■ここに至って心を去来する由無しごと

神林長平『完璧な涙』『今宵、銀河を杯にして』を中古再読中。『グッドラック』は行方不明捜索中。若竹七海、新作が出たようだが、旧作『船上にて』を読了。ノンシリーズの短編だけど…明るく突き抜けた暗さ加減が……もう堪らん。

BAUHAUSの『Gotham』、EnigmaをともにDVDで。『Gotham』は再編ライブだがカリスマ的凄愴さ。こりゃ凄い。迫力も想像以上。マーフィのボーカルを含め巧い。Enigmaはまぁ、予想通り。R-18指定とかで冒涜すればいいのに中途半端過ぎ。アラン・レネ+デュラスの『ヒロシマ・モナムール』を半額セールで入手。う~む…これは。そのうちレビューを書こう。大人になってからのジョディ・フォスター主演作が500円台だったので3本購入。『マーヴェリック』『ジャック サマースビー』『君がいた夏』ね。大人になるほど色気がなくなるという変わった人だ。まだ見ていない。グリーナウェイでないナイマン音楽の映画DVDを3本。以前、あまりの安さに釣られ英語版を購入した『The Piano』の日本語版が再発になったようだ。まぁ、主人公は「ひとことも」喋らないからどうでもよいけど(笑)。その他完全に懐古に走っているが閑無し。

サルビア・ガラニチカ

ポミエのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ10枚組がしっとりとしたしなやかさ。なかなか良い。横山、グルダと聴いたがそれぞれ特徴があって面白い。今は亡きコクトー・ツインズの二枚組みシングル集計二巻が思いの他新鮮。グロープシュニットのErocのソロがこれまた愉しめる。芸達者。巧い。パスカル・コムラーデの大道芸風チープ童謡が気に入る。深く染みる。

《その向かいの中華が都合によりしばらく休業……ってさ、復活するのか?》 復活したよ。良かった。坦々麺特辛、半炒飯付が呼んでいる。

■健やかで慎ましい夏季の過ごしかた

◇タイラギ(平貝)
夏なのに珍しくタイラギがあったので解体。愛知産とありましたが、生きているのだから最近採れたものなのだろう。殻が薄いので粉砕しないようにステンレスナイフで柱の片側をこそげ落とす。開いたら反対側も丁寧に殻から外し、巨大な貝柱を取り出す。ヒモと肝以外を切除して、柱は軽く水洗して水気を拭き取る。ヒモ、肝は塩で揉んでぬめりをとり、バター炒め、乃至は酢のものに。柱はもちろん刺身で食す。帆立は薄くスライスしますが、タイラギは縦に切って繊維を残す方が歯応えが愉しめる。

パラソル

◇小茄子の糠漬。
小さくてきれいな茄子が出回り始めたのでもっぱら漬物にする。発酵スピードを遅くするため夏場は冷蔵庫に糠床を入れていますが、だいたい2.5~3日くらいが最適のよう。紫だった茄子がきれいな藍色になった頃取り出して、すぐに食す。味は変わらないが、15分も経つと涼しげな見た目も茶色く変色するので急ぐ。

◇コチ
コチは体長1mほどにもなる扁平した白身魚で今が旬。稀にスーパーの魚屋で丸ごと一匹、60cmを越えるようなものを見かけたりする。肉の旨味というよりは、しゃきっとした歯応えとさっぱりした薄い脂乗りが夏の味わい。刺身が最高だが天麩羅も良いねぇ。

路傍

◇目鯛
カレイもヒラマサもこのところ順調に出ています。ヒラマサはそろそろ終わりで、代わって黒ムツ、太刀魚あたりが顔を出す頃か。ときどきコチやスズキに浮気もしますが、真鯛ならぬ目鯛に食指が動いた。のっぺりとしたピンク色の身肉は予想通りの脂乗り。脂の割にはさっぱりしている甘味と旨味が夏向き。

◇鮑
キタキタキタ――。独特の食感とそこはかとない香味が夏の貝の最高峰。岩ガキも好きだが、やはり鮑がないと盛夏がはじまらない。“あわびもどき”などというものが鮑の顔をして年がら年中出回っていますが、禁漁期が厳格に決まっている黒鮑は今しか食べれないはず。秋冬の煮貝に黒鮑は使わないだろうし。

◇秋刀魚
鮨ネタの場合もちろん新秋刀魚ですが、釧路水揚げ築地経由だそう。道東で小型船によるサンマ漁が7/10日に解禁になったのを受けたものでしょう。初秋の気仙沼、秋の小名浜や銚子ものだと脂乗り過ぎで気持ち悪くなるが、この時期だと意外とバランスが良くて身肉本来の甘味が引き立つ気がする。もっとも現代に於いては、江戸時代の水揚げ最盛地紀州あたりまで南下すると脂はすっかり抜け落ちているそう。かつては親潮の勢いが強くて今よりもずっと冷涼だったのでしょう。

滑らかな銀色とピンク色の肌。生姜の黄、小葱の緑の組み合わせが視覚的にも美しい。さすがに鮨屋だけあって仕込みに加え鮮度管理も抜群。けっこうスーパー等にも出回っていますが、腸つけたままパックにされて、たいして効いているようには思えない冷蔵ケースに放置されているのは惜しい。江戸時代、マグロやイワシと共に下魚として蔑まれていたそうですが、さすがに今はまだ高いな。

雑草

◇気仙沼のメジマグロ
近海もの生のメジは商社の価格統制が効かないせいかとても安い。マグロは馬鹿臭くて買う気がしないが、これなら味、鮮度とも納得の範囲だろう。一日目よりは二日目がおいしい。凍らせずに氷温で寝かせましょう。三日目はさすがに飽きるから、脂の薄い最後の背身は醤油漬けにしてもよいか。

◇パルミジャーノ・レジャーノ
ちびちび買っていると高くついて遣り切れないので1kg品を購入。酸味とコク、塩味のバランスが絶妙。湿り具合もブロックだけに絶妙である。削ってよし、齧ってよしと心置きなく使えるのが気持ち良い。

トマト缶

◇紫貽貝入のトマトピラフ
このところ輸入食品が高価なので400gのトマト缶が買えない。仕方なく業務用2.5kgに変更。聞いたこともないメーカーだが、サン・マルツァーノ種で程よい酸味が出ていてなかなか良い。さっそく紫貽貝の西洋小麦麺やら西洋風混ぜ御飯に使ってみた。相変わらず紫貽貝は安い(特大6個250円)。7月後半からは産地も北上して岩手産が主流のようだ。殻長が10cm越えとでかい。貝は二、三日なら氷温庫でもつので便利。殻を洗い、フライパンで大蒜のスライス、赤唐辛子をオリーブ油で炒める。研いで水を切った米2合とシメジ1パック、塩、胡椒適当を投入、強火でよく炒める。米が透き通ったらトマト缶を適宜、刻んだピーマン2個、水(トマトの水分を引かないとリゾットになりまっせ)適宜、固形コンソメを投入、沸騰したら可哀想だが貝をぷすぷす挿す。蓋をして弱火12分、蒸らし10分。写真は蓋開け直後。ピーマンの色が死んだ。刻みパセリを追加で誤魔化す。

トマトピラフ

◇帆立御飯
帆立、直径15cmほどのものを二枚購入。一応今が旬だと思うのだが、季節感はない。柱は刺身、ヒモは利尻昆布、みりん、醤油で帆立御飯に。地場産板海苔(以前のものより若干緑が強く磯臭くなってきた。よしよし)を細かく刻んでトッピング。

2;サーバごっこ機 いまだPlamo Linux 2.0改-0.18GHz不眠不休号

何も。

3;スキャナ機 Plamo Linux 3.2 p5-0.166GHzまんせえ!号

しない。

4;Win機 NT5.0 sp4 セレロン300@450x2で枯木灘

わけあってしばらくSleipnirを使ってみるも、いまいち。手が込んでいて至れり尽せりの面もあるものの、タブを開きまくると固まったり、メモリエラーを起こしたりと意外に不安定。機能を盛り込みすぎで総花的。おかげで使い方がわからんというよくあるパターン。所詮はieのガワだから挙動不審の責をすべて押し付けるのも如何なものかとは思うが、因果関係が不分明。パスワード・マネージャの問題だろうが、フォームへの自動入力が上手く動かないのも辛いが、最大の売りだと解釈していたGeckoエンジンの利用は、ActiveX経由で使うので表示の確認くらいにしか使えないというのも痛い。そのせいかどうかは知らないが、サイト・ナヴィに対応していないあたりも、Mozilla、Firefoxからの乗り換えには使えない…というのが結論だった。

Doom

「Darkness2」さっそく頓挫中。なにこれ?


2006/07/31 作成