皐月記 -(2006/5/27-2006/6/25)

1;諸々

嫌いなものはないの? と聞かれると、何でも食べれるのが売りと応えるが、実は牛乳と生卵は嫌い。味覚を一時的に殺して普通に飲食できるが、どちらも食べなくて済む状況ならば手を付けない。普段行く店ではこれ見よがしに出てこないからありがたい。もっとも派生食品はごく普通に食べる。もちろん、バターは発酵バター、チーズは非加熱生チーズこそが本来の名前に相応しいことは十分承知しているので、可能な限りそう努めている。

夏の光

で、夏だから鮑である。身は売り切れで、残念無念と鮑の話をしていたら、肝がダメという人が多いらしく、よかったら肝食べない? ということになり軍艦で頂いた。そんなにしょっちゅう食うものではないが、濃厚かつ滋味溢れる磯の風味ということで季節の歯車が一つ廻った気がした。今年もまた、夏がやって来る。

■ここに至って心を去来する由無しごと

蛙の子は蛙じゃなくてオタマジャクシですねぇ。連城三紀彦『白光』を読了。う~ん、そこまでやるか……。ま、なんというか…そこまでは考えなかったぞ。梅雨明けと共に読めば効果抜群。クラクラしそう。明るい夏のお供には最適だったのに早まってしまったようだ。

おたま

DVD版『戦闘妖精雪風』のレビューを書こうと思い立ち、原作(神林長平)を再読中。原本が不明なので新版『戦闘妖精雪風(改)』を読了。DVDで意図不明だった第4話はこの『(改)』で付け加えられたエピソードのようだ。さぁ、引き続き『グッドラック』いってみよう。

アンソロジー『血文字パズル』をやっとこ入手。有栖川有栖、太田忠司、麻耶雄嵩、若竹七海による短編集。有栖川は江神三部作、太田も初期三部作が秀逸だったがその後はちょっと方向性が変わっているか。若竹は淡々と水準以上をキープして好感であるが、やはり麻耶だろう。『血文字パズル』に含まれるのは「氷山の一角」。主役はあの希代の銘探偵メルカトルである。まぁ、媒体が媒体だから軽めではあるが、期待を裏切らない最後の砦は健在だ。そのうち麻耶の総括レビューも…とは考えている。

贔屓にしている近在の場末商店街にある蕎麦屋。更科、南部、韃靼と制覇し、あとは田舎(藪だろう?)のみ。天せいろ、かつ重セット、鴨南せいろと触手を広げるが天麩羅は今ひとつ。漬け汁はいわゆる天つゆではなくて濃い目の醤油ダレで面白いが、何故か海老だけ衣が固い。作り置きの二度揚げか? だから海老はいらないっつうの。
鴨はもちろんアヒルだろうが出汁が効いていて良い。カツも甘味と出汁のバランスが良く肉質もなかなか。蕎麦つゆは相変わらず甘くなくてよろしいのだが、少し薄くなった気がする。気のせいか? 塩分控え目爺婆向けの健康食にするのは勘弁してくれ。

その向かいの中華が都合によりしばらく休業……ってさ、復活するのか? 復活して。

■明るい雨季の過ごしかた

◇ムール貝
ムール貝などというとちょっと洒落ている? こともないと思うが、要は紫貽貝である。駄貝である。漁業従事者や船舶管理者にとってはただの迷惑ゴミ。売っているものにしても、おそらく“もの”の値段よりも運送費やパック詰め経費のほうがずっと高いはず。国内の場合妙な価値付けがなされてしまって、外で食べるのは極めて馬鹿らしいので、もっぱら家で食べるに限る。定番は葡萄酒蒸し。殻はよく洗う。フジツボは気にしない。中火にかけた鍋に放り込んで安い白葡萄酒をケチケチ注ぐだけ。蓋をして蒸し焼き。3~5分で殻が開いたら取り出す。残った出汁はバターで炒めたエシャロット(まぁ、実体はラッキョウらしい。本物は玉葱の一種)、塩、胡椒を煮詰めたものに加えてタレにする。最後に刻みパセリ。紫、オレンジ、緑の饗宴。

蒸したて、茹でたてを熱いうちに食う。貝の旨味とふわふわさが命。ヨーロッパ人は最初の一個を指でほじって食い、その殻を鋏のように使って次の貝から身をこそいでパカパカとバケツ一杯食いますが、わたしは日本人なので殻に残った貝柱をいちいち毟って食わずにはいられない。

◇そら豆
そら豆前線も北上し、今入るのは宮城、山形あたりか。パコパコと鞘を剥き塩茹でするだけだが、潰して濾したものをスープ仕立てにして冷やしてもおいしい。薫り高い白葡萄酒をきんきんに冷やして、交互に味わうと豆の香りがいっそう引き立つ。そろそろ枝豆が出回りはじめたから、今度は青大豆冷製スープにしてみよう。

ランタナ

◇枇杷とカタクチイワシ
房州に枇杷狩りに行った老人に肥えた枇杷とカタクチイワシを貰う。高過ぎて売り物の枇杷は買う気がしないが、貰いものなら心ゆくまで味わう。酸味と甘味のバランス、肉厚の果肉と仄かな甘酸っぱい香りはさすがに本場もの。もっとも、手の届くところにはほとんどないそうで、収穫量はきちんとコントロールされる模様(笑)。まぁ、そんなものだ。
カタクチイワシは生と丸干し。どこだ? 保田か富浦あたりか? 上総湊にも漁港あったな。鮮度落ちが極めて早い生は手開きして生姜と銚子産濃口醤油で。高価な醤油は似合わない。吟醸冷酒をグラスに注ぐ。親指と人差し指で頭を落とし、腸を掻きだす。中骨に沿って指で開いて氷水で水洗、皮は手引き。水気をキッチンペーパーで拭いて醤油皿へ直行。台所で俎板を食器代わりに食うのが最高。手が脂でギトギトだ。水揚げのある平日なら昼前に店頭に並んだものを購入しても良いだろう。持ち帰ってすぐ食う。1パック25匹くらい、うにょっと入って100円だから、我が底辺層の強い味方でもある。

◇生カキ、岩ガキ食べ比べ
カキといえば秋から冬だが、三陸や北海道産が入荷するので今の時期でもあるときはある。北の海ではまだ産卵前なので身がぷりぷりと肥えている。カキ特有の風味も濃く下手な大量養殖ものや輸入ものよりうまいかもしれない。

岩ガキは今や全国どこでも採れる(あるいは養殖もしている)が、今回食べたものは三陸岩手産と北陸石川産。旬は千葉銚子ものだと7月くらい盆前まで。真ガキと異なりカキ特有の匂いはほとんどなく、旨味だけが濃厚なのが特徴。鮨には岩ガキのほうが合うでしょう。くせがないので塩のほうが味が引き立つ気がします。石川産のほうがまろやかでミルク風味。岩手産は野趣に富んだ旨味が際立つ。
酒は鮨なら辛口吟醸。家で剥くときはシャブリが慣れている。できればプルミエ・クリュ以上で。冬はレモン、夏はライムが合うと思う。

クレマチス

◇コチと生タコ
コチは今がいちばんおいしい季節。鮮度の良いものの食感は白身魚のなかでも抜群。しこしこの歯ざわりと微かな甘味が口に広がる初夏の味。生タコも季節ですね。これから8月、9月くらいまで、鹿島灘に面した海岸に行けば焼蛤と生タコが定番中の定番。醤油の焦げる匂いとタコの透明な歯応えは病み付きになるもの。お洒落な店は皆無だがゴロゴロ出てくる蛤をコンロに載せて、嫌々開いた口に醤油を垂らしながらビールを飲むのは格別な幸せ。車を運転できる人がいなくなって途方に暮れるのはありがちな不幸。

◇イワシとヒラマサ
この時期、イワシとヒラマサ食わずに何食うねん? というほどの定番。雨季に入ってイワシも順調に入荷している模様です。入梅イワシということで、もっぱら脂のりがもてはやされていますが、脂のり=うまい(旨い)という図式は短絡的過ぎる。青魚は鮮度が落ちると臭いし身が崩れるので、最低限死後硬直が終わる前のものをさばくのが肝要。水揚げ港で食べればもちろん最高。一箱300円とかだし。

ヒラマサは寒ブリに比べれば脂のりは比較にならないほどさっぱり味だが、固く締まった身に薄っすらのった上品な脂が真骨頂のはず。あ、黄みがかった優しい桃色(そうだ、白桃に似ているね)の見目も麗しい。

◇イサキ
皮付き湯霜握り。あまりにも美味しかったので作り方を聞いてきた。鱗を落として皮を塩で締めてぬめりを落とす。三枚おろし。皮側に熱湯を注ぐ。すぐに氷水にとって冷やし、水気を拭いて皮側から平造り。聞くと簡単なのだが、やるのと聞くのは大違い。加減がわからんから試行錯誤が必須。煮穴子も聞いてきたのだけど、煮凝りになっちゃうのだねぇ。それはそれでうまいのだけどさ。

豆

2;サーバごっこ機 いまだPlamo Linux 2.0改-0.18GHz不眠不休号

メンテナンス・フリー。

3;スキャナ機 Plamo Linux 3.2 p5-0.166GHzまんせえ!号

何もなし……といいたいところだが雨季に入ってブートHDDが調子悪いな。換え時とわかっていながら、痛い目を見る悪寒。

4;Win機 NT5.0 sp4 セレロン300@450x2で枯木灘

メモリカードの読取装置をUSB経由で増設。ドライブが四つも増えたぞ。

Doom

「scythe2」25面で糞詰まりのまま諦め状態。面倒なので「Darkness2」を始めてみる。音楽がもの悲しくて気が滅入りそうに暗いぞ。テクスチャーもちょっと新鮮。

まだ3面くらいです。

弾がないんすけど。


2006/06/26 作成